積立投資も万能というわけではない、ということ

投資をする際には誰でも利益が多くなるようにはどうしたらいいのかを考えると思います。その方法としてはいろいろあるとは思いますが、一般的に個人投資家に進められるのは積立投資です。非常に簡便であり、わかりやすく、誰でもできるという意味からも非常に優れた投資方法だと思います。個人的にもベストとは言いませんが、おそらくは殆どの人にとっては最良の投資方法なのではないかと思っています。なので私も投資初心者に相談を受けたときはたいてい積立投資を進めます。ただし、当然ながら完璧な投資方法というものは存在しません。積立投資にもいろいろとデメリットはあるでしょう。最近はインデックス投資が盛んになっていることもあり、積立投資の話はよく聞くようになりましたが、デメリットについては結構見逃されがちなような気がします。そんなことを考えていたとき、トウシルにとても参考になる記事が紹介されていたので今日はそれをもとに積立投資について考えてみたいと思います。

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※本記事は2022年3月8日に公開したものです。 積立投資についてあらためて考えてみた。気づいたことが幾つかあるので、文…

記事の内容

その記事は3月8日にトウシルに掲載されたもので、山崎元氏の積立投資に対する意見をまとめたものです。同氏は積立投資に否定的というわけではありませんが、注意すべき点があるとして投資家に対して意見を述べています。それは11の心得として以下のようにまとめられていました。

  • (1)長期であっても過去のデータは将来のリターンを全く保証しない
  • (2)積立投資の過去推移は元本増加の効果で過剰に良く見える
  • (3)積立投資資産額の過去グラフはリスクが小さく見える
  • (4)「現在」のリスクは過去の積立で小さくはならない
  • (5)ドルコスト平均法はせいぜい気休めでしかない
  • (6)積立投資の初期のリスク額が過小ではないかを考える価値がある
  • (7)積立投資は「最適投資額」が定期的に変化していると考えるといい
  • (8)貯蓄を自動化することによる積立貯蓄効果の享受
  • (9)ルール化することによる実行しやすさ
  • (10)「一括投資+積立投資」が最適な投資になる場合が多い
  • (11)一括投資+積立投資を「二世代運用」でできるといい

詳しいことは原文を読んでもらいたいと思いますが、個人的に感じたことは以下のとおりです。

  • 過去のデータでは未来の結果を約束するものではないということ
  • 積立投資の有用性を示すときに用いられるものはリスクを小さく見せがちであり、かつその効果をよく見せがちである
  • 積立投資をすることに執着しすぎるのも良くない

こんなところでしょうか。

未来のことは誰にもわからない

過去のデータを用いて、いくら積立投資が素晴らしい結果を残してきたからと言って、これからもそれが優れた結果を出せるとは限りません。これは当然といえば当然なんですが、結構見逃されがちです。とにかく時間を分散し、投資を続けていけばいつかは資産を築けると思いがちですが、将来を約束するものなどこの世には存在しません。あくまで過去の経験からおそらくその可能性が高いだろうというだけです。なのでもしかしたら将来は積立投資をしている人たちみんなが大損する未来が待っているかもしれないのです。もちろんその可能性が低いとみんな思っているからこそ投資を続けているのだとは思いますが、そのことは常に頭に入れて置かなければならないのです。

数値の評価をするときは慎重になるべき

積立投資の説明をする際に、リスクを過小評価し、その効果をより大きく見せがちというのはたしかにそのとおりだなと思いました。よく積立投資をしていると、将来はこのくらいの資産になりますと非常に大きなものを見せられます。そうすると投資のみによってそれが築き上げられたような錯覚をしてしまいますが、その中には当然毎月積み立てていった自己資金がはいっているのです。なので意外と投資によって大きな利益は得られていない可能性も十分に考えられるのです。リスクについても同じで、過去数十年のグラフを見ると大きな下落はあまりないように見えても、ある部分を拡大してみると大きな下落が起こっていたなんてことは十分にありえるのです。それはグラフの縦軸が最終的な資産を基準にしているため、初期の少額の資産のときの変化が異常に小さくなってしまっているためです。例えば現在、ロシアのウクライナ侵攻により株価は大きく下げています。なので今チャートを見ると大きく株価が下がっていることがわかります。これが将来、株価が2倍3倍になったときに2022年の株価のチャートを見たとしてもおそらくは大した下落をしているようには見えないでしょう。このようにグラフの見せ方一つでそのリスクを過小評価している可能性もあるのです。

分散の仕方が重要

投資をする際に時間を分散するということは重要です。ですが、あまりにそれに固執しすぎて、投資するのを遅らせてしまうと大きな機会損失をしてしまう可能性があるのです。特にサラリーマンなどの定期的な収入がほぼ約束されているような職業の人は、手元の資金をほとんど投資してしまったとしても、毎月投資資金が補充されることになるのであまり手元に資金を残しておく必要がありません。むしろいつまでも投資をせずにいることによる機会損失のほうが大きいときもあるのです。そのことをきちんと考えて投資はするようにしたほうがいいでしょう。

まとめ

今回は積立投資をする上で気をつけることについて見てきました。参考にした記事を書いた山崎元氏も言っていますが、積立投資自体を否定しているわけではありません。非常に有効な投資方法であることは間違いなく、個人投資家にとって有効なものであることは疑いようのない事実だと思います。ただ、そのメリットとデメリットをきちんと理解した上で投資をするということが重要だということです。私自身積立投資は何年も行っていて、しっかりと結果を出せています。非常に簡便であり、ストレスなく続けられるので非常に有効なものであることは身を持って体験しています。なので皆さんにも自信を持っておすすめできますが、あくまで投資スタイルは人それぞれです。きちんとそのメリットとデメリットを認識し、自分にあった投資方法を確立するようにしていきましょう。