10-12月期のGDP速報値は増加した。ただ楽観はできない。

米国の昨年10-12月期のGDPは予想よりも良いものとなったようです。しかし、内容を見てみるとそれほど楽観できるものではなく、今後の見通しを改善するほどの物とはなっていない様子です。まだまだ暗いトンネルを抜けるのは先になるということでしょう。

10-12月期のGDP速報値は増加

昨日発表された昨年10-12月期のGDP速報値は予想よりも早いペースで増加していることがわかりました。

昨年10ー12月(第4四半期)の米実質国内総生産(GDP)速報値は、予想よりも速いペースで増加した。ただ、米金融当局による積極的な利上げで今年の成長率は減速するリスクがあり、基調的な需要には減速の兆候が表れている。

  GDP増加率のおよそ半分は在庫積み増しによるものとなった一方、政府支出は2021年初め以来の大幅な増加に並んだ。米経済の最大部分を占める個人消費は2.1%増と、予想(2.9%増)を下回った。前四半期は2.3%増。

  スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏はブルームバーグテレビジョンで、「 米経済の屋台骨である消費者の動向をみると、失速が明らかだ」と指摘。「消費者が満足し健全でないと、単純にプラス成長は維持できない」とし、昨年末のような「力強い成長はなおさらだ」と語った。

  GDPから純輸出と在庫を除いた実質国内最終需要は、前期比年率0.8%増加した。前四半期は1.5%増。民間最終需要は0.2%増と、20年4ー6月期以来の低い伸びにとどまった。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「第4四半期はサービス分野の個人消費が力強い成長を導いたが、良いニュースはそこまでだ。純輸出と在庫、政府支出など振れが大きい要因を除いた基調的な経済活動を示す2つの指標は、かなりの景気減速を示唆している」と指摘した。

  ブルームバーグの月間調査によると、エコノミストは米経済が第2四半期と第3四半期に縮小すると予想しており、今後1年のリセッション(景気後退)確率は65%となっている。

  米金融当局の主な物価指標である個人消費支出(PCE)価格指数は、年率3.2%上昇。前四半期の4.3%上昇から減速し、20年以来の低い伸びとなった。食品とエネルギーを除いたコアは3.9%上昇。21年1ー3月期以来の低い伸び。これまでの2四半期はいずれも4.7%上昇だった。12月のPCEは27日に発表される。

引用:bloombergより

このようにGDPは増加しており、良い兆候のように見えますが、中身を見ると個人消費が思ったよりも伸びておらず、あまり楽観できるものではありません。米国経済の成長を支える個人消費が落ちていくと景気回復というのはまず見込めません。そういう意味では今回明らかになった個人消費の落ち込みというのは非常に厳しい実態を改めて浮き彫りとした形となります。

リセッションは日々近づいてきている

今年の経済はある程度失速が予想されており、その予想に日々近づいてきているような気がします。これまではまだ何とかリセッションを回避できるような指標などもありましたが、最近はそれを言うだけの根拠というのもかなり少なくなってきたように思います。相変わらず労働市場が強いことだけが救いですが、もうそれ以外の物は明らかに経済失速を表すようなものとなっています。来週にはFOMCが開催されますが、このような状態であればおそらくは25bpでの利上げが行われることでほぼ間違いないでしょう。この状況で50bp以上の利上げが行われるとはとても思えません。そういう意味では利上げの終点はそろそろ見えてきたかなという感じです。しかし、そのままインフレがすぐに落ち着くとは思えませんし、景気もかなり悪化することは間違いないでしょう。そういう意味では非常に暗い未来がこの先待っているといわざるを得ません。

まとめ

今日は10-12月期のGDP速報値についてみてきました。米国の個人消費が落ちてきているということは経済にとって非常にマイナスです。そういう意味ではリセッションの確率というのはますます高くなったのかなという印象です。一応労働市場がまだ機能しているので大きな混乱にはならないような気はしますが、厳しい時間は長く続くのかなという感じです。しばらくは辛抱の時が続いていくことでしょう。