1月の雇用統計は相変わらず好調。本当に米国の労働市場は力強い。

3日に市場が注目する1月の雇用統計の結果が発表されました。結果としては市場予想よりも強いものとなり、相変わらず米国の労働市場は力強さを維持していることが確認できました。この結果によりFRBによる引き締め政策も緩むことなく続いていくことでしょう。

1月の雇用統計は予想以上に好調

3日に発表された1月の雇用統計は市場予想よりも大きく増加し、改めて雇用が堅調であることが確認できました。

米国では1月の雇用者数が予想以上に増加した。失業率は53年ぶりの水準に低下した。リセッション(景気後退)予想とは相いれない動きで、米金融当局に対し利上げ継続を求める圧力が強まった格好だ。

  平均時給は前月比0.3%増、前年同月比では4.4%増加した。12月分は共に上方修正された。

  雇用はセクターを超えて幅広く増加。娯楽・ホスピタリティーや専門職・ビジネスサービス、医療で特に増えた。

  借り入れコスト上昇や消費需要の後退、景気見通しに対する全体的な不透明感にもかかわらず、雇用市場が力強さを維持していることが示された。労働力の需要は引き続き供給を上回り、賃金の強い伸び継続とさらなるインフレ高進につながる恐れがある。

  労働参加率は62.4%に上昇。25歳から54歳までの労働参加率も上昇した。

  この日の統計に使われた家計調査のデータには人口統計の年次更新が反映されているため、労働参加率と失業率の数字は前月と直接比較できない。

  BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「驚異的に強い雇用統計のために、リセッション不安とこの春にも利上げサイクルが終了するとの見方は実に疑わしくなった」とリポートで指摘した。

  雇用者数と労働時間、時給などから算出する指数が1.5%上昇したことも、1月雇用統計の予想外の強さを映している。同指数は2020年以来の大幅な上昇となり、この先も米労働者が十分な購買力を維持することを示唆した。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、アナ・ウォン氏は、「出来過ぎのように見えるとしたら、その理由は増加のほとんどが季節要因によるものだからだ。それでも労働市場が依然タイトであることは否定できない。連邦公開市場委員会(FOMC)は政策決定においてこの統計を重視し過ぎることはしないだろう」と述べた。

  季節要因によるゆがみを指摘するエコノミストが一部にいる一方で、インフレーション・インサイツのオメイア・シャリフ氏は、雇用者数は「かなりクリーンな数字だ」と述べた。

引用:bloombergより

このように相変わらず米国の労働市場は堅調です。これだけインフレが高止まりし、企業活動も悪化し、人員削減が相次ぐ中これだけ強い雇用を維持できているというのは何とも不思議な感じがします。しかし、この結果についてはそのまま受け止めるしかありません。雇用は依然として力強く、FRBの厳しい引き締め政策にもびくともしないということです。これはインフレ抑制を目指すFRBとしては厳しい状況ともいえますが、インフレが若干落ち着きを見せている状況でもこのように強さを維持できているということで、ソフトランディングの可能性というのはやや以前よりも高くなったのかなという印象です。

ここまで強い労働市場というのは完全に予想外

本当に米国の労働市場というのは予想外に強いといわざるを得ません。去年、利上げが始まったころにここまで強い労働市場を予想できた人というのはどれだけいるのでしょうか?少なくとも私は全く予想できませんでしたし、私が知る限りはそのような人はいなかったように思います。もちろんそこまで悪くならないという人はいましたが、ここまで強いというのは本当に予想外といっていいのではないかと思います。いずれにせよ、今後もFRBはインフレ抑制のために厳しい引き締め政策を実行していくことでしょう。これだけ雇用が強いのであれば思い切った政策を打ちやすいはずです。その結果雇用は悪化するかもしれませんが、そもそも最初から雇用のある程度の悪化というのは目的の一つであったわけですから、むしろ好都合ということにもなります。もし、それでも雇用が安定しているのであればそれはそれでいいことですし、その状況でインフレが落ち着いていくのであればなおよいことです。それこそがFRBの目指すソフトランディングの形といっていいのかもしれません。そしてその状況により近くなったのかなと思います。

まとめ

今日は1月の雇用統計についてみてきました。本当に米国の労働市場が強いです。というか強すぎるという印象です。これだけ企業業績が悪化し、インフレも高いというのに雇用が強いというのもなんか変な感じがしますが、現実なので仕方ありません。むしろ無理だと思われていたソフトランディングへと近づいたような気がします。なので今のところは非常に順調といっていいのではないかと思います。ただ、当然ながら今はまだ経済正常化への途中段階であり、まだまだ結論を出すには早すぎます。今後、思わぬところに落とし穴があるかもしれませんし、安易な楽観論には飛びつかないようにしたいところです。