米国の消費者の心理は確実に悪化。

米国消費者の心理というのは確実に悪化しているように思います。ニューヨーク連銀の調査によれば、今後も消費者は収入が鈍化すると見込んでいる一方で、物価は高止まりするとみており、消費の現場に与える影響というのも小さくないでしょう。その中でどこまでFRBが強気の金融政策を継続できるのか、そしてインフレをしっかりとコントロールできるのかということに注目が集まります。

米国の消費者心理はあまりよくない

ニューヨーク連銀の調査によると、消費者は今後収入があまり増えず、インフレも高止まりすると考えているようです。

米消費者は収入の伸びが鈍化する一方で、インフレは高止まりすると見込んでいることが、ニューヨーク連銀の調査で明らかになった。

  13日公表された1月調査によると、家計収入の伸び率予想は中央値で1.3ポイント低下して3.3%。月間ベースの下げとしては、ほぼ10年前のデータ開始以降で最大となった。1年先のインフレ期待は5%で、前月から変わらず。

  収入の伸びに関する期待は新型コロナウイルス禍前よりは高い水準を維持しているが、家計へのひずみが大きくなりつつあることを今回の結果は示している。向こう3カ月に最低限の債務返済を怠る可能性も、1月に平均で上昇した。

  中長期のインフレ動向に関する見方はまちまちで、3年先のインフレ期待は2.7%に低下。一方、5年先のインフレ期待は2.5%に上昇した。

  消費者は昨年12月時点よりも、ガソリンや食品価格の急上昇を見込んでいることも示された。

引用:bloombergより

このように米国の消費者のマインドはかなり悪化しているとみていいでしょう。雇用は安定しているのでいきなり大きな混乱というのは起こらないとは思いますが、実質的な収入低下は消費の現場にとって大きな影響があると思われます。米国経済の多くを占める個人消費がダメージを受ければ米国経済への影響は避けられず、株価も伸び悩むことが予想されます。

FRBは引き続き引き締めを継続

そんな中ですが、FRBはインフレ抑制のための引き締めを緩める気配はありません。

米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は、物価の伸びを抑えるには利上げの継続が必要になる可能性が高いと指摘。利上げ継続は景気拡大ペースの減速をもたらし得るほか、労働市場にも影響を及ぼす可能性があると述べた。

  ボウマン理事は13日、フロリダ州オーランドで開かれた地域銀行の会議で講演。「物価安定の達成からはなお程遠い。インフレを当局の目標に向けて鈍化させるため、金融政策を一段と引き締める必要があると見込んでいる」と発言。その上で、「そうした引き締め措置は、経済活動の拡大抑制と労働市場環境の幾分かの軟化をもたらす可能性が高い」と語った。

  ボウマン氏は持続的に強い労働市場を支えるには物価安定の回復が不可欠だと指摘。「インフレ鈍化のための金融引き締めにはコストとリスクが伴うが、根強いインフレを放置することのコストとリスクの方がずっと大きいと考えている」と述べた。

引用:bloombergより

このようにFRBのボウマン理事は今後もインフレを抑制するために引き締めを継続するべきという発言をしました。これはパウエル議長をはじめとしたFRB関係者の発言と同様なものであり、FRBはインフレ抑制のために毅然とした態度で臨むという姿勢を改めて示したものといっていいでしょう。現状、労働市場は堅調であるため引き締めを継続するということは間違ったことではないでしょう。一時的に経済が減速するリスクがあったとしてもインフレが長期停滞する方が経済にとって悪影響が大きいことは確かです。そういう意味では正しいとは思いますが、やはり経済に与える影響というのは気になるところです。

ソフトランディングは簡単ではない

米国経済は日に日に厳しくなってきていると感じます。企業業績も悪化し、人員整理も多くなってきました。消費者の懐もかなり寂しくなってきているのも確かです。にもかかわらず、物価は今後も上昇していくと見込まれています。果たしてどこまで米国経済が引き締めに耐えられるのかというのは非常に気になるところです。インフレ抑制が完了するまで米国経済は持ちこたえてくれるのか。個人的にはやや厳しいような気はします。さすがにここまでくると消費は落ち込み、経済も悪化するでしょう。労働市場が堅調であればそこまで急激に悪化はしないような気はします。しかし、労働市場が堅調であるからこそ引き締めは継続されるという側面もあるので何とも言い難いところです。この非常に危ういバランスをうまく保ちながらソフトランディングができるのか。可能性は以前よりは高くなってきているとは思いますが、簡単なことではありません。

まとめ

今日は米国経済の現状についてみてきました。消費者の心理はかなり悪化しているといっていいでしょう。正直このままインフレが終息するまでもつとは思えません。インフレはそんなに簡単に2%へと落ち着くとは思えませんし、そんなの長期間、消費者が耐えられるとも思えません。そういう意味では本当に今後の米国経済は厳しいといわざるを得ないでしょう。なのでリセッションリスクというものもしっかりと頭に入れておくべきです。