次回FOMCでは50bpでの利上げの可能性が高くなる

昨日はマーケットが注目していたパウエル議長の議会証言が行われました。そこでパウエル議長は今後の金融政策について積極的な姿勢を示し、想定よりも強い利上げが今後行われる可能性について示唆しました。最近は非常に強い経済指標が相次いでおり、マーケット関係者などからより厳しい引き締めが行われるのではないか等意見が出ていましたが、それを裏付けるような発言となりました。

パウエル議長がよりタカ派になる

FRBのパウエル議長は上院銀行員会にて証言を行い、今後より積極的に利上げを行う可能性について言及しました。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は7日、金融当局として政策金利を従来の想定より高い水準に引き上げる公算が大きいとしたほか、必要であれば利上げペースを加速させる用意があると述べた。議長は2月には利上げペースを落とす可能性を示唆していたが、この日は積極的な引き締め姿勢を示した。

  上院銀行委員会で半期に1度の議会証言に臨んだパウエル議長は「最新の経済データは予想より強く、金利の最終到達水準が従来想定を上回る可能性が高いことを示唆している」と発言。「経済データが全体として、より速い引き締めを正当化するのであれば、利上げペースを加速させる用意があるだろう」と述べた。

  議長の発言は、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.5ポイント利上げに道を開くものだ。今後発表される雇用や物価の指標で、これまでの利上げが米景気を減速させるのに十分でなかったことが示されれば、その可能性は高まる。

  証言内容が伝わると、金融市場では短期債利回りが急上昇し、株式相場が下落、ドルは上値を伸ばした。短期金融市場では、次回FOMC会合で0.5ポイントの利上げが決定されるとの観測が強まり、前回会合に続いて0.25ポイントの利上げになるとの見方は後退した。市場が織り込むピーク金利も5.6%弱に上昇。前日は5.5%前後だった。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏とスチュアート・ポール氏は「パウエル議長および他のFOMCメンバーらが予想する政策金利軌道をたどるドットは、今や従来想定より高い水準にシフトし、より長く維持されることになるだろう」と分析した。

  米金融当局は失業率の上昇につながり得るリセッション(景気後退)を引き起こさずに、インフレを鈍化させようと取り組んでいる。

  パウエル議長は証言で、「インフレはここ数カ月に減速してきたものの、2%に戻すための道のりは長く、起伏の激しいものになる公算が大きい」と指摘。「より広い視野で見るとインフレは昨年半ば以降に幾分鈍化してきたが、FOMCの長期目標である2%を依然として大きく上回っている」と述べた。

  議員からの質問に対して、パウエル氏は「次回FOMC会合の前には、分析すべき非常に重要なデータが、あともう2つ3つ公表される」とも発言した。 

引用:bloombergより

このようにパウエル議長は今後の金融政策についてこれまで想定されていたよりも強いものになる可能性を示唆しました。年明けくらいにはインフレはやや落ち着きを見せていたために、金融政策も緩む可能性について多く聞かれるようになっていました。しかし、2月に入り強い経済指標が相次いで発表されるようになると、そのような観測というのは一気に消し飛んだ形です。そしてその状況をFRBがどのように考えているのかということは誰もが気にしていることだったでしょう。そして今回、パウエル議長がこのような発言をしたことにより、FRBも現状を非常に深刻に受けとめており、インフレ抑制のためのより強い行動を起こす覚悟があることがわかりました。そのため今後は当初考えられていたよりも厳しい金融政策が実行される可能性がより高くなったと言えるでしょう。

次回FOMCでは50bpでの利上げの可能性が高くなる

今回のパウエル議長の発言はこれまで起こってきたことを考えると当然なのかなといった印象です。年初はややインフレも落ち着き、想定よりも米国経済は厳しくないのではないかという感じも出ていましたが、今はそれを言う人はほとんどいないといった状態です。現状維持か、もしくは引き締めかという感じであり、今回パウエル議長の発言を持って引き締め強化という結論になったと言っていいでしょう。もちろんパウエル議長も発言の中で今後の経済指標次第だといっていますから、確定したというのは言い過ぎだとは思います。しかし、今考えられる将来を想定した場合、引き締めは強化すべきという結論であり、その可能性は非常に高くなったということです。今回そのような発言をしたということは次回のFOMCに向けての準備だと言っていいでしょう。なんに匂わせもなくいきなりきつく締めれば市場は動揺します。それを最小限に食い止めるために予防線を張ったのだと思います。そういう意味でも次回のFOMCでの50bpで乗り上げの可能性はかなり高くなったと言っていいと思います。

まとめ

今日はパウエル議長の議会証言について見てきました。パウエル議長も市場が思っているようにインフレが厳しい状態にあると考えているようです。そのため今後は当初想定したよりも厳しい金融政策になる可能性がかなり高くなったと言っていいでしょう。そういう意味では株式市場にとっては厳しい状況だと言わざるを得ません。かと言ってここでインフレをきちんと抑制して置かなければより大きな問題となって後に残すだけです。そういう意味では仕方のないことだということです。短期的には厳しくなるとは思いますが、今はとにかくインフレ抑制を第一に考えるということでしょう。我々もそれを肝に銘じておくべきです。