厳しい金融政策が続いてもインフレが終息するというのは時間がかかる

今後の金融政策についてパウエル議長が明確な引き締め政策を続けることを発言しましたが、その後も多くのFRB関係者がこれに関連した発言をしています。それを聞く限り、やはりしばらくは金利は高止まりし、インフレが落ち着き正常化するまではそれなりの時間がかかるとみていいようです。わかってはいたことですが、厳しい姿勢は続いていくということでしょう。そういうわけで今日は最近発言されたFRB関係者の意見についてみていきたいと思います。

多くのFRB関係者がインフレを抑制する決意を示す

パウエル議長のジャクソンホール会議での発言を受け、多くのFRB関係者が新たな発言をしています。

  30日は3人の地区連銀総裁が、約40年ぶり高インフレを抑えることを最優先課題だとの見方をそろって示した。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、2%の物価目標を達成するためには、いずれ政策金利を3.5%超まで引き上げる必要があるとの見方に同意した。

  同総裁は、最近のインフレ指標には希望が持てるとしつつ、労働市場が依然として強い中で物価上昇はなお急過ぎると指摘。「しばらく景気抑制的な政策が必要になるだろう。これは短期間だけ実行して軌道修正するようなものではない」とし、「インフレ率を下げるためにはこの政策スタンスを維持する必要があるとみている。需要を供給に見合う水準まで抑えていくには長い時間が必要で、おそらく来年も続くだろう」と述べた。

  過去2回のFOMCでは、政策金利はそれぞれ0.75ポイント引き上げられた。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は9月20-21日の次回会合でも、この異例の大幅利上げが選択肢になり得るとしてきた。一方で当局者らは、実際の利上げ幅は9月2日発表の8月雇用統計など一連の経済指標次第で決定されるとも話す。

  リッチモンド連銀のバーキン総裁はウェストバージニア州ハンティントンで講演し、金融当局が物価抑制に向けた取り組みでひるむことはないと宣言。「われわれはインフレ率を目標の2%に戻すことにコミットしており、そのために必要な措置を講じる」とし、「インフレ率は目標水準に下がる過程で跳ね返ることが予想される」と述べた。

  アトランタ連銀のボスティック総裁は連銀のウェブサイトに掲載された論文で、インフレを鎮めるという米当局の責務は「揺るぎない」とした上で、「今後の指標がインフレの鈍化が始まったことを明確に示すようなら、利上げ幅をここ最近の0.75ポイントから巻き戻す理由になるかもしれない」との見解も示した。

引用:Bloombergより

このように30日には3人の連銀総裁がこのような発言をしました。いずれもインフレに対して毅然とした対応を続けていくという姿勢を見せており、今後も厳しい金融政策を続けていくというようです。ボスティック総裁はやや金融政策が緩む可能性について言及していますが、あくまで可能性の話であり、実行するかどうかはわかりません。インフレの鈍化が始まったことを示す明確な指標というのもどの程度の物かもよくわかりませんし、何とも言えないところです。パウエル議長もはじめ、タカ派が多い現在のFRB関係者でも利上げの程度については断定している人はほとんどいないと思います。多くの人は今後の経済指標次第といっており、一応柔軟に対応できるようにはしています。そういう意味ではボスティック総裁の意見もハト派のような感じは受けますが、他の人たちと大きく違ったことを言っているということはないように思います。厳しい姿勢で臨んではいくが、状況に応じて柔軟に対応していくということでしょう。

早期にインフレが終息するというのはやはり厳しい

やはりインフレが近い将来に収束し、経済が正常化するというのはかなり可能性が低いのだろうという印象です。少なくとも来年もこの状態は続いていくのでしょう。さすがにこれ以上悪化するということはないようには思いますが、インフレ率が目標とする2%程度へとすぐに落ち着くということはFRB関係者もあまり思っていないようです。ウクライナ情勢もどうなるかわかりませんし、エネルギーや食糧の問題を考えるとさらに悪化する可能性もあるでしょう。逆にウクライナ情勢が収束すれば一気に商品価格が下落し、インフレも急激に落ち着くかもしれません。しかし、この辺りはどうなるかというのは本当に予想できません。下手をすればさらに悪化に拍車をかけるような事態も起こりえますし、何とも言えないといったところです。そういう意味でもしばらくはインフレは高止まりし、経済は停滞するという可能性が高いのではないかと思います。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてみました。多くのFRB関係者もしばらくはインフレを抑制し、経済の正常化は不可能とみているようです。現在の経済状況や世界情勢を見ればまあそうだろうという印象です。しばらくは厳しいかもしれませんが、いずれ必ず明るい未来は来るはずです。その時のために今は種を仕込んでおく時期ということでしょう。今を絶えれば必ず大きな実りとなって帰ってくるはずです。あきらめずに辛抱するのが大切なのだと思います。