先行きに対して否定的な意見が多くなる

強いインフレ圧力にも関わらず強さを見せる米国経済ですが、ここへ来てやや悲観的な見方も出てきているようです。中東情勢を始めとした地政学的リスクや、企業業績の悪化懸念など今後について、不安要素を指摘する声が目立ってきました。

業績予想が悪化

今年の第3四半期については好決算が相次いでいますが、その先についてはやや悲観的な見方が多いようです。

米企業の利益見通しがここにきて悪化している。先週末27日に直近高値からの下落率が10%を超え、調整局面入りしたS&P500種株価指数にとっては、さらなる逆風となりそうだ。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)がまとめたデータによると、米企業の7-9月(第3四半期)決算は予想外に利益が増える見通しだが、向こう数四半期については、企業が需要の低迷やマクロ経済の先行き不透明感を警告していることから、業績見通しが足元で切り下がっている。ドイツ銀行は、10-12月のアナリスト予想が決算発表シーズンに入ってから1.9%下方修正され、「通常以上に」引き下げられたと指摘した。

  ブルームバーグがまとめたデータによると、S&P500均等加重指数の向こう1年の利益予想は、10月に入ってから1.8%減少した。同指数は時価総額による加重ではなく、指数内で固定された均等ウエートを割り当てたもので、巨大ハイテク企業の影響力を弱めている。

  RBCキャピタル・マーケッツの米株式戦略責任者、ロリ・カルバシナ氏はリポートで、決算後の電話会見では「悲観的なトーンが際立っている」と記述。2023年と24年の業績見通しの引き下げ幅の大きさを踏まえると、決算シーズンはこれまでのところ「米国株式市場を足元の不振から脱却させるには力不足だ」と指摘した。

   米株に弱気なことで知られるモルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は「非常に好調な経済状況であっても、10-12月と2024年の利益見通しは依然として高過ぎる」と指摘。米国株の年末ラリーの見込みは薄れつつあるとの見方を示している。

引用:bloomgergより

このように米国企業は現在は順調であっても今後はやや業績が悪化するリスクについて懸念しているようです。目先は好調であってもその先の受注などが低調なようであり、数カ月先の景況感というのはあまり良くないようです。

マーケットもその動きを察知

そのようなこともあってか、株式市場でも先行きに対する見方がやや弱含んできています。

米利上げ休止観測や季節要因の追い風、業績主導のラリーなど、ウォール街のストラテジストが年末に向け強気に傾斜していた理由の多くは、今や希望的観測のように見える。

  イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争がエスカレートして投資家のリスク選好が後退し、27日にはS&P500種株価指数が「調整局面」入りする中、一部の株式強気派は今年最後の数カ月間の相場見通しを引き下げている。 

  長年の株強気派であるオッペンハイマーのチーフ投資ストラテジスト、ジョン・ストルツファス氏は、S&P500種の年末予想を4900から4400に下方修正した。株式にはなお前向きな見方を維持しているものの、地政学的リスクと金利を巡る懸念が相場を圧迫するため、同指数が従来の予想水準に年内達するには時間が足りないと同氏はみている。

  ヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ社長も年内の米株相場回復には懐疑的だ。9月時点ではS&P500種が大きく反発する可能性があるとしていた同氏だが、30日付のリポートでは「中東での不穏な動きや債券市場の動揺を踏まえれば、ここから感謝祭までの株式市場は上振れより下振れとなりやすいだろう」と記した。

  2023年も残り2カ月となる中、S&P500種はウォールの年末予想平均である4370を約5%下回る水準で推移している。

  パレスチナ自治区ガザでの戦闘が激化する中、今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定会合やその後のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見、アップルの四半期決算など、相場全体を動かす要因となり得る重要イベントが相次ぐ。

引用:bloomgergより

このように株式市場も今は良い企業業績もそう長くは続かないだろうと見ているようです。実際、最近の株価は非常に低調であり、かなりの下落が続いています。更に現在は中東情勢を始めとした地政学的リスクが顕在化してきており、先行きに対して非常に不透明感が増してきています。そういう意味でも株価は高値を負いづらくはなっているのでしょう。

見通しはあまり良くはない

実際、最近は株式市場は非常に低調であることは事実です。そういう意味でも今後の経済について投資家はあまり良く考えていないということは確かでしょう。実際、第3四半期の業績は良好と言ってもグーグルの決算など期になる点も多くあります。また、多くの企業で先行きに対して懸念しており、地政学的リスクも大きくなっていることから投資家も積極的にはなれないのでしょう。そういう意味ではしばらくはやや低調な展開が続くのかもしれません。

まとめ

今日は今後の株式市場について考えてきました。多くのリスクが顕在化してきており、先行きに対しては不安を見せる企業が多くなってきていることは確かです。その上でマーケットもそれを先取りし、下げているということでしょう。そういう意味でしばらくはあまり株価の上昇というのもあまり期待はできないのかなという印象です。インフレの沈静化と、地政学的リスクの消失が起きれば一気に回復はするとは思いますが、その時期がいつになるかはなんとも言えないというのが正直なところでしょう。