今年のジャクソンホールはそこまで大きなサプライズはなかったように思う

マーケットが注目するジャクソンホール会議が行われ、パウエル議長は改めてインフレ抑制のための決意を表明しました。内容としてはそれほど大きなサプライズはなかったように思いますが、今後も厳しい姿勢で望んでいくことを確認するものでした。

ジャクソンホール会議でのパウエルの発言

ジャクソンホール会議にてパウエル議長は以下のような発言をしています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、金融当局は必要に応じて追加利上げに動く用意があると指摘。またインフレ率が目標の2%に向けた軌道を進んでいると確信するまで、政策金利を高水準に維持する考えを示した。

  議長は25日、ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)で講演。事前に配布された原稿によれば、「インフレ率はピークからは下がってきており、それは喜ばしい展開だが、なお高過ぎる」と指摘。「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある。インフレがわれわれの目標に向かって持続的に低下していると確信できるまで、政策を景気抑制的な水準に据え置く考えだ」と述べた。

  パウエル氏は金融引き締めのほか、新型コロナ禍後に起きた供給制約の改善が進んだことを背景に米国の物価上昇ペースが減速したことを歓迎。ただその上で、このところはデータが改善してきているものの、このプロセスは「まだ先が長い」と述べた。

  同時に、米連邦公開市場委員会(FOMC)が次回9月の会合で、市場の予想通りに政策金利を据え置く可能性があることを示唆した。

  パウエル議長は「これまでの道のりを踏まえると、今後の会合では入手するデータと変化する見通し、そしてリスクを精査しつつ、慎重に政策を進めていくスタンスだ」と語った。

  米金融当局は、インフレ率を目標の2%に戻すためのキャンペーンにおいて新たな局面に入りつつある。2022年には積極的に利上げを進めたが、今年はそのペースを落としており、利上げ終了に近づいている可能性も示唆した。今後の重要な問題は、政策金利をどの程度の期間、景気抑制的な水準で維持するのか、そしてその状況下で経済がどう展開するかだ。

  パウエル議長はこの日、リスク管理が「極めて重要」な段階になったとし、金融政策はより熟考が必要な局面にシフトしたとのシグナルを発した。

  経済については、国内総生産(GDP)と個人消費のデータは力強いとし、米経済が当初の想定ほど速いペースで沈静化していない可能性があると指摘。4-6月(第2四半期)の米実質GDP速報値は、前期比で年率2.4%増と、市場予想を上回る伸びとなった。これを受け、多くのエコノミストが7-9月(第3四半期)の予想を引き上げ、リセッション(景気後退)の確率を見直している。

  パウエル氏は「潜在成長率を上回るペースでの成長が根強く続いている証拠が新たに示されれば、インフレのさらなる改善がリスクにさらされ、金融政策の一段の引き締めが正当化されることもあり得る」と語った。

  またインフレ目標の引き上げを巡る観測を一蹴。「現在、そして今後も2%がわれわれのインフレ目標だ」と言明した。

引用:bloombergより

パウエル議長はこのように述べ、今後も引き続きインフレ抑制のために金融政策を厳しくしていくことを述べました。今後のついては状況によっては利上げの可能性もあることを示し、インフレ抑制のために全力で望む姿勢を見せています。この発言はこれまでのものと大きく変わるものではなく、特別大きなものではないのかなという感じがします。去年はジャクソンホール会議での予想外に強い発言を受け、市場は大きく動揺しました。しかし、今年はそのようなことはなかったようです。

今回はそこまで大きなサプライズがなかったように思う

今回のジャクソンホール会議は大きく注目された割にはそこまでのサプライズはなかったのかなという感じです。概ね予想の範囲内というところでしょう。引き続きインフレ抑制のために力を注いでいくということと、それはすべてデータ次第であるということです。そういう意味で今後のデータ次第では予想外の緩和ということもあり得るでしょうし、より厳しい引き締めということもあり得るのでしょう。今のところはあと一回程度の利上げというのが大方の予想という感じがしますが、それも今のところ得られるデータを見てということです。来週以降、雇用統計など多くの重要指標が発表されていくことになります。その結果によっていかようにも変わるということは覚えておいたほうが良さそうです。

まとめ

今日はジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言について見てきました。去年のものに比べると、今年は大きなサプライズもなく終わってしまったなという感じです。まあ、しょっちゅう大きなサプライズばかり起こされても困るのでこれはこれで良かったということでしょう。いずれにせよ今の所、FRBはインフレ抑制の姿勢を崩していません。そしてそれはすべてデータ次第であるということは覚えておいたほうがいいでしょう。