債券市場でも利上げの可能性を織り込み始める

最近、予想外に強い経済指標の発表が相次いだために今後の金融政策については利下げより盛り上げの可能性すらあるのではないかという話をしました。しかし、その可能性というのはあくまで可能性の話であり、メインシナリオではないと言ってきました。今もそれは変わりませんが、利上げの可能性を示唆する動きというのは日に日に強くなってきています。そういう意味では今後の金融政策について非常に不透明感が漂ってきているなと感じるところです。

債券市場が利上げの可能性について考え始める

この所の強い経済指標の発表を受け、債券市場では利下げの可能性を捨て、利上げの可能性を探る動きが顕著に出てきているようです。

債券トレーダーは米金融当局に屈し、積極的な利下げが今年行われるとの希望を捨てている。

  オプション市場では23日、こうした予想のシフトがこれまで以上に強く示された。米当局が金融政策を一段と引き締めることに備えるポジションが組まれた。

  プット・コンドルとして知られるストラクチャーで、今年12月の期日までに連邦準備制度理事会(FRB)のフェデラルファンド(FF)金利が5.625-5.875%の範囲にあったら最大限の利益を得られる仕組み。現在の実効FF金利は5.33%だ。

  担保付翌日物調達金利(SOFR)にリンクしたこのオプションのプレミアムは75万ドル(約1億1300万円)。およそ3万枚という枚数からすれば小さな額だ。従って大手の機関投資家などが外部のリスクに備えたもの、あるいは既に存在するヘッジの調整手段に過ぎないかもしれない。

  しかし、そうであったにせよ、これは米債券市場で急速に広がっている不安感のシグナルと言える。予想以上に強いインフレ指標を受け、米金融政策に対する見通しは大きく変わってきている。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年7月に利上げをして以来、政策金利を据え置いており、市場は依然として年内に0.25ポイントの利下げが3回程度行われると見込んでいるが、そうした予想が過度に楽観的なのではないかとの見方も一部にある。

  2024年12月が期限の同SOFR連動オプションは、12月17、18両日に予定されているFOMC会合の1週間前に期日が到来する。従ってそれまでにあと1、2回の利上げが行われれば、最大限の利益を上げられることになる。

引用:bloombergより

このように債券市場ではすでに利上げの可能性について考えられるようになってきました。最近の強経済指標の影響は段々と無視できないレベルに近づいてきているように思います。債券市場でこのような動きが出てきているということは当然ながら株式市場にもその影響は及んでくることでしょう。そうであれば利上げの可能性を考え、株式投資に対して非常にネガティブになってくる可能性もあるかもしれません。もちろんまだまだその選択が第一候補ということではありませんが、その可能性を探る動きが日に日に強く意識されていることは非常に気になるところです。

その可能性はまだ小さいが・・・

最初はおそらくサマーズ元財務長官の発言だったと思いますが、それから随分と利上げの可能性について指摘する声が多くなってきたように思います。最初はもちろん、今もそれはそう大きくはないだろうと思っていますが、ここまで多くの場所で考えられているということはマーケットに与える影響というのも小さくはなくなってくるのだろうと思います。今の所、その考えというのは一部マーケットのみのとどまっており、特にFRBからは流石にそれを匂わせる発言というのはありません。そういう意味では今のところこの栄養というのは限定的かなという感じです。そういう意味では今後、当局からその可能性について示唆するような発言があれば、この動きというのはより大きくなって市場を動かすことになるのかもしれません。

まとめ

今日は今後の利上げの可能性について考えてきました。まだその可能性というのは非常に小さいとは思いますが、市場ではその可能性について少しずつ考慮するようになってきたように思います。今のところは金利の維持の可能性が一番高いと思いますが、利下げの時期というのはまだまだ先でしょうし、もしかしたら利上げの可能性もそうない話ではないのだろうという空気にはなっているのかもしれません。