3月の実質賃金はマイナス。日本の家計は着実に購買力が低下している。

世界的にインフレが進む中、日本は比較的その影響を受けてはいない状況です。米国などでは7%を超える物価上昇が続く中、日本ではようやく1.9%の上昇という状況であり、食品やエネルギーを除くといまだ1%に届いていません。しかし、食品や光熱費など生活に必要なモノの値段はどんどん上昇しており、家計を圧迫していることは事実でしょう。それを表すような数値が出てきたので今日はそれを見ていきたいと思います。

3月の実質賃金はマイナス

厚生労働省が9日に発表した3月の実質賃金は3か月ぶりのマイナスとなりました。

 厚生労働省が9日公表した3月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比0.2%低下となり3カ月ぶりのマイナスとなった。2月と比較して現金給与総額の前年比は横ばいだったが、消費者物価指数の上昇率が拡大したのが響いた。

引用:ロイターより

引用:ロイターより

このように個人の購買力は確実に低下してきています。これはここにも書いてある通り、食品やエネルギーなどの価格が最近大きく上昇してきていることが要因の一つです。

給与は増額された

しかし、併せて発表された給与については前年同月比で1.2%増となっており、収入自体は増えているようです。

3月の現金給与総額は前年比1.2%増の28万6567円と3カ月連続で増加し、2月と同じ上昇率だった。所定内給与は前年比0.5%増の24万7249円と5カ月連続で増加した。所定外給与は同2.5%増の1万8801円と12カ月連続で増加した。ボーナスや定期代など特別に支払われた給与は前年比10.7%増の2万0517円と3カ月連続でプラスだった。

引用:ロイターより

給与については政府も経団連等にきちんと上げるように要請はしており、会社側も賃上げの意向は示してはいます。企業業績も足元では好調な企業も多くあり、それらの影響により賃金は上昇しているのでしょう。

購買力は低下

しかし、賃金上昇よりも早いペースでの消費者物価の伸びが起こっており、実質的には消費者の購買力は低下してしまったようです。

3月は、消費者物価指数が、2020年基準の持ち家の帰属家賃を除くベースで前年比1.5%の上昇と2月の同1.1%からプラス幅が拡大した。

引用:ロイターより

このように3月は消費者物価の伸びが非常に大きくなっています。賃金上昇はそれよりも低くなっており、家計はより厳しい状況に陥っているといわざるを得ません。

短期的な対策と長期的な対策を考えるべき

最近の物価上昇によって確実に個人の購買力は低下しました。日本は欧米などに比べるとまだまだインフレはマシな方ですが、それでも賃金が依然として伸びない中、少しでも物価が上昇すると、その影響というのは非常に大きくなるでしょう。一応賃上げも行われてはいますが、それに追いついているとはいえず、賃上げしているのはほとんどが大企業などだと思われます。日本の大部分の人は大企業ではなく中小の零細企業に勤めています。その人たちの賃金が大企業並みに上がっているとはとても思えません。そういう意味では今回発表された数字以上に現状は厳しいのではないかと思います。そういう意味でも一刻も早い対応が必要だとは思いますが、なかなかその動きというのは見えていないような気がします。個人的にはやはり消費税の減税が一番確実で効果的ではないかと思っています。消費税を下げれば実質的な価格抑制効果が得られますし、消費にもよい影響があるでしょう。そうすれば多少は物価上昇の悪影響を軽減することはできるはずです。短期的には減税で乗り切り、中長期では国の生産性を上げ、成長を促進するような戦略を持って臨むべきでしょう。そのためには規制というものは極力排除し、新しい産業などが起きやすい状況を作るべきなのだと思います。

まとめ

今日は3月の実質賃金低下のニュースを見てきました。日本のインフレ自体は正直まだまだ大したことはないと思いますが、いかんせん賃金が上昇しないので家計はかなり厳しい状況に陥っているといっていいでしょう。そういう意味でも政府には早急に対応をお願いしたいところですが、まあ、減税なんてことはやらないでしょう。補助金などのバラマキは選挙前だしいろいろやりそうですが、時間もかかるし不平等だしであまり効果的とは思えません。やはり減税の方が早いし効果的だと思うんですけどね。まあ、今更政府にあまり期待してもしょうがないのかなと思うので、結局は自分でできる自己防衛に励むのみかなと思っています。