6月の消費者物価は予想以上に悪化する

13日、市場が注目していた米国の6月の消費者物価の数値が発表されました。結果としては予想に反して非常に悪いものであり、市場関係者を大きく動揺させるものでした。そのため株価は下落し、今後の金融引き締めに対してもより厳しい見方をする人が多くなりました。米国のリセッションリスクは日に日に高まっており、今回の消費者物価の数値はそれをさらに加速させるのに十分なものかもしれません。そういうわけで今日は先日発表された6月の米消費者物価指数についてみていきます。

6月の消費者物価指数は大幅な上昇

13日米労働省が発表した6月の消費者物価は以下の通りとなります。

  • 総合CPIは前年同月比9.1%上昇-1981年11月以来の高い伸び
  • ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は8.8%上昇、5月は8.6%上昇だった
  • 前月比では1.3%上昇-2005年以来の大幅な伸び
  • 市場予想1.1%上昇、5月は1%上昇
  • 変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比5.9%上昇
  • 予想中央値は5.7%上昇、5月は6%上昇
  • 前月比では0.7%上昇
  • 市場予想0.5%上昇、5月は0.6%上昇

引用:Bloombergより

このように総合CPIは9.1%と市場予想を大きく上回る数値となりました。一時期は消費者物価の伸びも落ち着いており、そろそろインフレも落ち着いてきたのかと思われるときもありました。しかし実際にはむしろインフレは加速しており、今後の米国経済に対して非常に懸念される事態となっています。

100bpでの利上げもあり得るのか?

そのため、7月のFOMCでの利上げや9月以上の利上げについて以前よりもより強力な利上げを市場は織り込み始めました。

6月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなったことを受け、短期金融市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)による7月会合での100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げを織り込む動きが強まっている。

引用:Bloombergより

このように市場はなんと100bpでの利上げを織り込み始めたのです。以前はその可能性についても出てくることはありましたが、可能性としてはほとんどないといったレベルですが、今回は以前にもましてその可能性について考えられているようです。さすがに今のところはそれが本命ということはないようですが、今後についてもかなりのペースでの利上げを市場は見込んでいます。

金融当局も対応に苦慮しそう

また、アトランタ連銀のボスティック総裁は今後の金融政策についてあらゆる行動を考慮するとの発言をしています。

総裁は13日、訪問先のフロリダ州セントピーターズバーグで記者団に対し、「インフレの数字は懸念すべき要素だ」とし、「あらゆる行動が考慮される」と説明。そうした行動に1ポイントの利上げが含まれるのかとの質問には、「全てという意味だ」と答えた。

引用:Bloombergより

この発言をどう見るかは人によって分かれるでしょうが、今回のCPIについては非常に懸念していることは確かでしょう。その上でインフレ抑制のためにあらゆる手段を用いるつもりだといっているのだと思います。それはおそらく景気後退については仕方ないことと考えているのではないでしょうか。以前もパウエル議長はそのような発言をしていましたし、今回のCPIを見ていればもう悠長なことは言っていられないという感じなのかなと思います。

まとめ

今日は先日発表されたCPIについてみてきました。予想外に悪い数値となり、今後米国がリセッション入りする可能性というのはかなり高くなったといわざるを得ないでしょう。7月と9月のFOMCではかなりの大幅な利上げが予想されます。そのうえでこれまで通り堅調な経済を維持できるのかというのは非常に疑問が残るところです。個人的はさすがに100bpでの利上げはないとは思いますが、その可能性も否定できないと思いますし、9月の利上げについても75bpでの利上げはほぼ確実なのではないでしょうか。そのくらいこんかいのCPIは衝撃的なものでした。そういう意味では今後の先行きについては非常に不確定要素が多くなったような気がしています。