米国経済の先行きは市場の楽観論も慎重論もまだ結論は出せない

米国経済の先行きについて楽観的な意見も多くなってきたように思いますが、依然として慎重な意見も多くあります。モハメド・エラリアン氏もその一人であり、先日も現在のマーケットの楽観論に対して警告を発していました。現状、早期の利下げ期待もあり今年も株価に対しては強気な見方も多くなっては来ていますが、このような慎重論もあることは覚えておいたほうがいいでしょう。

米国経済の先行きに対して非常に慎重

先日、モハメド・エラリアン氏は米国経済の先行きに対してまだまだ楽観はできないということを警告していました。

米政策当局者らが経済のソフトランディング(軟着陸)に関して勝利を宣言するのは時期尚早だと、モハメド・エラリアン氏は指摘した。この先の経済はインフレのスイートスポットから、もっと厳しい環境に移行するとの見方を示した。

  ケンブリッジ大学クイーンズカレッジの学長で、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもあるエラリアン氏は26日、昨年7-9月(第3四半期)と10-12月(第4四半期)の米経済は「驚くべきパフォーマンスだった」とブルームバーグテレビジョンで発言。しかし「米政権にとって大きなリスクは、昨年の成長押し上げ要因の一部がもはや存在しないため、景気が今年減速することだ。2番目に、インフレは下げ止まることだ」と述べた。

  ソフトランディングの継続を危うくし得る3つの具体的なリスクとして、同氏は世界的なサプライチェーンの混乱と輸送の遅延、貯蓄取り崩しに伴う国内消費者への圧力強化、インフレ率低下への道筋が想定以上に険しいことを挙げた。

  「インフレ率は低下し続ける必要がある」と指摘。「市場は残念ながら、私の考えよりもはるかに秩序だった形でそうなると予想している」と話した。

  エラリアン氏はまた、米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月か7月の会合まで利下げを待つとする自身の予想を繰り返した。市場では3月の利下げ確率がほぼ50%と織り込まれている。FOMCが昨年12月に示した予測中央値では、2024年に0.25ポイントの利下げが3回実施されることが示唆されていた。金利スワップ市場は現在、約135ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の緩和、あるいは5回を超える0.25ポイント利下げを織り込んでいる。

  「今は混乱の時期だ。さまざまな予測が飛び交っている」と同氏は述べ、FOMCのガイダンスは「効力を失ってしまった」と付け加えた。

引用:bloombergより

このようにエラリアン氏は今後の米国経済に対して慎重な見方をしています。昨年は予想外に強いベイク経済というものを目の当たりにしたところですが、今年はそのようにはならないと見ているようです。実際、どうなるかというのはわかりませんが、雇用や消費という米国経済を支えているものが落ち込んでくればそのような可能性もあるのだろうと思います。エラリアン氏もこれまで米国経済を支えてきた雇用や消費などが今年は落ち込んでくると見ており、そのためまだまだ油断はできないということなのでしょう。去年はこのような予想が軒並み外れたため、今年もそうなることを期待したいところですが、その可能性も今はまだ否定できないのかなという感じです。

結論はまだなんとも言えない

エラリアン氏は常にFRBに対しては否定的であり、経済に対しても慎重な物言いで有名な人です。そういう意味ではこのような発言もまあそんなもんだろうという感じがします。そしてご存知の通り、去年はそのような発言は見事に外れまくったという結論に落ち着いています。そういう意味では今回の慎重論もどうなるかはわかりません。正直、今の段階ではまだなんとも言えないというのが正直なところかなという感じがします。そこまで悲観的になることはないような気はしますが、かといって市場のような楽観的な立ち位置もちょっと危険な感じがします。そういう意味ではニュートラルに構えているのが一番いいのでしょう。基本に立ち返るのが一番です。

まとめ

今日はモハメド・エラリアン氏の発言について見てきました。同氏の発言はいつもの慎重論という感じがしています。なので正しいのかどうかはわかりませんが、市場の楽観論も流石に行き過ぎなような気もしますし、両方の意見を受け入れて行くのがいいのかなという感じがします。とりあえず現時点でなにか結論を出せるものはないということです。何が起きてもいいように準備をしておくことがいいのでしょう。