多くのFRB関係者の発言によって楽観論は否定されたのではないかな?

最近はFRBがやや金融政策を緩めるのではないかという観測出てきてはいますが、当局はそこまで楽観的ではないようです。FRB要人が相次いで9月以降もより強い姿勢で金融引き締めを続けるべきだというような発言をし、やや楽観的になっている市場関係者にくぎを刺したようです。確かに市場は発表された経済指標や要人の発言などに過敏に反応し、行き過ぎた反応をしているようにも思えるため、それを正す狙いもあるのでしょう。そういうわけで今日は最近のFRB関係者の発言についてみていきたいと思います。

サンフランシスコ地区連銀総裁は9月は50bpか75bpでの利上げを支持

 米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は18日、短期借入コストを年末までに3%強、来年にこれをやや上回る水準にするために、9月に0.50%ポイント、もしくは0.75%ポイントの利上げを行うことが「合理的」になると述べた。

デイリー氏はCNNインターナショナルに対し、金利が「制限的」な水準に達し、成長とインフレが減速した際に、連邦準備理事会(FRB)は直ちに利下げに転じることはせず、金利水準を据え置く必要があると述べた。

「企業や消費者にとって最悪の事態は金利が上昇した後に急速に低下することだ。これは多くの警戒感と不確実性を引き起こす」と指摘。「今年、急速な利上げを実施し、来年には積極的に利下げを行うというような、大きな山のような形状の金利経路になることは避けたい」とした。

9月の利上げに関しては、インフレ、雇用、その他の経済指標次第とした一方、世界経済の減速が米経済に逆風となっているため「行き過ぎた政策にならないよう、それを考慮しなければならない」とした。

同時に、FRBはインフレ率を目標の2%に引き下げることに全力を注いでいるものの、過度な金融引き締めによる「自発的な誤り」を犯すことがあってはならないと語った。

インフレについては、食料やエネルギーなどの価格はなお高水準にあるとし、物価上昇に対する勝利宣言を行うのは尚早との見方を示した。

引用:ロイターより

米セントルイス地区連銀総裁は9月は75bpでの利上げを支持

米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%ポイントの利上げ実施に賛成することに傾いていると述べた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がが18日、インタビューでの発言として報じた。

ブラード氏は、インフレ率をFRBの目標である2%に戻すには約1年半かかると予想。「政策金利をインフレに大きな下向き圧力をかける水準にするために、迅速に対応し続ける必要がある」とし、「来年まで利上げを引き延ばしたい理由は理解できない」と語った。

引用:ロイターより

カンザスシティー地区連銀総裁は市場の楽観論を否定

米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は18日、今後の利上げペースやターミナルレート(利上げの最終地点)を巡り、依然討議の余地があるという見解を示した。

ジョージ総裁は「利上げの最終地点を知るには、(インフレの)数値が低下していることを十分に確信する必要があるだろう」と述べた。

さらに、株価上昇を含む最近の米金融情勢は、インフレがピークに達し利上げペースが鈍化するという過度に楽観的な見方に基づいている可能性があるという認識を示した。

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.75%ポイントもしくは0.50%ポイントいずれの利上げを支持するかについては明確にしなかった。

また、7月のインフレ鈍化は朗報としつつも、基調的な問題の解決を示す証拠ではないと指摘。インフレ鈍化の大半はエネルギーコスト関連で、その他のサービスやモノの価格は上昇を続けているとし、「安心できる内容ではない」と述べた。さらに、最近示された「極めて低調な」生産性に関する指標を踏まえ、インフレ制御がさらに困難となる可能性もあるという認識を示した。

引用:ロイターより

ミネアポリス地区連銀総裁は景気後退でもインフレ抑制を優先すべきと発言

 米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は18日、リセッション(景気後退)を引き起こす可能性があるとしても、連邦準備理事会(FRB)は「非常に」高いインフレを「緊急に」低下させる必要があるという見解を示した。

カシュカリ総裁は、金利引き上げによって「需要を後退させる必要がある」とした上で、経済のファンダメンタルズは力強いが、FRBが景気後退を招くことなくインフレ率を低下させることが可能かどうかは「分からない」と述べた。

引用:ロイターより

総じて楽観的な意見ではない

四人の地区連銀総裁の発言を見てきましたが、総じて厳しめな発言なのかなという印象です。少なくとも現状で引き締め政策を緩めようという人はおらず、これからもインフレ抑制のために厳しい金融政策を続けるべきだというスタンスではないかと思います。そういう意味でも市場に少し流れてきていた楽観論というのはやや行き過ぎた思い込みだったのだろうという印象です。確かに少々物価が落ち着いてきたとはいっても以前歴史的に見ても高すぎるインフレが健在であることは事実です。であればこの状態で引き締めの手を緩めるというのはないだろうとは思います。景気減速の懸念も出てきていることは事実ですが、まだ労働市場は堅調であり、そこまで気にするということもないのでしょう。実際、カシュカリ総裁のように景気を後退させる必要があるという認識も多くの識者が持っているように、このインフレを抑制するにはある程度の景気後退というのは必要である可能性も十分にあります。そういう意味では今後も強い引き締め政策が続いていくという見解は何も間違ってはいないのでしょう。なので今後は市場も行き過ぎた楽観論を修正してくるかもしれません。そういう意味では最近のやや落ち着いて動きから若干の落ち込みということもあるのだろうなという感じです。

まとめ

今日は多くの地区連銀総裁の発言についてみてきました。いずれについても楽観的なものではなく、非常に厳しい現状認識を持っているという印象であり、そのため強い引き締め政策は継続するといっていいと思います。そういう意味でも楽観的な認識というのは改める必要があるでしょう。やはりしばらくは株式市場は大きく上昇するということはないのかなという印象です。今は忍耐強く、辛抱するときです。