1月の消費者物価は市場予想を上回る結果となり、インフレは未だ健在であることが確認される

米国のインフレはやはり素直に収束はしてくれないようです。昨日発表された1月の消費者物価の数値は市場予想を上回る結果となり、インフレは未だ力強く、マーケットの期待ほど落ち着いてはいないことが確認されました。このことにより、今後はFRBの引き締めもより厳しくなる可能性があり、株式市場にとっては厳しい状況が続くでしょう。

1月のCPIは市場予想を上回る

昨日発表された1月の消費者物価指数は市場予想を大幅に上回り、インフレが依然として健在であることが確認できました。

1月の米消費者物価指数(CPI)は大幅に上昇し、インフレ圧力の継続を示唆した。これにより、米金融当局は政策金利を想定していたよりも高い水準に引き上げる可能性がある。前月比の伸びはエネルギーと住居費が主導し、3カ月ぶりの大幅上昇となった。

  変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比で0.4%、前年同月比では5.6%それぞれ上昇した。エコノミストは基調的なインフレ動向を見る上で総合CPIよりコアCPIを重視している。

 前年比の伸びは総合、コアともに予想を上回ったが、減速スピードはここ数カ月よりも格段に落ちた。米金融当局は個人消費支出(PCE)価格指数の前年比2%上昇をインフレ目標としている。

  前年比の伸びは総合、コアともに予想を上回ったが、減速スピードはここ数カ月よりも格段に落ちた。米金融当局は個人消費支出(PCE)価格指数の前年比2%上昇をインフレ目標としている。

  サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのチーフ米国エコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は中古車価格と航空運賃の低下を挙げ、「もっと悪い内容になる可能性もあった」と指摘したが、「住居費がこれまでのように急速に上昇を続ける限り、米金融当局が望むような水準近くにインフレ率を押し下げるのは困難だろう」と述べた。

  1月のCPI統計は、予想を大幅に上回った雇用統計と底堅い個人消費の兆候と併せ、金融当局の積極的な政策にもかかわらず、景気が粘り強く物価上昇圧力が続いていることを浮き彫りにしている。追加利上げと金利を当面高く維持する必要性を強調した金融当局者の見解を今回のCPIは裏付けており、政策金利の最終到達点は従来考えられていたよりも高くなる可能性がある。

  ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、サラ・ハウス、マイケル・パグリース両氏はリポートで「インフレが静かに去ることはなかろう」とし、「米金融当局が持続的なベースで容認できるインフレ率に戻るのは速やかでもなければ痛みを伴わない形でもないだろう」と指摘した。

  物価安定への道のりは長く多難となりそうだ。ここ数カ月に総合インフレを押し下げてきた財のディスインフレ兆候は勢いを失いつつあり、労働市場の強さは引き続き賃金の伸びとサービス価格にとって上振れリスクとなっている。

引用:bloombergより

このように米国の消費者物価は依然として落ち着く気配が見られません。先月にはややインフレもそろそろ終わりかという空気も流れていましたが、今回の結果を受けてそれほどかんたんには行かないという認識が市場には広がったのではないかと思います。この結果を受けて、FRBは予想されていたよりも厳しい金融政策を打ってくる可能性は高くなったと言っていいでしょう。これまでも市場の楽観論とは違い、インフレに対して厳しい姿勢で望むとしてきたFRBですが、その姿勢はさらに強固なものとなるでしょう。消費者物価も依然として強く、更に労働市場も強いとなれば金融政策を緩める理由はどこにもありません。そういう意味では非常に厳しい消費者物価の結果となったように思います。

市場の楽観論を吹き飛ばす結果となった

今回の結果を受けて、今後の金融政策がより厳しいものとなる予想が相次いでいます。個人的にもそのとおりだろうという感じです。すんなりインフレが落ち着くとは思っていませんでしたが、最近の楽観的な空気によってそれがやや忘れられていた感があります。しかし、その楽観論を見事に吹き飛ばすような結果となり、今後についてはやや悲観的な見通しが大きくなるのかなという印象です。金利のピークも従来よりも高くなることも予想され、6%以上になる確率もかなり高くなったと言わざるを得ません。そういう意味では株式投資の環境としてはかなり厳しくなったと言っていいのかなという感じです。

まとめ

今日は1月の消費者物価の数値について見てきました。まあ、そんなにうまくは行かないとは思ってはいましたが、現実に突き付けられるとやはり気分は滅入ってきます。やはりしばらくは株式市場はあまり良い結果は望めないのでしょう。今年中にはやや持ち直すのではないかという予想もありましたが、このような結果であればインフレ抑制は長期戦となり、想定以上の株価停滞という可能性も十分に出てきたように思います。大変厳しい状況ですが、こういうときこそ投資家としての資質が問われるような気はします。あまり悲観的になりすぎず、従来どおりのスタイルを貫き、投資を続けることが大切だと思います。