7月のFOMC議事録は大きなサプライズはなかったかな

17日に7月に行われたFOMCの議事録が公開されました。個人的にはそれほど大きなサプライズはありませんでしたが、興味深い内容もありました。そういう意味で今日は先日発表された7月のFOMC議事録のついてみていきたいと思います。

7月のFOMC議事録が公開

17日に7月に行われたFOMC議事録が公開されました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月26-27両日に開いた会合では、いずれは利上げペースを減速させる必要性で合意したが、それまで実施した政策引き締めのインフレ抑制効果を精査したいとの認識も示された。

  17日に公表されたFOMC会合の議事要旨では、「金融政策スタンスが一段と引き締められるのに伴い、政策金利の引き上げペースを減速させ、同時にそれまで実施してきた政策調整が経済活動とインフレに与えた効果を精査することがいずれ適切になる可能性が高い」と記された。

  議事要旨はまた、「絶えず変化する性質を経済環境が持っていることと、金融政策が経済に効果をもたらす上では長く不規則な時間差を伴う事実を考慮すると、委員会が物価安定を回復するために必要以上に政策スタンスを引き締めるリスクも存在すると、多くの参加者は指摘した」と記述している。

  FOMCは7月、2会合連続での0.75ポイントの利上げを決定。高インフレに対応するため1980年代初め以来の速いペースでの引き締めを実施した。

  7月会合ではこのほか、「委員会が直面する顕著なリスクは、政策を十分に調整するという委員会の決意に国民が疑問を持ち始めた場合、高インフレが根付きかねないということだと参加者は判断した」と議事要旨は記した。

引用:Bloombergより

参加者の多くは過度な引き締めに対するリスクというのをやはり警戒はしているようです。それについてはその通りでしょう。実際、急激な引き締めにより実体経済は大きなダメージを受けています。急激な金利上昇に伴い不動産市場は急激に落ち込んでおり、経済を大きく鈍化させています。もちろん不動産だけでなく多くの分野で急激に経済は落ち込み始めました。そのことは最近の経済指標の多くがさえないものとなっていることからもよくわかります。そのリスクというのはやはり小さいものではなく、委員の多くも懸念しているということでしょう。しかし、一部の識者からはインフレを抑制するにはこの過程は避けて通れないといっています。つまりある程度の景気減速を伴わずにこのインフレを抑えることはできないというのです。今のところFRBからは景気を冷やすことなくインフレを抑制するということは可能だとの話が出てきてはいます。しかし、実際にはそうでなくなく可能性についても十分に認識しているということがよくわかるものであろうと思います。

市場との対話が欠けているのか?

そういう意味でもFRBが言っていることと、認識していることというのは若干のずれがあるのかなと思いますし、そのことによって国民がFRB大して不信感を持つ可能性も指摘しています。もしそうなればインフレが高いまま根付いてしまい、経済にとって大ダメージとなってしまうリスクについて懸念しているようです。そのことについてはかねてより指摘されてきました。FRBが市場との対話をうまくできておらず、国民から不信感を買っているというものです。国民から信用されないようではFRBの金融政策も思ったほどうまく効かない可能性もあるでしょう。思わぬ引き締めや緩和が起これが国民は混乱します。そうなれば経済がさらに混乱し、米国経済は大ダメージを受けることとなるでしょう。その懸念をFRBは共有しているのです。

大きなサプライズはない

今回の内容というのはまあそんなものだろうという感じです。75bpでの利上げという非常に強力な利上げに対するリスクというのは当然ながら存在しますし、実際それが目に見えて経済を押し下げようとしています。なのでそのリスクを懸念するというのは至極当然なことです。そしてFRBの信用がなくなる可能性についてもかねてより言われていました。特にタカ派からは早く引き締めるべきだということはさんざん言われていましたから、まさにその通りになっているというところでしょう。とりあえずはまだ問題ないのかもしれませんが、今後も市場を動揺させるような金融政策を続けるようであればFRBは本当に信認を失うことになります。そういう意味でもきちんと市場との対話をやっていくべきです。

まとめ

今日は先日発表された7月のFOMC議事録についてみてきました。個人的にはそこまで大きな関心ごとはありませんでしたが、気になる点はやはり市場との信頼関係が揺らいでいる可能性があるということです。株式市場は好材料や悪材料よりもわからないということを何よりも嫌います。そういう意味ではコミュニケーション不足というのは大変まずいことです。そういう意味でもFRBにはきちんと市場との対話をしてもらいたいところです。一度引用を失ってしまえば取り返すのは大変な作業となります。そういう意味でも今のうちに何とか対処しておくべきでしょう。