1月の小売売上高は非常に好調。インフレが落ち着く見通しは全くない。

消費者物価の予想外の伸びにより、インフレはいまだ健在であることが確認されました。そして今日も米国経済の力強さを示す指標が発表され、インフレ圧力は弱まる気配がありません。経済が好調であるということはいいことですが、反面インフレを抑制するという目的にとっては非常に悪い影響を与えることになります。そのためFRBがさらに厳しい金融政策に出てくる可能性が高まったといっていいでしょう。

1月の小売売上高は大幅増となる

昨日発表された1月の小売売上高は非常に堅調なものとなり、消費の現場は非常に好調であることが確認されました。

1月の米小売売上高はほぼ2年ぶりの大幅増となり、堅調な消費需要を示唆した。根強いインフレと闘うために米金融当局が利上げ継続の決意を固める可能性がある。

  1月は13カテゴリー全てが増加。自動車や家具、レストランなどの伸びが目立った。自動車の売上高は5.9%増で、こちらも約2年ぶりの高い伸び。ガソリンスタンドの売上高はほぼ変わらずだった。

  今回の統計は米個人消費が昨年末の減速から持ち直し、2023年を好調にスタートしたことを示している。失業率が歴史的な低水準にあるなど底堅い労働市場や堅調な賃金の伸びに支えられ、借り入れコスト上昇やインフレ高止まりにもかかわらず、財やサービスへの支出継続が可能になっている格好だ。

  前日に発表された1月の米消費者物価指数(CPI)は大幅に上昇し、インフレ圧力の継続を示唆した。これを受けて、複数の米金融当局者が政策金利を想定していたよりも高い水準に引き上げる必要があるかもしれないと示唆していた。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「ディスインフレのプロセスが失速し、景気軟化の兆候が限られる中、今回の力強い小売売上高のデータは米金融当局が金利を高水準でより長期にわたって維持する必要があることを示唆している。政策金利のピーク水準は高くなるリスクが強まりつつある」と指摘した。

  米小売売上高で唯一のサービス分野である飲食店は7.2%増。21年3月以来の大幅な伸びを示した。当時は新型コロナウイルスのワクチン接種が開始され、景気支援の新たな個人給付も実施されていた。

  国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は1.7%増。1年ぶりの大幅な伸びとなった。

  みずほの米国担当エコノミスト、アレックス・ペレ氏は「米消費者が支出を続けていることが確認された」とリポートで指摘。「米経済はあまり減速しておらず、依然としてトレンドを上回る水準で成長している可能性が高いことを」示唆していると続けた。

引用:bloombergより

このように米国の消費は非常に堅調です。労働市場が堅調であることもあり、米国の消費者は厳しいインフレ下においても消費を抑制することはないようです。実質的な所得は低下していますので、この状況が永遠に続くということはありませんが、まだ消費を減らすというほど大きな影響はないということです。消費が堅調であるということは本来は非常に良いことですが、インフレが高止まりする現在においては非常に頭の痛い問題といっていいでしょう。インフレ抑制に全力を注ぐFRBにとっては厳しい結果といわざるを得ず、今後の金融政策にも大きな影響を与えると思われます。

インフレはまだまだ落ち着きそうもない

米国人の消費意欲というのは本当にすごいといっていいです。これだけ物価が上昇し、実質賃金も低下しているのにもかかわらず、消費が衰えないというのは単純にすごいです。30年も成長しない国で生活している身としては非常にうらやましく思えますが、今はそんなことを言っていられないというのが実際でしょう。消費がこれだけ堅調であれば物価の上昇圧力となるのは明白であり、インフレ抑制を目指すFRBにとっては非常に困った状況だからです。かといってあまりきつく金融を締めすぎると今後は経済が急ブレーキをし、雇用も不安定化しかねません。そうなると大量の失業者を出しつつ景気も悪化し、インフレも高いままという最悪の状況にもなりかねません。そういう意味ではかなり厳しい状況になっているのかなという印象です。

まとめ

今日は1月の小売売上高についてみてきました。米国の消費者というのは本当にすごいです。これだけ物価が上昇しているのにもかかわらず消費が落ちないというのはどういうことなのかと思います。非常に良いことではあると思いますが、インフレ抑制という観点で見れば厳しい状況といわざるを得ないでしょう。一時期はインフレは終息に向かっているのではないかという空気も出てきましたが、先日の消費者物価の数値や今回の小売売上高を見る限り、そんなに簡単にはいかないということがほぼ確定したような気がします。インフレとの戦いはまだまだ続きそうです。