5月のPCEはやや落ち着きをみせたが、インフレが落ち着いたとはまだ言えない。

米国の個人消費支出は想定よりも鈍化してきているようです。昨日発表された5月のPCEは予想よりも伸びは小さく、個人消費が想定よりも強くない可能性が示唆されました。インフレ圧力は依然として強いですが、先行きに対してはややインフレも落ち着いてくると見てもいいのかもしれません。

PCEは落ち着きを見せる

昨日発表された5月のPCEは非常に落ち着いたものとなり、米国の個人消費の過熱感は失いつつある可能性が示唆されました。

5月の米個人消費支出(PCE)統計では、インフレが鈍化し、消費支出は実質ベースでほぼ横ばいにとどまった。米経済の主要なけん引役が勢いを幾分失い始めたことが示唆された。

  コア価格指数の前年同月比伸び率は2022年終盤以降、ほぼ同じ水準で推移している。

  PCE価格指数は米金融当局が重視するインフレ指標で、その鈍化が示されたことは当局にとり歓迎すべきものだ。ブルームバーグの算出によれば、住宅・エネルギーサービスを除くサービス業の価格指数は前月比0.2%上昇と、マイナスとなった昨年7月以降で最低の伸び。前年同月比では4.5%上昇した。 

  PCEは前月比0.1%増加。市場予想は0.2%増だった。4月は0.6%増(速報値0.8%増)に下方修正された。 

  実質PCEはほぼ横ばい。4月は0.2%増(速報値0.5%増)に下方修正された。1月に急増した後、2月から5月にかけて実質PCEは基本的に足踏み状態が続いている。5月は財への支出が減少し、サービス支出は増えた。 

  ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏は4-6月(第2四半期)に家計支出が減速することを今回の統計が示唆していると指摘。

  「消費の伸び鈍化は米金融当局にとっては歓迎すべきことだろう」とした上で、「金融政策のごく短期の軌道がこれで変わる公算は小さい。当局者は政策金利を一段と引き上げ、より景気抑制的なスタンスにする必要があるとの見解にコミットしている」とリポートに記した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール氏、イライザ・ウィンガー氏らは「5月の個人所得・支出データは、所得の伸びとインフレの関係が徐々に緩んでいることを示す。最新のドット・プロット(金利予測分布図)で示唆されたように、さらに50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の米利上げが必要かどうかは疑わしい」と分析した。

  実質可処分所得は前月比0.3%増。4月は減少していた。インフレ調整前では0.4%増(市場予想0.3%増)。賃金・給与が0.5%増と、今年1月以来の大きな伸びとなった。

  貯蓄率は4.6%で、22年1月以来の高水準となった3月と同じ水準。消費者が支出への慎重姿勢を強めていることが示唆される。

引用:bloombergより

このように米国の個人消費は落ち着きを見せています。最近はGDPや労働市場の動きなどで引き続きインフレが厳しい状況を示唆するものが多かっただけに、今回のPCEの発表は少し安心感を与えるものとなったような気がします。個人消費は米国経済を支える最重要な部分であり、そこが落ち着くということは経済全体に与える影響は非常に大きいと言っていいと思います。そういう意味ではPCEが強くないということはインフレ抑制を目指す現在、大変良いニュースであると言っていいでしょう。

まだ結論は言えない

ただ、これをもってFRBの金融政策が軟化するというのはなかなか言えないのかなという印象です。今回の結果がFRBにとって朗報であることは間違いないとは思いますが、一つの指標の結果だけでどうこうなるということはないでしょう。特に他のインフレ指標はまだまだ強さを示すものが多く存在します。そういう意味では7月の利上げがこれで弱くなるということはないのかなという印象です。FOMCまでには雇用統計など重要な指標の発表がまだたくさん控えています。そういう意味ではそれらと合わせて判断する必要があるでしょうし、そのような声がすでに内部から聞こえてきています。なのでまだ結論は言えないということは覚えておくべきでしょう。

まとめ

今日は5月のPCEについて見てきました。最近はインフレがまだ強いという結果が多く発表されていただけに、今回の内容というのは一安心といった感じがします。もちろんこれだけでどうということはありませんが、少なくとも朗報であることには間違いありません。そういう意味でも今後もこの流れが続くことを願うばかりです。