2月の雇用者数は市場予想を上回る結果

米国の労働市場は依然として堅調のようです。昨日発表されたADPによる2月の雇用者数は市場予想を上回る結果となりました。インフレが依然として高止まりする中、労働市場も引き続き強いことが確認される形となり、今後もより厳しい金融政策へと移譲する可能性が高くなった形です。

2月の雇用者数は市場予想を上回る結果

昨日発表されたADPによる2月の雇用者数は市場予想を上回る結果となりました。依然として米国の労働市場は力強く、全く衰える気配を見せません。

米国の民間雇用者数は2月、予想を上回る増加となった。労働需要が引き続き堅調で、賃金の高い伸びにつながっている状況を浮き彫りにしている。

  業種別では娯楽・ホスピタリティーと金融関連で特に雇用の伸びが大きかった。また従業員が50人以上の企業では強い伸びを示したが、50人未満の小規模企業では5カ月連続で雇用が減少した。

  今回のデータは、労働市場の沈静化を目指した米金融当局の積極利上げをよそに、なおタイトな市場環境が続いていることを浮き彫りにした。労働力に対する需要は供給を上回り続けており、レイオフはこれまでのところテクノロジーと金融の業界にほぼとどまっている。コロナ禍には人員採用の面で厳しい状況があったサービス業でも、雇用が増えつつある。

  ADPのデータによれば、同じ仕事にとどまった人は2月に賃金が前年比7.2%上昇と、1年ぶりの低い伸び。仕事を変えた人では賃金の伸び率は中央値で前年比14.3%と、伸びがやや鈍化した。

  ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は発表文で、「採用の動きは力強く、経済と労働者にとってはプラスだが、賃金の伸びは依然かなり高い状況だ」と指摘。「賃金の伸びはやや減速したが、それだけでは近い将来インフレが急速に鈍化する可能性は低い」と付け加えた。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は依然として力強さを維持しています。最近では業績悪化を背景に人員整理も進んできてはいますが、それは一部のテクノロジー関連企業にとどまっているようです。サービス業などこれまで苦境にあった業種では引き続き雇用は増加しており、それが堅調な労働市場を支えているようです。そのため賃金も強い上昇を示しており、やや減速気味とはいえ無視できるものではない状況です。そういう意味ではいまだ労働市場は衰える気配を見せていないといっていいでしょう。

インフレが落ち着く様子が見えない

労働市場の強さというのは本来良いことだとは思いますが、インフレ下においてここまで強力であるということはさすがに困った問題だといっていいでしょう。FRBもインフレがあまり抑制されていないということでよりタカ派にシフトしそうな感じです。その中にあってこの労働市場の結果というのはそのタカ派なFRBにさらに拍車をかける要因となりそうです。もちろん今回の発表は正式な雇用統計の値ではないのでまだ断言はできません。実際、ADPの値と労働省の発表する雇用統計の数値にかなりの乖離があったなんてことも過去にはありました。なので断言はできませんが、現在の強い経済指標が相次いでいる状況を考えると金曜日に発表される雇用統計もかなり強いものになるのではないかという感じはします。そうなれば今後の利上げというのも非常に強いものとなる可能性はさらに増すといっていいでしょう。先日のパウエル議長の発言でも3月は50bpでの利上げの利上げが行われるのではないかという結論になりましたが、おそらくはそれを後押しする結果になるような気がします。それだけ今の労働市場は非常に強いということです。そういう意味ではまだ明るい兆しは見えてこないという感じです。

まとめ

今日はADPによる2月の雇用者数についてみてきました。やはり労働市場は全く衰えていませんでした。この結果により今後もより厳しい金融政策が実行されていくことでしょう。そういう意味で株式市場にとってはまだまだ厳しい冬の時代は続いていくということです。おそらく今後も期待を持たせるような株価上昇は起こるとは思いますが、長くは続かないでしょう。何はともあれインフレが終息しないことには堅調な経済成長や株価の上昇は起こらないということです。引き続き楽観的な思い込みは捨てて、慎重に行動していくべきでしょう。