景気後退局面においても長期投資で臨めば大丈夫・・・かも

最近の株式市場はインフレやロシアによるウクライナ侵攻など非常にネガティブなニュースが多くなっています。そのため株式市場も軟調な展開が続き、米国などはついに景気後退局面に入ったのかという声さえ聞こえてきます。確かに最近の動きというのは非常に残念なものが多いですし、未来についても明るい兆しというのはいまだ見えないというのが現状ではないかと思います。しかし、10年、20年という長期のスパンで資産運用を考えている個人投資家にとって数年程度の景気後退というのは何も心配するものではありません。むしろ高くなっていた株を安く買うことができるチャンスだともいえます。そういう意味ではあまり悲観的になる必要はなく、基本に忠実に投資を行っていくべきでしょう。

どんな状況になろうとも長期投資が重要

ペンシルベニア大学教授のジェレミー・シーゲル教授は最近の不安定な状況下においても長期投資の重要性を説いています。

景気後退がやってこようとこまいと、景気後退を抜ければその後いつも市場はブームを迎えてきた。だから、長期投資家ならば、マーケット・タイミングを試み、ピークや谷を予想しようとすべきではない。試みれば間違える。

引用:The Financial Pointerより

シーゲル教授はこのように述べ、景気後退が来たとしてもそれはいつまでもつづくわけではなく、必ず市場は上昇するのだから過度の心配をする必要はないといっています。確かに過去から現在に至るまでの株式市場を見てみると、上昇や下落を繰り返しながら、緩やかな右肩上がりの曲線を描いています。これまで人類は2度にわたる世界大戦や、リーマンショックのような世界的な金融危機など多くを経験してきました。そのたびに株価は大きく下落し、この世の終わりのような状況に陥っていたのでしょう。しかし、時間経過とともにその状況は改善していき、結局は株式市場は上昇を続けてきたのです。この事実は長期投資家にとって非常に重要なものです。今の高インフレや世界秩序の揺らぎなど大きな不安要素はいくつもありますが、そのようなことは過去に何度も人類は経験してきたものです。それを経ても経済は成長を続け、株価も上昇をし続けたという事実は何よりも説得力のあるものでしょう。この事実を知っていれば株式市場から撤退しようとは思わないはずです。

短期的にはやはり弱気

そうはいっても株価が下落しているときに株を買うというのは勇気がいるものです。実際シーゲル教授も短期ではあまり強気な予想はしていません。

景気後退では事実上常に企業収益は悪化する。でもどれだけの期間かといえば1年で、その幅は20%に過ぎない。・・・長期投資家なら、長期資産を売る理由にはならないはずだ。

引用:The Financial Pointerより

このように景気後退局面に入れば当然ですが、利益は悪化すると予想しています。しかし、それは1年程度であり、そんなに長くは続かないといっています。本当にその程度で済むのかはわかりません。ただ、公的部門とは違い、民間企業が何年も赤字を垂れ流し続けるというのはあり得ません。そのような企業は必ず株主からの反発が起こり、経営者は後退させられてしまうでしょう。そしてそれでも利益を上げられなければ倒産するだけです。なので民間企業であれば必ず利益を上げようと努力していきます。その結果株価は上昇していくでしょうし、経済も回復していくでしょう。よって投資家としてはこのような景気後退局面でもしっかりと利益を出し続ける企業でいられる会社に投資するようにすべきです。そうでなければ会社の倒産とともに資金を失うことになります。そういう意味で最近は安定したバリュー株が人気なのだと思います。もし、その優良企業を見つける自信がないのであればおとなしくインデックスに投資しておけばいいでしょう。国家という単位で見れば何年もマイナス成長を続けるというのはなかなかあり得ません。まあ、日本に住んでいるとあまり大きな声で言えないような気がしますが、世界で見れば日本のような国は非常にまれな例です。なので有望な国家や地域など大きな単位で見ていけば大儲けはできないかもしれませんが、安定した収益は十分に期待できると思います。

まとめ

今日はシーゲル教授の発言をもとに、景気後退局面における投資姿勢について考えてきました。基本的に個人投資家にとってこのような短期的な変化というのはどうでもいいことです。むしろ株価が下落するということは望ましい状況だとさえ思います。特に最近は株価が異常に上昇していたような気もしますし、ちょうどよかったのではないかと思います。このようなことは短期間で結果を求められる機関投資家などにはできないことです。そういう意味では個人投資家というのは非常に恵まれた存在だと思います。勝つのが難しいといわれる市場で高確率で勝つ手法を使うことができるのですから。