1月の生産者物価も非常に高いものとなりインフレとの戦いは長期化の様相

予想外に弱体化しないインフレですが、その戦いはやはり簡単には終わりそうもありません。先日発表された消費者物価の数値は非常に強いものでしたが、生産者物価についても同様の結果となり、依然として米国のインフレはしぶとく居座っているといっていいでしょう。このことにより厳しい金融政策は長期化するものとみられ、マーケットの期待とは裏腹に経済状況はますます悪化する懸念が出てきています。

1月の生産者物価も大幅に市場予想を上回る

昨日発表された1月の生産者物価指数は市場予想を大きく上回るものとなり、消費者物価の数値と合わせて米国のインフレが依然として深刻な状況であることを確認する形となりました。

1月の米生産者物価指数(PPI)は予想を上回る大幅上昇となり、根強いインフレ圧力を浮き彫りにした。今後数カ月における追加利上げを後押しする可能性がある。

  振れの大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.6%上昇。0.2%上昇の市場予想を上回り、昨年3月以来の大幅上昇となった。前年同月比では4.5%上昇。

  先に発表された1月消費者物価指数(CPI)も、昨年からの積極的な金融引き締めにもかかわらず高いインフレ圧力が続いていることを示した。サプライチェーンの問題が改善し、多くのコモディティー(商品)相場が下げ、財の需要が落ち着く中、PPIは数カ月前から総じて沈静化の傾向にあった。

  しかし、インフレは多くが想定していたよりも定着している様子が明らかになった。今後は労働市場の強さと国際商品価格の動向が、インフレの全体像を左右する鍵となる。

  ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏は「PPIがピークを離れたとはいえインフレは高い水準にあり、前月比での変化は12月と反対の方向だった」とリポートで指摘。「こうしたデータは今後も追加利上げの路線継続を促すだろう」と述べた。

  1月は財の価格が前月比で1.2%上昇し、これも昨年6月以来の大幅な伸び。また外来医療費が1.4%上昇するなど、サービス価格でも一部主要項目で顕著な上昇があった。自動車小売りやポートフォリオマネジメント、航空サービスの価格も上昇した。

  医療ケアなどの一部カテゴリーは、個人消費支出(PCE)の算出に用いられる。1月のPCEは来週24日に発表される。

引用:bloombergより

このように、米国では企業間取引においても依然として物価の上昇が続いているようです。もちろん以前のような急激な上昇というのは落ち着いてはいますが、今なおインフレは高水準を維持しており、とても安心できるような状況ではありません。そういう意味では今後も金融政策は厳しいものとなる可能性がまた高くなったといっていいでしょう。先日も消費者物価の数値が堅調だったためにそのような観測も出てきていましたが、改めてその可能性を裏付けるような生産者物価の結果となり、マーケットからは失望を買いそうな感じがします。

インフレとの戦いは長期化の可能性が非常に高い

今回の結果は改めてインフレの厳しさを再認識させられるものとなったような気がします。少し前にはもうインフレは終息に向かっており、そろそろ引き締めも緩和されるのではないかという憶測も出てきていましたが、その可能性はまずなくなったといっていいのかなという感じです。やはりインフレを抑制するというのはそう簡単な話ではないということです。なので当初の予想通り今後もしばらくは厳しいインフレと引き締めは継続する可能性が非常に高く、むしろ予想以上にこの戦いは長期化する可能性すらあるのかなという印象です。もちろんそうならないことを切に願うばかりですが、そのような兆候は今のところ全く見られません。

まとめ

今日は1月の生産者物価についてみてきました。やはり米国のインフレを終息させるというのは並大抵のことではないということでしょう。少なくともあと少しでこのインフレがなくなるという可能性はまずないといっていいのかなという印象です。当初言われていた通り、今年中に引き締めが緩むという可能性はまずないような気がしますし、もっと長期化する可能性すら高くなったという印象です。その中で企業業績の悪化はもう始まっていますし、今後さらに拍車がかかるでしょう。今のところ何とか力強さを維持している労働市場もいつまで続くかわかりません。このバランスをうまく保ちながらソフトランディングできればいいのですが、なかなか厳しいのではないかと思う気持ちが改めて大きくなってきたように思います。なかなか厳しいのではないかという気持ちが改めて大きくなってきたように思います。