ソフトランディングへの道のりは険しい

最近は政策金利の引き上げを意識したと思われるように米国債の金利も急激に上昇をしています。このため米国経済にとっては非常に厳しい状況が続くと思われますが、それはFRBにとっても同様でしょう。インフレを抑えるために引き締めをしないといけないということには違いありませんが、加減を間違えば取り返しのつかない状況へと一気に向かう可能性が高いからです。そういう意味では時が立つに連れFRBに課せられた仕事というのは難しくなっているような気がします。

米国債の金利が急上昇

昨日はFRBのジェファーソン副議長が講演にて、金融政策について言及しました。

米連邦準備制度理事会(FRB)のジェファーソン副議長は、インフレ率は依然高過ぎるとした上で、米国債利回り上昇が景気を一段と抑制する可能性があり、注視していると述べた。

  ジェファーソン氏は9日、ダラスで開かれた全米企業エコノミスト協会(NABE)の会議で講演を行い、金融当局は「必要となり得る追加的な政策引き締めの程度を見極める上で、慎重に進むことができる立場」にあると述べた。発言は事前原稿に基づく。

  「この先、債券利回り上昇を通じた金融環境の引き締まりを引き続き認識し、将来の政策軌道を判断するに際してそのことに留意する」と述べた。

  米10年債利回りは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合以降に約40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁やダラス連銀のローガン総裁らは、最近の金融状況の引き締まりが追加利上げの代わりになり得るとの見解を示している。

  ジェファーソン副議長は「リスク管理において今は微妙な時期だ。引き締めが十分でないリスクと、過度に景気抑制的な政策リスクのバランスを取らなければならない」と語った。

引用:bloombergより

ジェファーソン副議長はこのように述べ、最近急激に上昇を続けている米国債金利について中止しているとしています。ここのところ、米国債の金利は急激に上昇をし始めています。これまではインフレも落ち着き、早ければ年内にも金融政策の修正が行われるのではないかという期待もありました。しかし、最近の強すぎるインフレ指標の結果、引き続き引き締めが継続されることが意識されるようになり、このような結果となった形です。急激な金利上昇というのは当然ながら経済にとって良いことではありません。おそらくは今後の米国経済の下押し要因となり顕在化してくることでしょう。問題はそれがどの程度現れるのかであり、それによって金融政策も変わってくることでしょう。実際、マーケットでの金利上昇が、経済を十分に冷やしているのであればFRBが無理に政策金利を引き上げる必要はないでしょう。むしろ、過剰に引き締めをすることとなり、ハードランディングへと一直線に進む危険性もあります。そういう意味では非常に力加減の難しい状況だと言えるのでしょう。

ソフトランディングへの道のりは険しい

米国の状況を見る限り、日に日に難しい状況になっているような気がします。ようやくインフレが落ち着いてきたなと思えばそれが覆るような指標が相次いだり、判断が難しい局面が相次いでいるような状態です。この中でうまく舵取りを行い、ソフトランディングを実現させるというのはかなりの困難な仕事と言えるでしょう。それをFRBも目指して入るとは思いますが、なかなか厳しいのではないかというのが正直な感想です。今の所、何があっても悪化しない労働市場が非常に心強いというところですが、いつまでそれが持つのかは非常に未知数なところです。おそらく年末まではそこまで悪化はしないとは思いますが、年明けに大きく動くということもあり得るでしょう。何れにせよ状況は市場が思っているほど簡単なものではないような気がします。

まとめ

今日は米国債の金利動向から今後の展開について考えてきました。非常に状況が複雑に絡み合い、難しさが日に日に増しているような気がします。その中でソフトランディングを実現するにはより精密な仕事が要求されることになるでしょう。それができるのか正直かなり疑問なところもありますが、なんとか成し遂げてもらいたいものです。