配当と株価上昇を期待できる貴族株、ティー・ロウ・プライス・グループ

ティー・ロウ・プライス・グループは米国の大手資産運用会社です。一般的にはあまり良い成績を出せないと言われているアクティブ運用で平均以上の成績を収めています。そして、その順調な運用成績を表すように、今年第3四半期には一株あたり3ドルの特別配当を支払うことを決定しています。このように非常に順調な成長を遂げているティー・ロウ・プライス・グループですが、増配年数35年を誇る、立派な貴族株でもあります。そういうわけで、今日はティー・ロウ・プライス・グループについて見ていきたいと思います。

事業内容

ティー・ロウ・プライス・グループ(T Rowe Price Group Inc)は金融サービス持株会社である。【事業内容】子会社を通じて世界の投資家にグローバルな投資管理サービスを提供する。米国外の投資家に提供されるオープンエンドの投資商品や、変額年金生命保険プランを通じて提供される商品など、さまざまな米国の投資信託、サブアドバイスファンド、個別に管理される口座、集団投資信託、およびその他の商品を提供する。南北アメリカ、ヨーロッパ、中東およびアフリカ(EMEA)、およびアジア太平洋(APAC)の3つの地理的地域にある国々に製品を販売する。また、安定したバリュー投資契約の管理や、クライアントがサードパーティのベンチャーキャピタル投資プールから受け取る株式の処分のための流通管理サービスなど、専門的なアドバイザリーサービスも提供する。世界約51カ国のクライアントにサービスを提供する。

引用:investing.comより

ティー・ロウ・プライス・グループは1937年に設立されたボルチモアを拠点とする資産運用会社です。運用資産は1.61兆ドルに及び、幅広いサービスを個人は機関投資家に向けて提供しています。同社は配当貴族銘柄に該当しますが、同時にS&P 500採用銘柄でもあります。このことから見ても非常に信頼でき、投資対象として十分な銘柄であるとわかります。また、負債がほぼゼロで、フリーキャッシュフローが約30億ドルもあり、非常にバランスシートが優れています。さらに営業利益率が47%、純利益率が42%と非常に高くなっており、優れたバランスシートを支える高品質な事業を行っています。

通期業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

業績は非常に強い右肩上がりのグラフを示しています。これだけ強い上昇というのはなかなか見ることができません。とても収益の高い事業を行っていることがよくわかります。投資家としては非常に魅力的に見えます。

株価の推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

株価も、以前はそこまで高くはありませんでしたが、2018年位から非常に高い伸びを見せています。最近は高値警戒感からか若干下落していますが、反転の兆しは見せています。強い事業業績を素直に市場は評価しているようです。業績も好調なので、今後もさらなる株価の伸びを期待できるかもしれません。

セグメント構成

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

収益の大部分を投資アドバイス手数料から得ています。JPモルガンチェースのような会社とは少し違うようです。自分の得意分野に集中しているようです。これだけ高い収益を上げているので大きな問題はないでしょう。特に、富裕層をターゲットにした資産管理のニーズはなくなることはないでしょうから、社会構造のよほどの変化がない限り問題はないと思います。

セグメント業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

その投資アドバイス部門の収益が大きく伸びています。その他については非常に利益も小さいし、伸びもあまりないようです。

年間配当履歴

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当は非常に強い右肩上がりのグラフを示しています。好調な企業業績をしっかり反映しているようです。きちんと株主還元をしているいい企業だと思います。今後も高い配当での還元を期待するところです。

配当利回り 配当性向

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当利回りは2.0%とあまり高くはありませんが、これだけ業績が大きく上昇している企業にしてはいいほうじゃないでしょうか。このままの流れが続くと仮定すれば、配当利回りはすぐに改善されるでしょう。

PER

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

PERは過去と比較してちょうど中間あたりを推移しています。それほど大きな変動はしないような感じです。業績が好調であることを考えれば、投資するタイミングとしては悪くはないと思います。

貴族株指標

  • 増配年数 35年
  • 配当利回り 2.20%
  • 1年増配率 18.42%
  • 3年増配率 16.45%
  • 5年増配率 11.60%
  • 10年増配率 12.79%
  • 配当性向 34.04%
  • PER 15.5

参照:U.S.DividendChampions 2021/09/30より

連続増配年数35年は非常に立派な数字です。この35年間といえば、サブプライムローン問題からリーマンショックと、金融機関にとっては非常に厳しい時期もありました。その中でも配当を増やし続けてきたようなので、とても強固な収益基盤を持っているだろうと思われます。そして、株主還元にも積極的だということです。配当利回りは2.2%とそこまで高くはありません。しかし、増配率の成長は素晴らしいものがあります。過去10年で常に10%以上の成長をし、昨年一年間は18%以上もの成長をしたのですから、本当にすごいです。しかも今年は特別配当もあります。非常に業績が好調であり、株主還元にも積極的であると思います。配当性向は34.04%とまだまだ資金に余裕はあります。配当を増配し続けているのに、まだこれだけの余裕があるのですから、とてもすごいと思います。非常に優秀なビジネスモデルを持っているのでしょう。PERは非常に平均的です。過去を見ても、特別大きく動いているという印象もないので、投資するタイミングとしては悪くないのではないかと思います。

まとめ

今日はティー・ロウ・プライス・グループについてみていきました。非常に収益性の高いビジネスモデルを持ち、高い成長を長きに渡り続けている素晴らしい企業だと思います。配当利回りはそこまで高くはありませんが、毎年10%以上の増配を続けているので、すぐに利回りも改善するでしょう。その他の指標についても全く問題なく、投資対象として非常に魅力的だと思います。あまり注目されていない銘柄かもしれませんが、投資すれば大きなキャピタルゲインとインカムゲインの両方を期待できる、とてもいい銘柄だと思います。