米国の労働市場は依然堅調

日々深刻さを増す米国経済ですが、相変わらず労働市場は堅調に推移しているようです。9月24日終了週の新規失業保険申請件数は予想外の減少を示し、米国の労働市場は堅調であるということがわかりました。とりあえずまだ大きな景気後退に陥るということはないようにおもわれますが、これもいつまで続くのかといった感じです。というわけで今日は新規の失業保険申請件数についてみていきます。

新規失業保険申請件数は予想外の結果

9月24日終了週の新規失業保険申請件数は市場予想を大きく下回る結果となり、依然として米国の労働市場は堅調であるという事が証明されました。

先週の米新規失業保険申請件数は前週から予想外に減少し、5カ月ぶりの低水準となった。経済の先行きが不安定な中でも労働需要が堅調に推移していることが示唆された。

  新規失業保険申請件数は新型コロナウイルス禍前の10年間の平均は約30万6000件で、20万件を下回ることはめったになかった。

  より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は5週連続で減少し、20万7000件。 

  雇用主が労働力の確保に努める中、失業保険申請件数は過去数カ月、歴史的な低水準にとどまっている。米民間調査機関コンファレンスボードが28日発表したデータでも、仕事が「豊富にある」との回答比率が49.4%に上昇し、高水準を維持した。

  ただ、米金融当局がインフレ抑制に向けた積極的な利上げを進める中、採用活動は弱含むことも予想される。利上げはすでに住宅ローン金利などの急騰をもたらしているが、今後数カ月で経済全体に波及し、失業率の上昇につながる可能性がある。

  パンテオン・マクロエコノミクスのイアン・シェファードソン氏は「労働力の確保が依然として非常に難しいため、企業は恐らく、通常の状況であればレイオフされたであろう人々を抱え込んでいる」とリポートで指摘。「現時点で、米金融当局が望む労働市場の軟化がレイオフ増加によってもたらされる可能性は低いとみられる」と記した。

  季節調整前ベースの新規失業保険申請件数は1万2000件余り減少し、15万6060件となった。州別ではミシガンの減少が目立ったほか、ニュージャージーとニューヨークでも減少した。

引用:Bloombergより

このように、米国の労働市場は依然として堅調です。これはFRBにとっては一安心といえる内容でしょう。今後も引き続き金利を引き上げていくと明言しているFRBにとって、それを後押しする材料として、雇用が安定しているということはとても心強いものだと思います。もし、雇用も不安定になり、失業者があふれてくるとなればさすがにいつまでも引き締め政策を続けるというわけにはいかなくなると思われるからです。そういう意味でも労働市場が安定している間はFRBは引き続きインフレを抑制するために強力な政策を継続していくのだろうという印象です。

果たしていつまでもつのか

今回も予想外に強い労働市場の内容が明らかとなりましたが、果たしてこれはいつまで続くのかというのが非常に関心があるところです。これだけ金利が上昇し、企業業績にも不透明感は増してきています。不動産市場などは急激な金利上昇によりかなり悪化していることはもう明らかになっています。そういう意味でもそろそろ労働市場にも影響が出てくるのかなという予想はしていたのですがなかなかそうはなっていないということです。それだけ経済は意外と力を残しているということなのでしょうか。もう何十年もデフレで成長しない日本からすると非常にうらやましい限りですが、いつまでもつのかなという不安は常に付きまといます。当然ですがこれだけ引き締めを強めていっていつまでも経済が強さを保てるわけがありません。必ずいつか失速してくるでしょう。そうなれば企業も今までのように労働者に賃金を払う余裕もなくなってくるはずです。そうなれば失業者も増えてきて、景気も急激に悪化してくるでしょう。何とかそれまでにインフレが収まってくれればいいですが、さすがにそんなに早く収まるとは思えません。そういう意味では今は何とか保ってはいますがそう遠くない将来に労働市場も急激に悪化してくるのかなと思っています。

まとめ

今日は米国の新規失業保険申請件数についてみてきました。相変わらず米国の労働市場は堅調です。なのでまだ米国の経済は保つことができるでしょう。しかし、インフレが落ち着くのと労働市場が崩壊するのとではやはり後者の方が先に来る可能性が高いといわざるを得ないと思います。そういう意味では今後はしばらく厳しい状況に陥ることは覚悟しないといけないのかなという感じです。しかし、長期で見ればいずれまた株価も持ち直してくるはずです。その時を辛抱強く待つのがいいのかなと思います。