利上げは75bpなのか、100bpになってしまうのか

6月の消費者物価の数字を受けて、市場は大きく混乱しました。予想外に悪い数字であり、そのためより厳しい金融引き締めが行われるのではないかという憶測が流れました。金融当局からも同じような発言が聞かれるため、今月のFOMCでの利上げがどのようになるのかは非常に注目されるところです。そういうわけで今日は今月のFOMCでの利上げについて考えてみます。

7月の利上げは75bpか100bpか

6月の消費者物価をうけてFRB関係者から相次いで厳しい見方がされました。FRBのウォラー理事もその一人で、消費者物価発表後の講演で以下のような発言をしました。

 理事は14日、アイダホ州ビクターで開かれたグローバル・インターディペンデンス・センターのイベントで講演。「最新のCPIデータを踏まえ、私は75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の追加利上げを支持する」と言明した。

引用:Bloombergより

このように今のところウォラー理事は75bpでの利上げに賛成のようです。しかし、この数値には変更の可能性があることも示唆しました。

 6月のCPI統計については「最大級の失望」としつつ、最終的に支持する利上げ幅については、今月26-27両日のFOMC会合の前に発表される小売売上高や住宅関連といった追加のデータに左右されると強調した。ウォラー氏は「そうしたデータが予想より顕著に強い内容だった場合、私は7月会合でのより大幅な利上げに傾くだろう。インフレを押し下げるだけの速さで需要が鈍化していないことが示される限りにおいては、そうする」と述べた。

引用:Bloombergより

このようにウォラー理事は述べ、今後の経済指標の結果によってはより強力な引き締めをする必要性があることを認めました。これまでも75bpでの利上げの可能性についての発言は金融当局から発せられることはありましたが、それ以上の可能性については明確に述べられることはありませんでした。しかし、今回初めてFRB要人が75bp以上の利上げの可能性を発言したということでその意味は非常に大きいのではないかと思います。

株式市場はやや早まった感がある

もちろんまだ利上げ幅がどのようになるかは決まったわけではありません。セントルイス連銀のブラード総裁など他の関係者は75bpを支持しており、ウォラー理事も今のところは75bpでの利上げを支持しています。そういう意味ではこのまま大きな変化がなければ75bpでの利上げが7月に行われるということは間違いないでしょう。しかし、今後の経済状況によってはそれ以上になる可能性はかなり高くなってきたということです。それを株式市場も敏感に感じ取ってCPI発表後は大きく株価を下げる展開となっています。個人的にはまだ75bp以上の利上げを織り込むには早いような気がしますし、ウォラー理事もそのように述べています。しかし、株式市場というのは憶測で動くもので、そして事実が確定すればその瞬間にすべてが終わります。そういう意味では当然の結果かもしれません。なのでしばらくは荒れた展開が続いていくと思われます。

まとめ

今日は7月のFOMCでの利上げについてみてきました。個人的には現状では75bp以上の利上げの確率が大きいと思いますし、100bpでの利上げを考え始めた株式市場はやや行き過ぎた感があると思います。しかし、そう考えてもおかしくないくらいインフレの状況は収まる気配はありませんし、その可能性は日に日に高くなってきてはいるように思います。1か月前にはほとんどなかった100bpでの利上げをというのがここまで意識されるようになったというだけで十分ひどい状況だといっていいのでしょう。本当に困ったものですが、投資家としてはこれはチャンスだといっていいのではないかと思います。何度も言いますが、株式市場が底を付けるときというのは誰もが悲観的になり、株を買おうとは思わなくなる時です。そのような暗黒の時代から株式は上昇を始めるわけであり、今回のような悲観論があふれかえる時こそ投資は続けるべきなのです。