2月の雇用統計は非常に判断に困る内容

昨日は2月の雇用統計の結果が発表されました。内容としては市場予想を上回る雇用者数となりましたが、賃金の伸びは鈍化するなど判断に迷うような結果となりました。市場でもこの結果によって利上げのペースが強くなるという意見やそれほどにはならないのではないかというように随分と分かれているように思います。それほど判断に難しい結果ということでしょう。

2月の雇用統計は強い結果だったものの、鈍化の兆しも見せる

昨日、市場が注目していた2月の雇用統計の結果が発表されました。

米国では2月の雇用者数が予想以上に増加した一方で、賃金の伸びは前月比ベースで鈍化した。米金融当局が利上げペースを加速させるかどうかを判断する上で強弱入り交じる内容となった。

  雇用者数の増加が市場予想を上回ったのは、これで11カ月連続。1998年までさかのぼるブルームバーグのデータで最長の記録を更新した。

  平均時給は前月比0.2%増、前年同月比では4.6%増加。前月比ベースでは過去1年で最低の伸びにとどまった。1月は0.3%増だった。ただ、米労働者の大半を占める生産部門・非管理職の賃金は前月比0.5%増と過去3カ月で最大の伸び。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏らは2月雇用統計について「週平均労働時間の減少や平均時給の伸び減速など、いくつか軟化の兆しは見られるものの、雇用者数が予想を大きく上回る増加となり、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げへと突き進む道が開かれた」と指摘した。

  雇用の増加は娯楽・ホスピタリティー、小売り、政府機関、医療などで目立った。一方、多くのテクノロジー分野を含む情報産業や運輸・倉庫では雇用が減少した。

  労働参加率は62.5%に上昇。2020年3月以来の高水準となった。25-54歳の年齢層では83.1%に上昇した。

  今回の統計は雇用市場がなおタイトであることを映し出している。ただ、労働需給の改善と一部セクターでの賃金の伸び減速が続けば、インフレ抑制を目指す米金融当局の取り組みを後押しすることになる。

  失業率は若干上昇したものの、引き続き歴史的低水準にとどまっている。その背景には、これまで労働力の確保に苦労してきた雇用主が従業員の解雇に消極的なことがある。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先の議会証言で利上げペースについて、14日に発表される2月消費者物価指数(CPI)を含む「経済データ全体」が正当化するのであれば、「加速させる用意があるだろう」と述べていた。

  雇用統計がまちまちの内容となったことで、今月21、22両日の連邦公開市場委員会(FOMC)に向け、同CPIの重要性が一段と高まるとみられる。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は今もなお堅調に推移しています。このことによりFRBが今後非常に強い金融政策を実行していくことの根拠となりそうですが、賃金や労働時間などはやや鈍化の傾向があり、判断が分かれる可能性が出てきています。市場参加者の意見もまちまちであり、何とも言い難い状況となっているような気がします。

判断に困る内容

今回の結果はある程度予想通りだったとは思いますが、やや労働市場も強さを失いつつあるのかなという感じはします。もちろん今回の数値だけをもって何がどうということは言えませんが、これだけ経済状況が悪化してくれば労働市場もいつまでもタイトでいられるということはないでしょう。その限界がもうすぐそこに来ているような気はします。ただ、各種経済指標はいまだインフレが強いことを示しており、労働市場についても今後どうなるかということはまだ何とも言えないということは認識しておく必要があるでしょう。

SVB破綻がどのような影響を与えるのか

やや労働市場が鈍化してきた可能性もあり、今後の金融政策にも影響がありそうな感じですが、最近では銀行関連の混乱が政策に大きな影響を与える可能性も考えておく必要もあるでしょう。今のところきちんとセーフティーネットが機能しそうな状況なのでリーマンショックのようなことになることはないでしょうが、状況次第ではある程度の紺頼をもたらす可能性もあるということです。そういう意味では米国経済、マーケットはより不透明な状況になったということです。

まとめ

今日は2月の雇用統計の結果についてみてきました。相変わらずの強さを見せた労働市場ですが、ここへきてやや鈍化の兆しを見せたような気がします。ただ、今回の結果だけでどうということは言えないことは確実なので、今後の経済指標、特に消費者物価の行方には非常に注目が集まるところです。個人的にはまだFRBはタカ派のままだとは思いますが、銀行の混乱等不安定要素も増しており、何が起きても全く不思議ではありません。