現状の労働市場の悪化が金融政策の変更を促す結果となるか

米国の労働市場は引き続き軟化の兆候を示しています。昨日発表の失業保険申請件数では継続受給者が大きく減少しましたが、移動平均で見ればまだまだ高く推移しており、労働市場の鈍化を打ち消すようなものとはなっていません。今日は雇用統計の発表もあり、労働市場の軟化を決定づける一週間となる空気は変わっていません。

新規失業保険申請件数は引き続き悪化

昨日発表された新規失業保険申請件数では労働市場の軟化の兆候が引き続き確認されるものとなっています。

米失業保険統計では、継続受給者数が7月以来の大幅減となった。調査対象週には感謝祭の祝日が含まれる。それまでの2カ月間は増加が続いていた。

  失業保険統計は、特にホリデーシーズンには週ごとの変動が大きくなり得る。変動のより少ない4週移動平均で見れば、継続受給者数は2年ぶり高水準で推移している。

  今回の統計で継続受給者数は減少したものの、労働市場の沈静化の兆候が強まる中でなお高水準にとどまっている。雇用の創出はおおむね健全な状態が続いているが、採用にブレーキをかける雇用主が増え、失業は増加、賃金の伸びは勢いを失いつつある。

  新規失業保険申請件数(12月2日終了週)は1000件増の22万件で、市場予想に一致した。

  別の統計でも労働市場に沈静化の兆候が示された。再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによれば、米国に拠点を置く雇用主は11月に合計4万5510人の削減を発表。この数は前年同月を下回るが、前月比では24%の増加だ。

  シニアバイスプレジデントのアンドルー・チャレンジャー氏は発表文で、「雇用市場は緩みつつあり、雇用主はあまり早急に採用に動いていない」と指摘。「労働市場は安定化しつつあり、通常ペースでの入れ替わりに近づいているようだ。ただ、来年頭にかけてレイオフは続くと予想している」と分析した。

  季節調整前ベースでは、新規失業保険申請件数は2022年1月以来の大幅増。人口の多いカリフォルニアやニューヨーク、テキサスといった州で増加が目立った。

引用:bloombergより

引用:bloombergより

このように継続受給者は減少傾向にあるものの、労働市場の悪化傾向は変わっていないように思います。今回の継続受給者は大きく減少しましたが、移動平均では高く推移している状態は変わりません。また、先週は感謝祭を挟んでいたため、統計値が大きくぶれた可能性も十分にありえるところです。そういう意味では短期的な数値ではなく、長期的な移動平均で判断したほうがいいでしょう。そういう意味ではまだまだ労働市場の軟化傾向は継続中と言っていいでしょう。

金融政策の変更もあるのか

今週は労働市場に関する経済指標の発表が相次ぎましたが、何れも労働市場の悪化を示すものとなっています。やはり強かった労働市場が弱くなったということは間違いないのかなという感じです。更に今夜は雇用統計の発表がありますし、それによってその傾向をさらに裏付けるものとなるのかなという感じです。おそらくは今夜の統計結果もそれほど強いものとはならないと思いますが、雇用統計こそがFRBが最も重要視している指標の一つであるため、非常に注目されるところです。なのでこれまでの結果も需要ですが、今夜の結果しだいで今後の金融政策も大きく変わってくるのだろうと思います。

まとめ

今日は新規失業保険申請件数について見てきました。労働市場の軟化傾向は変わってはいません。そして今夜の雇用統計によってそれがより確かなものとなるのかなという感じです。あとはその程度がどのくらいのものなのか。FRBが大きく政策変更をするほどのものになるのかが注目されるところです。