今後の政策金利は予想よりも高くなる可能性が出てくる

インフレが収まる気配はいまだ見えてきません。そして政策金利も当初の想定よりも高くなる可能性も出てきました。11月のFOMCではパウエル議長をはじめ多くの関係者が今後の金利のピークについて当初の想定よりも高くなる可能性について言及しました。そういう意味では我々が予想していたよりも状況は悪化しているといっていいと思います。というわけで今日は今後の金利動向について考えていきます。

想定以上に金利は上昇しそう

11月のFOMC以降、政策金利の目標について当初の予想を修正する動きが相次いでいます。インフレがなかなか落ち着きを見せない中、目標の上方修正を余儀なくされているといった感じです。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は政策金利のピーク水準について、従来想定していたより高くなる必要があるとの認識を示した。ウォール街はその水準の推定に苦慮している。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月の会合時に、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が2023年に4.5-4.75%でピークに達するとの予測を示した。しかしパウエル議長は先週の11月会合後の記者会見で、高インフレと非常にタイトな労働市場に触れ、「前回会合以降に入手したデータは、金利の最終的な水準が従来の想定より高くなることを示唆している」と述べた。 

  11月のFOMC会合後に公の場で発言した米金融当局者4人は、いずれも同様にターミナルレート(金利の最終到達点)は高まるとの見通しを示した上で、具体的な予測は明らかにしなかった。

  リッチモンド連銀のバーキン総裁は4日のCNBCのインタビューで、米政策金利が最終的に5%を超えることは「十分にあり得る」と指摘した。

  野村ホールディングスのエコノミストは11月会合後、金利のピーク水準予測を5.5-5.75%に引き上げた。

  バークレイズのシニアエコノミスト、ジョナサン・ミラー氏は「ターミナルレートについての当社の見解は、高度な科学に基づいたものというより、指をなめて風向きを調べるような予想だ」と述べた。

  同氏はターミナルレートについて、5-5.25%になると予想しているが、かなりの不確実性を伴っていると指摘。「明確さに欠けるのは、金融当局がいかなる標準的なアプローチに対しても確信をそれほど持てないでいることを反映している。当局のアプローチは、その場しのぎの面が強まっている」と述べた。

引用:Bloombergより

このようにFRB関係者をはじめ多くの識者が今後の金利の見通しについて上方修正をしています。当初は4%台でピークを付けるとみていましたが、今では5%台へと多くの予想は乗せてきています。サマーズ元財務長官をはじめ、6%台を予想する人も多く出てきました。そういう意味ではインフレとの戦いはあまりうまくいっていないといっていいのかもしれません。

楽観的シナリオはまずありえない

今後の見通しについてはあまりよいとは言えないのだろうといった感じです。当初からFRBは4%台へと金利を乗せた後はインフレが落ち着いてきて、その後徐々に下落するとみていましたが、そのシナリオはかなりの確率で実現しないと思っていいでしょう。それくらいインフレは全く落ち着いてくる気配がありません。今後の見通しについては消費者物価等は若干の落ち着きを取り戻す可能性が考えられていますが、それも実際どうなるかは発表を見てみないと何とも言えないといったところです。少なくとも想定以上に楽観的になれるものではないことは確かです。そして想定通りにいく可能性もかなり低くなったといっていいでしょう。問題はどのタイミングで物価が落ち着いてくるのかということと、その時までに経済が持ちこたえてくれるかということです。現状では今日は何とか持ってはいますがいつ変化が起きてもおかしくない状況です。企業業績はかなり悪化してきており、成長率もかなり鈍化することが見込まれています。そういう中でインフレにのみターゲットを絞った柔軟な政策が可能なのかということはなかなか疑問が残るところです。

まとめ

今日は今後の金利動向について考えてきました。少なくとも想定以上ということはありません。想定通りにもまずならないでしょう。あとはどの程度の悪化で食い止められるかといったところです。可能性の話を言ってはキリがないのでとりあえずは今後の経済指標の発表を待つのみです。あまり楽観的になってもいけませんし、悲観的になってもダメです。きちんと現実を見て冷静に対応していくべきです。