景気の先行きは不透明、不動産市場も悪化の一途

米国経済は今のところ緩やかな成長は続けていますが、先行きに関してはやはりかなり悲観的になっているようです。19日に発表された地区連銀の経済報告では今のところ緩やかな景気拡大は続いていますが、先行きに対する不透明感は増加しているとの記載があったようです。やはり今後の経済についてはまだまだ楽観的に離れないようです。というわけで今日は今後の経済の見通しについて考えていきます。

景気の先行きがさらに悪化

19日に発表された地区連銀の経済報告、いわゆるベージュブックでは今後の景気の先行きについてやや悲観的な記載がなされています。

米連邦準備制度理事会(FRB)は19日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、10月初旬まで米経済は「緩やかに」成長したが、国内のさまざまな地域で状況が異なり、2地区では活動が鈍化していると指摘した。

  ベージュブックは「全米での経済活動は前回報告から総体的には緩やかに拡大したが、産業や地区によって状況は異なる」と報告。「需要低迷についての懸念が強まる中、見通しはより悲観的になった」としている。

  ベージュブックは連邦公開市場委員会(FOMC)会合の2週間前に公表され、今回は12地区連銀が10月7日までに集めた情報を基にダラス連銀がまとめた。

  「4地区で活動横ばい、2地区で活動低下が報告され、金利上昇とインフレ、供給問題を原因とする需要の減速や鈍化が挙げられた」と記述。「物価の伸びは高止まりしているが、いくつかの地区では若干の緩和が見られた」とした。  

引用:Bloombergより

この報告書を見る限り、景気の先行きに対してはやはり悲観的にならざるを得ないといった感じです。今のところはまだ景気の拡大は続いてはいますが、インフレの高止まりや金融政策の影響などを考えると、今後についてはあまりよい見通しはないといったところでしょう。細かく見ていくと、インフレの状況は若干程度が異なるようで、落ち着いた兆しが見えてきていることろもあるようです。これが米国全体に広がり、インフレが落ち着いてくるのであれば先行きに対しても少し余裕が出てくると思いますが、今の状況を見る限りあまり楽観的になれないのかなという感じです。おそらくはインフレはしばらく高止まりするとみた方がいいのかなと思います。

不動産市場も悪化が続く

住宅市場についてはかなり悲観的な状況が続きます。9月の住宅着工件数は市場予想を大きく下回る結果となり、大幅な金融引き締めの影響をもろに受ける格好となっています。

9月の米住宅着工件数は市場予想以上に減少した。着工件数の先行指標となる住宅建設許可件数も一戸建て住宅が前月に比べて減少。約20年ぶりの高水準にある住宅ローン金利が需要を減退させ、住宅着工に影響を及ぼしている状況があらためて示された。

  着工件数のうち、一戸建ては年換算89万2000戸に減少。2020年5月以来の低水準となった。集合住宅の着工件数も減少した。

  建設許可件数の増加は集合住宅の伸びを反映したもので、一戸建ては前月比3.1%減の87万2000戸と、この2年余りの最低水準に落ち込んだ。

  根強いインフレの抑制に向けて米金融当局が積極的な利上げを続ける中、住宅市場はその影響を大きく被っている。

  アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「住宅市場の底が近づきつつあるとは、とても思えない」とし、「さらなる痛みはこれからやってくる。その可能性が最も高い」とリポートに記した。

引用:Bloombergより

このように不動産市場の減速は収まる気配を見せません。不動産価格の下落は個人の資産減少に大きな影響を与えるため、消費に対する影響も大きなものとなります。また家賃収入などにも影響が出るため、さらに消費に悪影響となることは間違いないでしょう。少なくとも金利が上昇している間は不動産市場が回復することは難しいのかなという印象です。これだけ高い金利を上回るほどの収入の増加というのはさすがにあり得ないと思います。なので実質的な所得というのはどんどん減少していくことでしょう。そういう意味でも不動産市場の先行きというのはまだまだ明るいものは見えず、米国経済全体に大きな影響を与えることになるでしょう。

まとめ

今日は今後の米国経済について考えてきました。相変わらず先行きは不透明なままです。まあ、そんなにすぐに変わるということはないので当たり前といえば当たり前ですが、なかなか厳しいなという感じがします。来年の経済成長も非常に低いと予想されている米国ですので、しばらくはこんな感じが続いていくのでしょう。短期的には上昇するかもしれませんが、しばらくは静観しておいた方がいいのかもしれません。