政策金利は年内に6%へと向かう可能性

インフレが依然として高止まりする中、政策金利の行方というのは非常に気になるところです。そしてマーケットは今後の見通しについてこれまでよりも厳し目になってきているように思います。相次ぐ強い物価指標がそのような見方と強めているのだろうという感じです。

政策金利は6%を超える

現状では5%台半ば程度への引き上げをFRBは見込んでいるように思いますが、市場では6%を超える金利の引き上げというのを折り込みだしてきています。

BofAグローバル・リサーチは、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を6%近くまで引き上げる可能性があるとの見方を発表した。米国の堅調な消費需要とタイトな労働市場によってFRBのインフレとの戦いが長期化せざるをえないという。

市場では政策金利が9月に5.4%でピークに達するとの見方が織り込まれている。

BofAは27日付メモで「インフレ率がFRBの目標に回帰するためには総需要が大幅に低下する必要がある。サプライチェーン(供給網)のさらなる正常化と労働市場の減速は支援になるが、ある程度にすぎない」と指摘。「さらに、これらのプロセスはわれわれや市場の想定よりも時間がかかっている」とした。

米経済については2023年第3・四半期までにリセッション(景気後退)に陥ると見込んだ。

引用:ロイターより

このように未だ米国経済を苦しめているインフレですが、それを退治するためにFRBはより厳しい金利の引き上げをせざるを得ないと市場は見ているようです。実際、インフレはやや落ち着きを見せたようにも思えますが、素直に下落するようには見えません。今の所、高位停滞しそうな気配が強くなっています。そのためFRBがより厳しい金融政策に出てくるだろうと市場は見始めたのかなという感じです。

債券市場では利下げを排除している

そのような動きは時差氏に債券市場でも起こってきています。債権トレーダーはすでに年内の利下げの可能性についてかなり排除してきているようです。

債券トレーダーは、年内の米利下げ確率が50%以上あるとはもはや見込んでいない。

  1月半ば時点では、米連邦公開市場委員会(FOMC)による連続利上げでリセッション(景気後退)の種がまかれ、FOMCは政策の反転を迫られるとの見方が強かった。だがそれ以降、強い内容の雇用データが続きインフレも高止まりしていることから、トレーダーは政策金利のピーク予想を引き上げ、その水準で長期間維持されると見込んでいる。

  そうした見方は、担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動する先物に表れている。2023年12月限は、1月の間は同年に予想されるピーク金利を64ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回り、25bp利下げが2、3回ある可能性が高いことを示唆していた。また、金利がピークを付ける時期の予想は6月となっていた。

  だが状況は急速に変わり、12月限は今月28日現在では予想ピーク金利をわずか約12bp下回る水準で推移している。それは25bp利下げのおよそ半分で、年内利下げの有無を巡り市場の見方が割れていることがうかがえる。ピーク金利に関しては、7月から9月の間に5.42%前後に上昇すると予想されている。

  ただ判断が性急との見方も一部にはある。シティグループのストラテジスト、エド・アクトン、ビル・オドネル両氏はリポートで、6月限と12月限のSOFRのカーブは過去1カ月に急速にスティープ化しており、「明らかに買われ過ぎ」のようだと指摘した。

  市場では先週、3月と5月に各0.25ポイントの利上げがあった後、6月も同じ幅で利上げが実施されるとの見方が100%織り込まれた。ウォール街のエコノミストも予想を修正しており、6月に利上げがあると見込んでいる。

引用:bloombergより

このように債権トレーダーも今後の金融政策についてかなり厳し目に見ているようです。一旦は落ち着いたと見られたインフレ指標が実際は期待ほど落ち着いてはいないということが確認されるようになってから、そのような動きは顕著になったのだろうと思います。いずれにせよマーケットは今後の金利の見通し、そして経済の見通しについてはかなり悲観的になってきたという感じです。

あまり短期的な評価に惑わされないほうがいい

今後の先行きに関しては日を追うごとに悪化してきている感じです。1月にはやや楽観的な空気が広がっていましたが、2月に入りそれは見事に吹き飛んだ形です。もちろんこれらの観測というのはちょっとしたきっかけでかんたんに変わります。もしかしたら来月あたりには非常に楽観的な空気が広がり、年内利下げも確実なんて言葉も飛び交うかもしれません。それくらい経済の予測というのはいい加減なものです。目に見えたものに一喜一憂し、右往左往するというのはいつものことです。なのであまり悲観的になる必要もないとは思いますが、冷静に見てもやはり米国経済の先行きというのはあまり良いものとは思えません。長期的に見ればあまり問題ないとは思いますが、短期的に見ればやはり厳しいものとなるでしょう。そういう意味では最近の悲観論の台頭というのは必然的なことなのかなと思います。少し前の楽観論のほうがおかしかったということです。

まとめ

今日は相次ぐ悲観的な予想が出てきているというニュースを見てきました。冷静に見ても今年の米国市場はあまり良い結果とはならないでしょう。多少空気が変わることはあるとは思いますが、インフレという根本的な問題が解決しない限り、昔のような力強い上昇というのはなかなか難しいのかなという印象です。ただ、長期的に見ればやはり米国市場は非常に有望な市場であることは変わりないと思います。そういう意味でもこういう停滞しているときこそ投資を継続するべきです。