新規失業保険申請件数は予想よりも下回る。依然労働市場は堅調。

先行き不透明な状況が続く中、労働市場は相変わらず堅調のようです。20日に米労働省が発表した10月15日までの一週間の新規失業保険申請件数は市場予想を下回る結果となり、依然として労働市場は堅調であることが確認されました。雇用が安定しているという点で見ると米国経済はまだまだ力強さを残しているといえるでしょう。しかし、現在はそれはFRBが強力な引き締めを行う根拠ともなってしまうため、株式市場にとっては何とも言えない状況だともいえるかもしれません。というわけで今日は新規失業保険申請件数についてみていきます。

新規失業保険申請件数は市場予想よりも少ない結果となる

20日に米労働省が発表した10月15日までの一週間の新規失業保険申請件数は市場予想を大きく下回る結果となりました。

米労働省が20日に発表した10月15日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は21万4000件に減少した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は23万件だった。

金利上昇を背景に労働需要が鈍化する中でも、労働市場は引き締まった状況が続いている。

前週分は、当初発表から2000件下方改定された。

10月8日までの1週間の継続受給件数は前週比2万1000件増の138万5000件だった。

引用:ロイターより

このように10月第3週の失業保険申請件数は市場予想よりもかなり少ない数値となりました。現在、インフレが高止まりする中、FRBが強力な引き締め政策を行っています。そのため不動産市場をはじめ多くのセクターで景気後退の足音が聞こえてきています。そのため株価も下落傾向が続いています。景気の先行きについても悲観的な話が多く、全くと言っていいほど明るい話は聞こえてきません。そのためFRBが引き締め政策を転換し、緩和に打って出るのではないかという話も一時出てきてはいましたが、今はもうあまりその声は聞こえてきません。その要因の一つが非常に強い労働市場にあります。

FRBはこのまま引き締めを続けるだろう

米国は高いインフレに悩まされているとはいってもいまだに成長を続けています。物価は上昇を続けていますが企業活動も活発であり、労働者の獲得にも積極的です。そのため労働市場はいまだに健在であり、米国の経済を支える重要な要因となっているのです。もちろんこれだけのインフレと引き締めが継続するのであればいずれ労働市場も悪化していくことでしょう。しかしながら今はまだその気配はありません。そういう意味でも米国では今後も厳しい引き締めが続いていくことでしょう。労働市場が悪化するのが先か、インフレが落ち着くのが先か。まあ、インフレに勝つというのはなかなか大変だとは思いますが、FRBは何としても景気後退させずにソフトランディングさせようと思っているのでしょう。正直あまりうまくいくとは思いませんが、この予想は外れてくれた方がありがたいのでそうなることを願うばかりです。

まとめ

今日は先日発表された新規失業保険申請件数についてみてきました。相変わらず米国の労働市場は堅調です。この堅調な労働市場が続く限り、FRBの強力な引き締め政策は続いていくことでしょう。FRBとしては何とか労働市場が堅調なうちに利上げを終了させ、ある程度柔軟な金融政策ができるように持っていきたいと思っているのだろうと思います。今のところその試みはうまくいっているように思います。しかし、いつまでこの状況が持つのかは誰にもわかりませんし、それがうまく行ったところでその先も想定通りにいく可能性は未知数です。インフレが目標とする2%まで落ち着くのにはかなりの時間を要するでしょう。それまでどのような経路をたどるのかは神のみぞ知るといったところです。