米国の企業活動は依然として強い。インフレ長期化は避けられそうもない。

米国のインフレは依然として健在です。5月の企業活動を示す指標は予想外に強いものとなり、未だインフレは沈静化へと向かっていないことが明らかとなりました。これはインフレ抑制を目指すFRBにとっては非常に頭の痛い問題となることでしょう。金融不安も未だ落ち着いておらず、難しい舵取りを要求されそうです。

5月のPMIは予想外に強いものとなる

先日発表された5月のPMI速報値は市場予想を大きく上回るものとなり、予想外に企業活動は強いものであることが確認されました。

5月の米企業活動を示す指数は予想外に上昇し、約1年ぶりの高水準となった。サービス分野での堅調な需要が寄与した。景気の先行きに対する見方も明るさを増した。

  S&Pグローバルが23日発表した米国の製造業・サービス業を合わせた5月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は、前月から1.1ポイント上昇して54.5。これは昨年4月以来の高い水準。同指数は50を上回ると活動拡大を示唆する。

  サービス業PMIも上昇し、1年1カ月ぶり高水準。一方で製造業PMIは低下して縮小圏となった。受注が縮小圏となったほか、生産の伸びが鈍化した。

  S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「インフレ環境も変化しつつある」と指摘。「パンデミックの間は製造業分野で強い需要を背景に価格が急伸した。現在では、値上げはサービス業が取って代わっている」と述べた。

  こうした状況はインフレの抑制を目指す米金融当局にとって難題となっている。モノの価格は落ち着きつつある兆候が続いている一方、今回の統計はサービス分野で堅調な需要が続く中、インフレが高止まりしていることを示した。

  事業の見通しに関する指数は1年ぶり高水準に上昇。企業は需要環境について楽観を強めてきており、経済がリセッション(景気後退)を回避する可能性が示唆される。

  総合PMIの雇用指数は昨年7月以来の高水準に上昇した。ウィリアムソン氏は、サービス業での雇用の伸びは加速しつつあるが、「強い需要の中で労働市場はタイト化しており、インフレ圧力を一段と高める要因になると懸念される」と指摘した。

引用:bloombergより

このように米国の企業活動は市場が思うほど低調ではないようです。依然として企業活動は強く、物価上昇圧力となって経済を苦しめる可能性が示唆された形です。企業活動が活発であるということは経済にとってはプラスですが、インフレを助長することは間違いなく、インフレが問題となっている現在ではややなやましい問題と言えるでしょう。

インフレの長期化は避けられず

インフレに関してはやはり2%へと落ち着くまでは非常に長い時間がかかるのだろうという思いを新たにしたというところです。以前より今回のインフレは粘着性が高く、抑制されるまでは時間がかかるだろうと思われていました。そしてそれを示すような指標も多く発表されており、今回のものをそれを更に強くするものとなっているような気がします。中身を見ると当初強かった製造業は落ち着いてきている代わりにサービス業が強くなっているということで、その形も常に変化しているというのだろうと思います。いずれにせよ経済活動が活発であるということはプラスだと思われますが、インフレが長期化することは更に確実となっており、今後の経済に与える影響というものが強く懸念される自体なのかなという印象です。

まとめ

今日は5月のPMIについて見てきました。経済は非常に好調であるということが確認されたということはプラスだとは思いますが、やはりインフレ抑制には相当の時間と労力が必要なのだろうと改めて思ったというところです。そういう意味ではしばらく厳しい状況に変化はないのだと肝に銘じておくべきでしょう。