強い経済指標はまだまだ想定の範囲内

最近はやや強めの経済指標の発表が相次ぎ、利下げ期待の後退など一時期よりも先行きに対して不安定な見方が増えてきています。それでもなおFRBは現在の状況はまだまだコントロール可能と見ているようです。短期的に出てきた数値に一喜一憂するよりも長期的な視点で物事は見ていくことがいいということでしょう。

まだまだ予想の範囲内

昨日、シカゴ連銀のグールズビー総裁は講演にて以下のような発言をしています。

米シカゴ連銀のグールズビー総裁は14日、やや高めのインフレデータが数カ月続いても、米金融当局の2%目標に回帰する道筋となお整合するとの考えを示した。

  グールズビー氏はニューヨークの外交問題評議会(CFR)で講演し、「利下げはインフレが目標への軌道上を進んでいるとの確信と結びつけられるべきだ」と指摘。「過去6カ月に見られたようなデータが増えれば、その道筋が見えてくるだろうが、それは恐らく厳しい」と述べた。発言は講演原稿に基づく。

  多くの予想が示唆するように「インフレが数カ月にわたってやや高めに出たとしても、当局目標への道筋となお整合するといえよう」と続けた。

  グールズビー総裁はインフレのトレンドを単月の数字で判断しないことが重要で、当局の2%目標はCPIではなく個人消費支出(PCE)価格指数に基づいていると強調。2つの統計は「やや著しく」異なることがあると話した。同氏は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で議決権を持たない。

  「インフレが12カ月ベースで2%に低下するまで利下げ開始を待つことは支持しない」とし、FOMCの現行政策スタンスは「かなり抑制的」だと付け加えた。

引用:bloombergより

このようにグールズビー総裁は現状についてまだまだ問題がある状態であるとは認識していないようです。最近の強い経済指標については警戒感を持っているようですが、あくまで数値単体での評価はしないということでしょう。実際、このような統計データは短期的には大きくぶれて、マーケット参加者を惑わすようなことをすることがあります。そういう意味では数値一つ一つを見るよりも大局的に物事を俯瞰するようにしたほうがいいということです。なので最近の強い経済指標というのも気をつけなければいけないでしょうけれど、そこまで慌てる必要もないということなのかなという感じです。

利下げはまだまだ先

最近の強いデータというのは正直予想の範囲内のような気はしています。何度も言いますがマーケットが楽観的すぎるというだけであり、インフレはそこまで簡単には鈍化しないでしょうし、そこまで再加速もすることもないでしょう。そしてそのことをFRBはきちんと理解していると見られ、そのことを念頭に置きつつ金融政策を勧めていくことでしょう。具体的に言えば利下げはそう簡単には実施されないということです。物価の落ち着きが確実に起きてきたと確認されるまでは利下げに踏み切ることはないでしょう。そのことはこれまでも感じていましたが、今回の発言でもそれをさらに確信するようになったなと思います。

まとめ

今日はグールズビー総裁の発言について見てきました。現状、インフレの予想外の強さを見せつけられたという感じになっていますが、それも予想の範囲内であり、FRBとしてもまだまだ問題であるとは思っていないようです。そういう意味ではこれからも辛抱強く、見守っていく必要があるでしょう。利下げはマーケットが思っているよりも後ろへとずれる可能性が非常に高いです。そういう意味でもそのことを頭に入れて行動する必要がありそうです。