2%の物価目標の変更は今のところないように感じる

インフレが依然として高止まりする中、2%の物価目標を修正するべきという声も聞かれるようになりました。あまりに乖離している目標と現実を考えるとそれも一つの方法だとは思いますが、今のところFRBにはその考えはないようです。

2%の物価目標の変更はすべきでない

FRBのジェファーソン理事は現在の2%の物価目標について変更するべきではないという見解を述べました。

米連邦準備制度理事会(FRB)のジェファーソン理事は、金融当局の物価上昇率2%目標を擁護し、それを変更すれば「しっかり抑制されている」インフレ期待が不安定化する恐れがあるとの見解を示した。

  ジェファーソン氏は25日、ハーバード大学の経済学のクラスで講演。金融政策の見通しを巡る詳細な言及はなかったが、賃金上昇圧力が弱まるのに伴いサービス価格のインフレが緩和される可能性があると述べた。

  米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は1月、総合指数が前年同月比5.4%上昇した。  

  一部識者の間では、景気低迷時の利下げ余地を広げておくため、米金融当局は現在2%で設定しているインフレ目標を引き上げるべきだとの意見も出ている。これに対しジェファーソン氏は、目標変更で金融当局のコミットメントが疑問視されれば「さらなるリスクをもたらす」と指摘。「将来的にインフレ目標が日和見的に変更され得るとの疑念を抱かせることになる」と否定的な見解を示した。

引用:bloombergより

このようにジェファーソン理事は物価目標の変更については否定的なようです。同氏は現在の金融政策でも十分にインフレ抑制は可能とみており、今後は賃金上昇圧力が弱まるに従い、物価も落ち着いてくると指摘しています。その上で、現状の金融政策を変更することによるFRBへの不信感を増大させることの方がよりデメリットが大きいとみているということでしょう。ジェファーソン理事の意見がFRBの総意かどうかはわかりません。しかし、今のところFRBから物価目標修正についての話はあまり聞きませんし、そのような行動もとっているとは思えません。そういう意味では今回のジェファーソン理事の発言というのは現在のFRBの目標修正に対する答えとみていいのかなと思います。

今のところその可能性は非常に低いと思われる

一部では政策の柔軟性を持たせるためにも目標を引き上げるべきという意見は出ていました。しかし、それを行えば市場が動揺するというのは十分にあり得ることだと思います。それは最近日銀が政策変更を発表したときに市場が大きく揺れ動いたことと同じようなものです。市場は日銀が政策の変更をするとはみじんも思っていませんでした。その中で急に政策の変更したために市場は大きく動揺したのです。同じようなことが米国でも起きないという保証はどこにもありません。やるにしてもここまで大きなインパクトを与えないようにFRBは実行するとは思いますが、多かれ少なかれ影響は避けられないでしょう。そういう意味では今のところ目標に変更ということはないように思います。やるのであれば少しずつその可能性をにおわせながら市場の動揺を最小限に抑えるように発表していくのだろうと思います。そうでないとこの前の日銀のようなことになってしまうでしょう。

まとめ

今日はFRBの物価目標の変更の可能性について考えてきました。今のところその可能性はかなり低いのかなという印象です。仮にやるにしても日銀のようないきなりの発表ということはないと思います。事あるごとにその可能性をにおわせつつ、十分に市場がそれを織り込んだというタイミングで発表という感じになると思います。なので今のところその気配が全くないという観点からもまずありえないということです。もちろん、未来に絶対はないので注意しておくに越したことはないですが、やや心配しすぎかなという息がします。