個人消費支出も鈍化。インフレは確実に減速してきている。

米国のインフレは確実に落ち着いてきています。先日発表された昨年12月の個人消費支出は前年同月比で鈍化してきており、確実に金融引き締めの効果が表れてきているといっていいでしょう。そのため今後は市場の予想通り、引き締めのペースは緩むものとみられます。ただ、経済は非常に不安定感を増しており、不透明な情勢は依然として続くとみておいた方がいいでしょう。

インフレは確実に鈍化

昨年12月の米個人消費支出(PCE)価格指数は、総合指数および食品とエネルギーを除くコア指数が共に前年同月比ベースで一段と鈍化し、過去1年余りで最も低い伸びとなった。一方で支出は減少し、米金融当局が利上げペースをさらに減速させるとの見方が強まった。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はPCEコア価格指数について、インフレ動向を測る上でより正確な指標だとの考えを示している。12月はコア・総合価格指数ともに、ほぼ全てがサービス分野の上昇によるものだった。財の価格はディスインフレが続いた。

  PCEは前月比0.2%減少。市場予想も0.2%減だった。インフレ調整後の実質PCEは同0.3%減。財への支出は実質で0.9%減。サービスへの実質支出は横ばいと、2022年1月以降で初めて増加しなかった。

  米金融当局による積極的引き締めの影響が経済全般に及んでいる中、今回の統計は、数十年ぶりの高インフレの最悪期が過ぎたことをあらためて示すものだ。

  ただ、ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏は「12月のPCEデフレーターは表面的には弱い数字だが、家賃を除くコアのサービス分野のインフレは依然として極めて高水準だ。持続性あるインフレ要素が鈍化しているとの証拠がないため、パウエル議長は金利をより高い水準でより長くとどめるとのタカ派的メッセージを維持するだろう」と予想した。

  12月の貯蓄率は3.4%。前月からの上昇幅は21年7月以来の大きさとなった。

  個人所得は前月比0.2%増と、市場予想に一致した。

引用:bloombergより

このように米国の消費は確実に鈍化してきています。これはこれまで発表されてきていた消費者物価などの数値とも一致しており、米国のインフレが確実に落ち着いてきていることを示すものとなるでしょう。しかし、記事にもある通り、サービス分野では依然としてインフレは健在です。そういう意味では今後すぐにインフレが落ち着くということはないような気がします。次回のFOMCではおそらくは25bpでの利上げが行われると思いますが、発せられるメッセージはそれほどハト派的なものとはならないかもしれません。最近のFRBは非常にインフレ抑制に積極的です。なので弱い物価上昇であってもところどころに見える強い数値を警戒して厳しい姿勢を崩すことはないのかなと思っています。そういう意味では次回のFOMCでは金利の引き上げよりもパウエル議長がどのような発言をするのかということに注目したいところです。

まとめ

今日は昨年12月のPCEについてみてきました。インフレは確実に落ち着いてきています。ここまでくると次回のFOMCでは25bpでの利上げが行われることはほぼ確実でしょう。多くの識者もそのような結論を出しており、まず間違いないものと思われます。それよりも今後の見通しについてパウエル議長がどのような発言をするのかということに注目が集まるような気がします。まだ厳しく引き締めを継続するのか、それとももう少し柔軟な姿勢を見せるのか。いろいろ考えられますが、それによって市場は多少の動きを見せることでしょう。しかし、どういう結果になろうとも短期的には株式市場は上昇することはないような気がします。やはり経済が悪すぎます。なのでどのような結果になろうともあまり期待はしない方がいいと思います。