政策金利は6%を超えるか

強い経済指標を背景に、金利の先行きに対して厳しい見方をしている人が増えているように思います。先日の雇用統計は若干判断に迷うような結果ではありましたが、インフレ鈍化を確実に言えるようなものではありません。また、それ以前の指標については明らかにインフレの力強さを表したようなものであり、まだまだ厳しい戦いが続くことを予想させるものでした。なのでそのような論調が強くなるのも当然といえば当然でしょう。

政策金利は6%を超える?

サマーズ元財務長官はメディアのインタビューにて今後の政策金利についての見通しを話しました。

サマーズ元米財務長官は、インフレ率を目標の2%に戻すため米金融当局が6%かそれ以上に金利を引き上げなければならなくなる確率は今やほぼ五分五分だとの見解を示した。

  2月の米雇用統計の発表後、サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンで「米政策金利が6%かそれ以上になる、そしてそれが必要になる確率は今やほぼ五分五分だというのが自分の見立てだ」と語った。

  2月雇用統計では雇用者数が予想を上回る増加だった一方で、失業率は上昇。平均時給の伸びは鈍化した。

  強弱まちまちな数字にサマーズ氏は解釈が「難しい」と述べつつ、全体像としては、当局の現在の金利設定が「実際に景気を大きく抑制させるには不十分」であることを示したと指摘した。

  「現時点で、景気は短期的に強い様子だ。これはとても良いことだが、インフレリスクや先行きのハードランディングを示唆する。依然として速度制限を超過した状態にあると思う」と論じた。

  米金融当局は来週発表される2月の消費者物価指数(CPI)を検証した後で、今月の政策決定で「最善の判断」を下せるようになるだろうとサマーズ氏は指摘。ピーク金利については、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長がこれまで繰り返し強調しているように2%のインフレ目標達成にコミットしているなら、「現水準から有意な規模で金利が上昇しなければならない可能性が高い。少なくとも6%のレンジ近くまで上昇するだろう」と語った。

引用:bloomgergより

このようにサマーズ氏は今後の政策金利の見通しについて6%を超える可能性を五分五分と見ているようです。以前より厳しい見方をしていたサマーズ氏ですが現在のような状況でも五分五分という判断というのはやや意外な気がします。正直もっと厳しい見方をしていると思っていたので厳しい語気で語りながらもそこまで極端な判断はしていなかったことでしょうか。そういう意味ではただ批判したいだけの人というわけではないということです。ただ、そうはいっても先行きに対して厳しい見方をしているということには変わりなく、現在想定されているよりも金利を高く引き上げなければインフレを抑え込むことは到底できないと考えているということです。もちろんサマーズ氏の考えが絶対正しいということはありません。未来がどうなるかということは誰にもわかりません。なので客観的な意見の一つということですが、考えておくべきことでしょう。

不確定要素が多くなってきた

いつも述べていますが、サマーズ氏は今のFRBの政策については常に批判的であり、そこまで悲観することもないとは思います。しかし、先程も述べたようにサマーズはただ批判一辺倒の人ではなく、きちんと論理的に政策を評価する人です。そういう意味では十分に耳を傾ける価値はあるのだろうと個人的には感じています。そういう意味ではこの悲観的な先行きというのは十分に起こり得る未来だと思いますし、警戒しておくべきでしょう。しかし、現在のFRBはそこまでの引き上げは流石に考えてはいないように思いますし、よほどインフレが強くない限り6%を超えることはないような気がします。しかし、その可能性は以前よりも高くなったというのは最近のインフレ指標の値からすると間違いないでしょう。そういう意味では株価の回復というのはまだまだ先だということでしょう。しばらく辛抱というのは変わりないと思います。

まとめ

今日は今後の金融政策についてサマーズ氏の発言をもとに考えてきました。6%を超えるかどうかというのは今の段階ではまだないような気がしますが、以前ほど力強く否定できなくなったというのは間違いないと思います。そういう意味ではサマーズ氏の言うように五分五分という表現は非常に正確なような気がします。更に最近ではSVB関連のニュースなど非常に不確定要素が多く、なんとも言えないというのが正直なところでしょう。意外と早くインフレが収束するかもしれませんし、予想外に長期化するという可能性も十分にあるでしょう。そういう意味では常に警戒を怠らずに行動すべきです。