消費者指数は予想外に強い結果。利下げ期待はさらに後退する。

市場の利下げ期待は再び打ち砕かれた形です。昨日発表された1月の消費者物価指数は市場予想を大きく上回る結果となり、物価圧力は依然として強く存在していることが確認されました。このことにより、早期利下げの可能性はほぼなくなり、市場の予想も大きく後退することになりました。よって今後の展開というのはやや弱含む可能性が高くなったのかなという印象です。

1月の消費者物価は予想外に強い

昨日発表された1月の消費者物価指数は市場予想を大きく上回る結果となりました。

1月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る伸びを示した。インフレ鈍化が続くとの期待に冷や水を浴びせる格好となり、連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げが遅れる可能性が高まった。

  エコノミストは基調的なインフレの指標として、総合CPIよりもコア指数を重視している。

  今回の数字は、既に後退していた早期利下げ開始の可能性をさらに低下させる。インフレ再加速の兆候がさらに表れれば、利上げ再開の議論が再燃する可能性がある。一部の米金融当局者は、利下げに踏み切る前により広範な物価圧力の後退を確認したい考えを示している。

  統計発表を受けて、市場では利下げ開始時期の予測が後ずれし、3月の確率はほぼゼロに低下した。

  チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は「FOMCはこの統計で5月か6月まで待つ理由が増えたと考えるだろう。しかしトレンドの方向性はなお下向きだ」と指摘。「伸びの大半が住宅によるものだ。これらのコストがいつ下がるのか分かるのは待つしかない」と述べた。

  1月のCPIは食品価格や自動車保険、医療費の上昇を反映した。住居費は全体の伸びの3分の2余りに寄与した。外来医療費とペットサービスはいずれも1月としては過去最大の上昇となった。

  一方、中古車の価格は前月比ベースで1969年以来の大幅低下となった。算出手法の変更が影響した。より広範な財やエネルギーの価格は低下が続き、最近のディスインフレは少数のカテゴリーに集中しているとする金融当局者の懸念を浮き彫りにした。

  先週発表されたCPI年次改定では、2023年10-12月(第4四半期)のコア指数は年率3.3%上昇と改定前から変わらなかったほか、総合指数も小幅な修正にとどまった。

  しかし、1月の数字から新たな比重が適用され、サービスがより重視される一方、財の比重は低下。これは今年のCPI見通しをやや押し上げるとエコノミストは指摘している。

  サービスで最大カテゴリーである住居費は前月比0.6%上昇と、ほぼ1年ぶりの大幅な伸び。エコノミストはこの分野の持続的な鈍化がコアインフレを米金融当局の目標に引き下げる上で鍵になるとみている。

  ブルームバーグの算出によれば、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.8%上昇と、2022年4月以来の高い伸びを示した。政策当局者らは米国のインフレ軌道を見極める上で、このメトリックに目を向けることの重要性を強調しているが、実際には別の指標である個人消費支出(PCE)価格指数に基づいてそれを算出している。PCE価格指数はCPIほど住居費に重点を置いていない。PCE価格指数が当局の2%目標にかなり近づきつつあるのはそれが一因となっている。

  サービスとは異なり、財の価格は過去1年の大半にわたって持続的に下げており、消費者に一定の安心感をもたらしている。食品とエネルギーコモディティーを除いたコア財価格は昨年7月以来の大幅低下となった。

引用:bloombergより

このように消費者物価は依然として強く推移しているようです。これまで消費者物価は底堅いとはいえ鈍化傾向にあったことは事実です。しかし、ここへ来て再び強さを見せ始めたという事実は利下げの時期を更に後ろへ後退させると共に、再び利上げの可能性すらある事態となってきています。そういう意味で非常に大きな驚きを持って今回の結果は見られていると言っていいでしょう。

利下げはまだまだ先

今回の結果は正直驚きであったと言っていいのかなと思います。ここまで強い消費者物価だとは思いませんでした。そういう意味でこれまでかなり利下げ期待というのは低くなってきていたと思いますが、さらなる後退は避けられないと言っていいでしょう。現状、3月の予想はほぼ消え去り、早くても5月か6月ということですが、それもやや楽観すぎると言っていいのかなという感じです。現状を考える限り利下げの可能性は夏以降ではないかという印象です。そして利上げの可能性については流石にそこまではまだ必要無いのかなという感じです。そういう可能性も考えていないことはないと思いますが、しばらくは金利を据え置いて様子を見るというのが妥当なところかなと思います。いずれにせよ、状況は思っていたよりも楽観的ではなく、辛抱の時間が続くような気がします。

まとめ

今日は1月の消費者物価指数について見てきました。予想外に強い結果は利下げ予想をかなり後退させるのは間違いないでしょう。そして利上げの可能性すら考えられてきていますし、そういう意味ではまだまだ予断は許さないという感じだろうと思います。