新規失業保険申請件数がさらに悪化

労働市場の悪化はしばらく続く気配を見せています。昨日発表された先週の新規失業保険申請件数は増加傾向を示し、また、継続受給者の数も大きく増加していることがわかりました。労働市場の悪化が一時的なものではなく、長期化する可能性が出てきており、今後の米国経済を不安視する声も多く上がってきています。

新規失業保険申請件数は悪化

昨日発表された新規失業保険申請件数は前週よりも増加し、労働市場の一段の悪化を示すものとなりました。

米失業保険申請件数の統計では、継続受給者数が前週から増加し、約2年ぶりの高水準となった。失業者が新たな仕事を見つけるのが一段と難しくなっていることが浮き彫りとなった。

  底堅い労働市場が今年の経済成長を下支えしている一方、借り入れコスト上昇が重しとなり成長は勢いを失うと、多くのエコノミストは予想する。企業の人材採用ペースは鈍化し、失業率は上昇、また賃金の伸びは減速しており、ホリデーシーズンを控えて消費者の支出がやや落ち込んでいる。

  失業保険申請の統計は祝日の前後は特に変動が大きくなる。先週はベテランズデーの祝日が含まれた。より変動の少ない4週移動平均は、22万250件に増加した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「新規失業保険申請件数の増加に加え、継続受給者数もなお増え続けていることから、労働市場の軟化が継続していると解釈できる。今回の統計は、11月の失業率が10月の3.9%から若干上昇することを示唆しており、米金融当局の年内の利上げが終わったことを示している」と指摘した。

  申請件数は季節調整前ベースでも増加。マサチューセッツ州とニューヨーク州で特に増えた。季節調整前ベースでの継続受給者数は4週ぶりに減少。カリフォルニア州とミシガン州で大きく減った。

  サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏はリポートで、「数字が傾向的に急増しているのであれば留意する必要があると言えるが、1年の中でこの時期に異常値が一度出たぐらいなら、週ごとの変化が継続して一方向に動き始めるまで重視しなくて良いだろう」と指摘した。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は悪化傾向を続けています。特に継続申請者数画像化していることは新しい仕事が見つかりづらくなっていることの表れであり、企業が新規の採用をしぶていることを表しているものと思われます。それだけ先行きに対する不安があるのだろうということです。そういう意味でも今後の先行きに対してはかなり慎重な姿勢で望む必要があるのかなという感じです。

利上げの可能性がさらに下がる

今週も失業保険申請件数が悪化傾向ということで、労働市場の鈍化というのは決定的と言っていいのかなという感じです。そして消費者物価などのデータを見る限り、米国経済の減速はほぼ間違いないと言っていいレベルになったのかなと感じます。そういう意味では今後の先行きはかなり不安なものとなるでしょう。そして、その結果として利上げはおそらく今後は行われない可能性がかなり高くなったと言えると思います。今も強い指標というのは散見されることはありますが、今回の指標のように非常に弱いデータも多くなってきました。このような状況においては現状で据え置くという選択した一番懸命なような気がします。そもそも現状でも金利水準は非常に高いと言っていいレベルです。そういう意味では利上げの可能性はかなり低くなったような気はします。

まとめ

今日は新規失業保険申請件数について見てきました。労働市場の悪化は一段と厳しくなり、経済の先行きは一層厳しくなったと言えるでしょう。反面、利上げについては今後は見送られる可能性がかなり高くなったと思われます。そういう意味では株式市場にとってはいい面も悪い面もありそうな感じです。