ISM製造業景況指数は予想外に悪化。景気後退は確実に迫っている。

米国経済はかなり先行きが厳しいとみていいのかもしれません。先日発表されたISM製造業景況指数は市場予想を大きく下回る結果となりました。景気後退を示す指標がこれだけ続き、株価も下落が止まらない現状を見る限り、先行きはかなり厳しいといわざるを得ないのでしょうか。年末へ向けて心配されていた大きなリセッションが始まるのかもしれません。そういうわけで今日はISm製造業景況指数についてみていきます。

ISM製造業景況指数は予想外に悪化

先日発表されたISM製造業景況指数は市場予想を大きく下回る結果となりました。

米供給管理協会(ISM)が発表した9月の製造業総合景況指数は市場予想以上に低下し、この2年余りで最低の水準に落ち込んだ。受注の指数はこの4カ月で3回目の縮小圏で、明らかな景気低迷へと近づいていることが示唆された。

  9月は新規受注の指数が4ポイント余り低下して47.1。コロナ禍が始まった頃以来の低水準となり、需要の軟化を示唆した。

  ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は発表文で、「調査対象企業は4カ月連続で新規受注の軟化傾向を報告した。それを踏まえると9月の指数は、需要がこの先減少する可能性に企業が対応しつつあることを映している」と指摘した。

  9月は製造業の9分野で活動が拡大。鉱物や機械、プラスチックがけん引した。一方、家具や繊維、木材製品など7分野は縮小した。

  仕入れ価格指数は6カ月連続で低下し、51.7と2020年6月以来の低水準となった。世界的なリセッション(景気後退)懸念を受けて、石油や金属その他商品の価格が下落したことを反映している公算が大きい。新規輸出受注の指数も、この2年余りの最低を記録した。

  雇用と入荷遅延の指数が低下したことも、総合景況指数を押し下げた。雇用の指数は5カ月で4回目の縮小圏。労働市場が依然タイトであることと需要の伸び鈍化が影響した可能性がある。

  受注残の指数も20年以来の水準に低下。こうした状況を背景にサプライチェーンへの負担は緩和され、入荷遅延指数はコロナ禍前である19年12月以来の低い水準となった。

引用:Bloombergより

このように製造業の現場では景気後退の足音は確実に忍び寄ってきています。これまでもインフレと利上げが継続する中で景気後退を示す指標というのは数多く発表されてきましたが、今回もそれを裏付けるような内容です。今は何とか持ちこたえている米国経済ですが、もうそれも限界にきているのかもしれません。

雇用はいつまでもつのか

そういう意味では今週末に発表される雇用統計の数値には非常に注目されることになるでしょう。これまでも景気後退と思われるような兆候はいくつもありました。しかし、それでもFRBは引き締めの手を緩めなかったわけですが、その理由の一つとして雇用が安定しているというものがありました。しかし、ここまで景気が悪化している兆候が出てきているということはさすがに雇用にも大きな影響は出てくるのだろうという印象です。企業も何とか労働者を雇うために必死だったとは思いますが、もうそろそろ限界かもしれません。

FRBの金融政策にも影響を与えるか

もし、雇用にも影響が出てきたとなるとFRBがどう出てくるのかということが注目されます。これまではインフレ抑制第一ということで景気のことは二の次という感じでした。しかし、想定以上の景気後退ということになればさすがのFRBも引き締めの手を緩めることになるのではないかと思います。雇用の安定というのはFRBにとって大事な仕事の一つであり、無視することはできないと思われるからです。もちろん、この程度の景気後退は予想の範囲という可能性もありますし、それでもインフレ抑制の方が大事となれば引き続き引き締めを継続するということもあるでしょう。そのあたりは何とも言えないというところです。FRBのこれまでの発言を見る限り、この程度ではそれほど緩めるということはないような気がしますが果たしてどうなるのか、といった印象です。

まとめ

今日はISM製造業景況指数の発表から今後の金融政策について考えてみました。景気はかなり悪化してきていることは事実のようです。問題は雇用がどのように変化してきているかということと、それがFRBの政策に影響を与えるほどの物なのかというところでしょう。個人的にはFRBはこの程度では引き締めの手を緩めるとは思えないといった印象ですが、もしかしたらあまりに悪い経済指標を受けて若干の修正も加えてくるかもしれません。そのあたりはまだ何とも言えませんが、そのような動きにも株式市場は一喜一憂する展開となるでしょう。個人的にはあまりそのようなものに惑わされないようにしていこうとは思っています。