今後のドル円はどのようになるのか

為替市場では円安が進んでいます。日本は依然として低金利政策を維持しており、その解除の見通しは立っていません。そして米国では好調な経済指標を背景により厳しい比企市の可能性について考えられるようになっています。そうなれば金利差から為替が円安ドル高に動くというのは当然の流れです。そういう意味では今後の経済次第ではさらなる円安という可能性も否定できないところでしょう。

しばらく円安が進む可能性

先日、ドル円の先行きについてのレポートがバンク・オブ・アメリカより発表されました。

円はドルに対して一段安となる公算が大きいと、アダーシュ・シンハ氏を含むバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストが予想した。円を調達通貨としたキャリー取引が活況で、円はドルに対して年初来安値を更新した。

  円は低いボラティリティーと大幅な金利差の持続で、夏の間を通じてドルに対して圧迫される見通し。「2024年の円の下落リスクは無視できない」とストラテジストらはリポートで指摘、9月までに1ドル=147円を付けると見込んだ。

  円が対ドルで150円を超えて「劇的に」下げない限り、日本政府は為替介入を控える公算が大きいとし、「弱い円の費用と便益のバランスは改善した。原油価格の下落とインバウンド観光の再開で、通貨安の政治的コストも和らぐ可能性がある」と論じた。

  シンハ氏らは、日銀が早ければ7月の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を微調整すると見込む。「だが、マイナス金利政策は2024年まで維持される可能性が高いため、キャリー取引に関係するフロントエンド金利への影響は限定的となるはずだ」との見解を示した。

  30日の東京外国為替市場で、ドル・円相場は一時昨年11月以来の145円台に上昇した。

引用:bloombergより

このようにバンク・オブ・アメリカではドル円の先行きに対して一段の円安の可能性について言及しています。最近は米国での堅調な経済指標を背景に、FRBがさらなる厳しい金融政策を実行するのではないかという観測も出てきています。そういう意味ではドルが一段と強くなる可能性が出てきたと言っていいでしょう。対して日本はというと、未だ緩和政策を解消する気配はありません。日銀総裁が黒田氏から植田氏に代わり、その政策も変更されるのではないかという期待もマーケットに出ていた時期もありますが、いまのところ植田新総裁は金融緩和政策の変更の可能性については否定しています。そういう意味でしばらく日本では緩和政策が続くと見ておいたほうがいいでしょう。そういう意味では今後しばらくは日米の金利差がよりひらく可能性が高く、それを意識した為替市場となる可能性が高いでしょう。

その後は急激に円高になる可能性も十分にある

米国のインフレは予想されていたとおり非常に粘着性が高く、なかなか解消されそうもないのかなという印象です。少しずつ緩んできたのかなというような指標も発表されますが、すぐにそれを打ち消すようなものが出てきて、紙上の基体を裏切るという展開が続いています。そういう意味でも今後しばらくは米国のインフレは居座り続けると見ておいたほうがいいでしょう。もちろん永遠にインフレが続くということはないでしょうが、期待するほど簡単には現在のインフレや景気後退懸念というのは解消しないと見ておいたほうが良さそうです。そして日本では相変わらずの緩和政策が続いています。植田総裁も当初予想されていたよりも金融緩和に積極的であり、なかなかその変更の可能性についての発言はしてこないという状況です。まあ、はっきり言って周りが勝手な思い込みをしていただけですし、それを植田総裁のせいにするのは間違っていると言っていいでしょう。植田総裁は当初から緩和政策は維持すべきという発言をしており、解除するなどとは一言も行っていません。沿いういうい味ではマーケットが勝手な憶測で行動しているだけという感じがします。ただ、こちらも当然ですがいつかは緩和政策も終了するでしょう。最近では消費者物価の上昇が継続的に実現しています。エネルギーなどの外的要因による部分も多いですが、それを考慮したとしてもかなり物価の上昇が起きていることは事実です。そういう意味ではこの緩和政策もそう長く続かない可能性も十分あるのかなという感じがします。そうなると今度は一気に円高へと動くことになるでしょう。おそらくその頃には米国の引き締め政策も終了するかその可能性について考えられ始めているはずです。そうなるとマーケットの状況は今と全く違ったものになるのかなと感じています。

まとめ

今日は今後の為替について考えてきました。しばらくは円安が進行するのは間違いないでしょう。それがどこまで行くのかというのは正直わかりません。そこまで極端な数値にはならないとは思いますが、ある程度の円安はまだ進むのかなと思います。しかし、もう少し長いスパンで見れば円は急激に高くなる可能性も十分にあります。その可能性についてはしっかり頭に入れておいたほうがいいでしょう。