金利のピークは想定よりも高くなるだろう

インフレの収束が依然として見えない中、金融政策についての不透明感も日々増してきています。物価の上昇が依然として様らない現在、さらなる利上げを求める声も出てきました。その声はFRB内部からも聞こえてきます。金利は当初想定していたよりも随分高くなるのかもしれません。というわけで今日は今後の政策金利について考えていきます。

金利上昇は想定よりも高くなる?

先週、複数のFRB関係者から金利の先行きについて当初よりも高くなるだろうという発言が相次ぎました。

複数の米金融当局者は14日、政策金利を従来の想定以上に引き上げる用意があることを示唆した。必ずしも引き締めペースの加速ではないが、根強い高インフレを抑制するために必要との認識だ。

  カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、過度に急速な利上げを避けた上で政策金利を景気抑制的な水準へ引き上げるべきだとの見解を示した。急速過ぎる利上げは「最終的に自己破壊を招きかねないやり方で金融市場と経済を混乱させる」可能性があると述べた。

  同総裁はS&Pグローバル・レーティング向けにオンラインで講演。「フェデラルファンド(FF)金利のターミナルレート(利上げの最終到達点)は、より高い水準になる可能性があり、その水準でより長期に維持する必要があるかもしれない」と発言。「ただ、それをどの程度速く行うかについて、私は大抵の人より慎重な方だ」と述べた。

  また、米国の家計には支出を継続できるだけの貯蓄があるとし、そのために金融当局はしばらく現行の政策を続ける必要があるとの認識を示した。

  サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は同日、ヤフー・ファイナンスとのインタビューで、経済には冷え込みの兆候も見られるとした上で、景気に抑制的な水準への利上げ継続を「全面的に支持する」と話した。

  同総裁は政策金利を4.5-5%に引き上げることが「最もあり得る結果」だとし、そうなれば金融当局は「その水準にしばらく維持する」方針だと語った。

  また米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は、現行の利上げ継続が必要である公算は大きいとし、インフレ抑制をやり遂げるまで金融当局として利上げを続けることになると述べた。

  これら当局者3人の発言からは、0.75ポイントを超える利上げには積極的でない様子がうかがえる。一部のトレーダーやエコノミストには、1ポイントの利上げを見込む向きもある。

引用:Bloombergより

このように複数のFRB関係者が今後の金融政策について当初の想定よりも高い金利水準になる可能性について言及しました。ただ、そのスピードについてはやや抑制的であり、一部で出てきた100bpでの利上げについては否定的です。しかし、金利を十分に上げた後はしばらくその水準を維持するであろうという発言もあり、正常な経済が戻ってくるのはかなり先のことになるのだろうという印象です。

状況はますます困難な状況

今回の発言を見る限り、FRBは当初インフレをもう少しコントロールできると考えていたのだろうと思います。しかし、それは完全に間違いであったということであり、相当の修正を余儀なくされているものと思われます。相変わらず後手後手に回っている印象で、かなり先行きに対して不安になるところです。急激な金利上昇はすべきではないということなので、100bpのような極端な利上げということはないのかなとは思いますが、景気の先行きも不透明ですし、雇用についてもいつまで安定しているかもわかりません。そういう意味では本当にこのまま利上げを継続できるのかというのも微妙な状況だと思います。経済状況によっては利上げを断念せざるを得ない状況になる可能性もあり、インフレ抑制を目指すFRBにとっては本当に困難な状況になったなという印象です。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてみました。現状は私たちが想像している以上に困難な状況であると思っておいた方がいいでしょう。ソフトランディングというのはかなり難しくなったと思います。何とか金利を上げきるまで雇用が持ってくれればいいのですが果たしてどうでしょうか。うまくいけばFRBにとっては朗報となるでしょうが、そうならないような気がしています。何とか私の予想が外れることを祈るばかりです。