消費者物価は未だ強い。市場が期待するほど金融緩和は近くはないだろう。

マーケットの緩和期待というのはやはり楽観的すぎたようです。昨日発表された11月の消費者物価は依然高水準を維持しており、市場が期待するほどインフレは沈静化していないことが確認される形となりました。このためFRBは金利の引き下げを行うには根拠がかなり乏しくなってきたと言っていいような気がします。

消費者物価は非常に強い

昨日発表された11月の消費者物価はまだまだインフレが鈍化せず、しぶとく居座っていることを確認するものでした。

米国の消費者物価は11月に上振れし、政策金利を当面高い水準で維持する連邦準備制度理事会(FRB)の意図を補強する形となった。

  エコノミストらは、基調的なインフレを見る上では総合指数よりもコア指数の方を重視している。この日のデータはインフレを低下させることがいかに容易ではないかをあらためて浮き彫りにした。物価圧力は数十年ぶりの高さから総じて後退したものの、労働市場は依然強く、個人消費と経済全般を引き続き後押ししている。

  連邦公開市場委員会(FOMC)はこの日から2日間の定例会合を開始。金利の再度据え置きを決定すると予想されている。パウエル議長らFOMCメンバーは金融政策を緩和方向に転換する前に、物価上昇の持続的後退を確認したい意向だ。

  サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は「1年前から状況は良くなっているが、これがインフレの本流だとすれば、現時点で金融緩和が間近に迫っているとは考えられない。2%からは依然程遠いからだ」と述べた。「早期利下げを期待する市場の楽観は、今のところ早計だとみている」と続けた。

  今回のCPIは家賃や医療ケア、自動車保険の価格上昇を反映。中古車価格は5月後で初めて上昇した。衣料品と家具の価格は下げた。

  総合CPIの約3分の1を占める住居費は0.4%上昇し、ガソリン価格の下げを相殺した。コアインフレをFRBの目標水準に下げるには、住居費カテゴリーの価格が持続的に軟化することが鍵を握るとエコノミストはみている。

  ブルームバーグの計算によると、住宅とエネルギーを除いたサービス物価は前月比0.4%上昇し、前月から加速した。パウエル議長らFRB当局者はインフレの道筋を判断する上でこうした指標の重要性を強調しているものの、別の指数に基づいて算出している。

  サービス物価とは対照的に財の価格は持続的に低下し、ここ数カ月で消費者にいくらかゆとりを与えている。食品とエネルギー商品を除いた財のコア物価は、2003年より後で最長となる6カ月連続の低下となった。

引用:bloombergより

このように消費者物価はまだまだ強さを残しています。そのため、FRBが金融緩和へと動く可能性はかなり低いと言わざるを得ないでしょう。物価は落ち着きを見せてきたとはいえ、まだまだ高すぎることは事実です。そのためよほどのことがない限り、現在の金融政策を緩和方向へと変化させることはないでしょう。今回の消費者物価もそうですが労働市場もきたしたほど軟化を示してはいません。そういう意味ではインフレとの戦いはまだまだ続くような気がします。

インフレはそう簡単には鈍化しないだろう

市場の基体とは裏腹に、インフレはそうかんたんには消えてはくれないのでしょう。先日の予想外に強い雇用統計の結果や今回の消費者物価の数値を見る限り、インフレは相当程度居座ることが予想されます。一時的に弱さを見せることはあるかもしれませんが、そう簡単にはインフレは収束しないということを再認識させられるような出来事だったのかなという感じです。市場では最近は楽観的に動くことが多くなってきています。しかし、今回のインフレは当初から言われていたとおり、非常に粘着性が高く、なかなか落ち着くことがない可能性が非常に高くなっています。そのことは常に頭に入れておいたほうがいいでしょう。

まとめ

今日は11月の消費者物価について見てきました。インフレはやはりそう簡単には退治できそうもありません。おそらくは市場が期待するほど来年度も金融政策はゆるくはならないでしょう。そういう意味では気を引き締めて望むべきかなという感じです。