FOMCの結果はほぼ予想通り。しかし、FRBは若干タカ派になっている。

15〜16日、市場関係者が注目していたFOMCが開催され、予想通りFF金利は引き上げられることとなりました。上げ幅は先日の議会証言でパウエル議長が発言していたとおりの0.25bpとなり、大きなサプライズではありませんでした。しかし、発表の内容的には若干タカ派的な印象を持った識者が多いようで、それだけFRBが現在の米国の景気に対して強気なスタンスであり、かつインフレに対する警戒感が強いという姿勢を明確にしたものでした。それを受けたNYダウは500ドル以上上昇して終了しました。これを見る限り市場は概ね今回の結果について好感したものと見られます。そういう意味で今日は先日行われたFOMCについて見ていきたいと思います。

FOMCの結果

今回のFOMCでは当初の予想通り、FF金利は0.25%に上昇し、いわゆるゼロ金利政策は終了することが決定しました。さらに今後についても毎回のFOMCでに利上げが示されており、さらに来年も3〜4回の利上げの予想とかなりタカ派的な結果となりました。ただ資産縮小については具体的な言及はなく、今後の会合で縮小するというのみでした。そういう意味では若干の不透明感は残るものとなっています。

0.25bpは予想通り

今回の発表については概ね事前の予想通りという感じです。当初は0.5bpの上昇も予想されていましたが、ロシアによるウクライナ侵攻によってその可能性はほぼなくなっていました。ただ、先日発表された雇用統計の内容が事前予想通りだったとはいえ、非常に強いものだったこともあり、もしかしたらと思っていましたがそうはなりませんでした。やはりウクライナ情勢などの不透明感が出てきたこともあり、一気に利上げに踏み切るということにはならなかったようです。そうするとやはりインフレが心配になりますが、FRBはそれについては問題ないと思っているのでしょう。今回の発表の中でも米国経済の状況は非常に強いという認識を示していました。なので今回の利上げやウクライナ情勢により景気悪化の影響も十分に耐えられるものと考えているように思います。

8%近いインフレ率を抑え込むことができるのか

しかし、本当に大丈夫なのかということはまだわかりません。FOMC後の株価が上昇していることからも市場は好感しているのだとは思いますが、現在の状況を危惧している識者もたくさんいます。特にこれほど高いインフレ率をたかだか1%にも満たない金利で抑制できるわけがないという主張は非常にもっともだと納得させられます。そういう意味では0.25bpの利上げに留まったことが本当に正しかったのかということは歴史が判断していくこととなるでしょう。少なくとも私のような凡人よりも遥かに頭のいい人たちが決定したことですから間違いはないと信じたいところですが、どうなるでしょうか。

不透明要素はまだ残っている

それと資産縮小については全く不透明だということも不安材料ではあります。非常に膨らんだFRBの資産もいずれは縮小されていかなければなりません。当然FRBもそのように考えているでしょう。しかし、資産縮小は直接的に市場から資金を引き上げるような形となるため、非常に強力な引き締め政策となります。なのでとても慎重に判断していくのだろうと思いますが、その道筋がまだわからないというのはなんとも不安感が残ります。おそらく今後の議事録の開示のときにそのあたりはわかってくるのだろうと思いますが、内容によっては大きなサプライズとなり、株価急落の要因ともなるため注意が必要です。

まとめ

今日は先日行われたFOMCについて見ていきました。すでに発表があったので大きなサプライズはなかったような気がします。しかし、今後の見通しについては結構強気な姿勢で望むようで、インフレに対する強い警戒感が見て取れます。やはり、株式市場にとってはウクライナ情勢よりもFRBの金融政策のほうがインパクトは大きそうです。そういう意味でも今後もFRBの発表には注意が必要だと思います。