ISM非製造業景況指数は予想に反して強いものとなった

3日に発表されたISM非製造業景況指数は予想に反して上昇していることがわかりました。先日発表されたISM製造業景況指数はあまりよくありませんでしたが、こちらは非常に堅調であり、米国経済はまだまだ力強さを残しているようです。そういうわけで今日は先日発表されたISM非製造業景況指数についてみていきたいと思います。

ISM非製造業景況指数は予想外に強いものとなった

3日の日に発表されたISM非製造業景況指数は市場予想よりも強いものとなりました。

米供給管理協会(ISM)が発表した7月の非製造業総合景況指数は、市場予想に反して3カ月ぶりの高水準に上昇した。業況と受注の指数が堅調さを増し、景気減速への懸念が和らいだ。

  • 非製造業総合景況指数は56.7
  • 前月の55.3から上昇
  • ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の全てを上回った
  • 予想中央値は53.5
  • 指数は50が活動の拡大と縮小の境目を示す

7月は鉱業と不動産を中心に、サービスの13業種が活動拡大を報告した。

  入荷遅延指数は2021年1月以来の水準に低下したものの、納品までの期間長期化が続いていることを示唆。6月に急上昇した受注残の指数は鈍化した。

  仕入れ価格指数は72.3に低下。前月の80.1から7.8ポイント低下し、昨年2月以来の低水準となった。7月の製造業指数でも仕入れ価格指数は前月比18.5ポイント下げており、燃料コストが低下する中でインフレ圧力が緩和していることが示唆された。

  非製造業の在庫指数は昨年10月以来の低水準となり、在庫減少ペースが加速していることを示した。

引用:Bloombergより

最近の経済指標はあまりよいものがありませんでしたが、今回の発表はまだ米国の個人消費は強さを残しているということを示したのではないかと思います。先日発表されたISM製造業景況指数ではあまりよい数値ではありませんでした。つまり消費者の行動はモノの消費からコトの消費へと移っているということの証明でしょう。これから夏に向けて観光などのシーズンとなります。新型コロナの影響による経済活動の抑制もほぼない状態なので、消費の向かう方向が物からコトへ移っているということです。そういう意味では予想よりは米国経済は悪くないのかもしれません。

だからといって楽観はできない

そうはいっても米国経済の先行きについては楽観できるものではありません。依然としてインフレは居座っており、このままいけば米国の強い個人消費も落ちてくることはまず間違いないと思います。実際、家計の貯蓄率は低下してきており、米国の個人がかなり無理をして消費をしているのであろう兆候は随所に見て取れます。そういう意味でも今のところは何とかなっているとしても今後についてはやはり懸念は残るところです。

50か75?

このような感覚は市場も感じているようで、9月の利上げについては現在のところ、50bpと75bpでの利上げを織り込んできているようです。

3日の米短期金融市場は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で決定する利上げ幅を、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と75bpのいずれか確率半々として織り込んでいる。

  9月のFOMC会合日程を考慮したオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)の利上げプレミアムは、2.958%にまで上昇し、実効フェデラルファンド(FF)金利の現行水準を約62.8bp上回った。50bpの利上げは確実、75bpの利上げとなる確率は50%を超えるとの市場の見方が示唆された。

引用:Bloombergより

少し前には7月の利上げは100bpになるとかかなり景気減速を懸念する声が聞かれるようになっていましたが、今は景気減速を示す指標が相次ぐなどやや利上げのペースを緩める観測も多くなってきています。そういう意味では50bpという話もそうなのであろうといった感じです。ただ、個人的にはやはりインフレを抑制するべきであろうという感じはしますし、堅調な労働市場や今回のように個人消費もまだ力強さを見せていることを考えるとそこまで緩めることはないのではないかと感じています。

まとめ

今日は先日発表されたISM非製造業景況指数についてみてきました。予想に反して強い結果となり、米国の消費者の消費に対する意欲というのはまだ衰えていないということが証明されたのではないかと思います。ただ、さすがに今後もこの傾向が続くというのは考えづらいです。そろそろ息切れするのではないかと思います。あとはそれがどの程度の物なのか。大きく経済を停滞させるほどの物なのかが注目されます。そこまで大きく経済を減速させないのであればFRBは引き締めの手を緩めることはないでしょう。しかし、あまりに減速が厳しいようであればその可能性も考えるかもしれません。個人的には9月はそれほどでもないかもしれませんが、そのあとは結構厳しくなるのではないかと感じています。