FRB内でも追加利上げについての意見は別れている

ジャクソンホール会議も終了しましたが、今後の金融政策はどのようになるのでしょうか。おそらくは引き続きインフレ抑制に注力するための厳し目な金融政策が実行するものと思われますが、全てはデータ次第というところでしょう。そして今の所、FRB内にも様々な意見があるようです。

引き続き引き締めを求める

クリーブランド連銀のメスター総裁はインタビューにて、引き続き金利を引き上げていく必要性について言及しました。 

米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は25日、米連邦準備理事会(FRB)がインフレを目標の2%に回帰させるために「おそらくまだやるべきことがある」とし、追加利上げに踏み切る公算が大きいという認識を示した。

メスター総裁はCNBCとのインタビューで、今後どの程度金利を引き上げる必要があるかどうかについては踏み込まず、金融政策をどの程度制約的とする必要があるか、どの程度の期間その水準に維持すべきかが、FRBにとって重要な問題と述べた。

「われわれは長い道のりを歩んできたが、インフレ率はなお過度に高水準にあるため、満足することを望まない。(インフレ率が)適時かつ持続可能な方法で低下していると確信するために、より多くの証拠を確認する必要がある」と指摘。FRBは今、バランスを取ることに直面しており、丹念な仕事を行うことが非常に重要で、過不足のない引き締めが求められるとの見解を示した。

さらに来年の利下げは現時点で想定されていないとした。

メスター氏は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。

引用:ロイターより

このようにメスター総裁は追加での利上げに積極的な姿勢を見せています。これはパウエル議長を始め、多くの関係者とも一致する意見であり、そのため引き続き引き締めが計測すると見られています。実際、インフレは落ち着いてきているとはいえ、まだまだ高く据え置かれた状況です。そういう意味ではまだ引き締めをする余地は残っているというのも理解できるところです。

一旦停止すべきとの意見もある

一方でシカゴ連銀のグールスビー総裁は利上げについては一旦停止するべきとの見解を述べています。

米シカゴ地区連銀のグールスビー総裁は25日、米連邦準備理事会(FRB)が再び利上げを行う必要があるかについては明言を避けたものの、引き締めのプロセスは終わった可能性があるとの見方を示した。CNBCのインタビューに応じた。

再利上げをする必要があるかどうかとの質問に対し、同氏は「特に物価やインフレに関する重要なデータが入ってきている時に、会合前に憶測を述べるのは好ましくない」と回答。ただその上で、「ここ2─3カ月のような状況が続けば、金利をどこまで上げるべきかよりも、金利をいつまで今の水準に保つべきかという議論が中心になるだろう」とした。

また、景気後退を招くことなくインフレを沈静化させることがFRBの勝利だとした上で、コアインフレは明確に改善したが勝利宣言にはまだ早いとも指摘。ソフトランディングへの道筋はまだあると感じているとも述べた。

引用:ロイターより

このようにグールスビー総裁は現状を見る限りは利上げの必要性はもうないだろうとの見解のようです。もちろん今後の展開次第では追加利上げの必要性も排除しておらず、今後どうなるかについてはわかりません。しかし、現状のデータを見る限りは一旦様子を見たほうがいいだろうということでしょう。インフレが落ち着いてきたということで、おそらくは経済状況にも配慮したほうがいいのではないかという考えだとは思いますが、いずれにせよFRB内での意見が反対方向に分かれてき始めたことは事実なようです。

結局はデータ次第

今のところは引き締め継続派のほうが多いような気がするので、年内の追加利上げは行われる可能性のほうが高いと見たほうがいいでしょう。おそらくは9月のFOMCでは利上げが行われるとの見方が大勢です。しかし、グールスビー総裁のように一旦様子見派が増えてきていることも事実であり、今後発表される雇用統計などの経済指標によっては内部の力関係も大きく変わってくることもあり得るでしょう。そういう意味ではこれまで以上に先を見通すのは難しくなっているようにも思います。

まとめ

今日は今後の金融政策についての見解についてまとめてみました。今のところは追加利上げが年内に一回程度あるというのが本命のような気がします。しかし、以前ほど意見の方向性の一致が見れ荒れていないのも事実であり、経済指標次第でどうとでもなるのかなという感じがします。そのあたりは注意しておいたほうがいいでしょう。