利下げを否定する当局者の発言が相次ぐ

予想外に強いインフレ指標により、今後の利下げの見通しについては厳しい見方をする人が多くなってきています。当局の中からもそのような発言が連日相次いでおり、その流れというのはかなり固まってきたような気がします。利下げの開始と規模は当初考えられていたものよりもより小規模なものとなる可能性が高くなってきたと言っていいのでしょう。

利下げに否定的な発言が相次ぐ

先日、カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は講演にて以下のような発言をしています。

米カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、政策決定者は先手を打って政策を調整するのではなく、利下げの前にはインフレ率が2%に戻るという「明確かつ説得力ある」証拠を待つべきだと述べた。

  同総裁は、米経済の腰の強さが金融政策の道筋に不確実性をもたらしていると指摘。利下げには「忍耐強い」姿勢が好ましいとした。

  カンザス州オーバーランドパークでの講演でシュミッド氏は「インフレ率が目標を上回って推移し、経済成長が引き続き勢いを見せ、さまざまな資産市場で価格が上がっている中で、現在の金融政策のスタンスは適切だ」と語った。発言は講演原稿に基づく。

  最近発表された各インフレ指標は予想を上回っている。10日発表の3月米消費者物価指数(CPI)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が3カ月連続で市場予想を上回る伸びとなった。

  シュミッド氏は「この最近のデータは、インフレ率が持続的に2%に戻る道筋にあるという明確で説得力ある証拠を待つ間、金融当局は忍耐強くあるべきだという私の考えを裏打ちしている」と語った。

引用:bloombergより

さらなる修正も十分にあるのだろう

消費者物価指数の発表以降、多くの専門家や当局者の発言が出てきましたが、いずれも利下げに対しては厳しい見方をしており、利下げの時期については更に後退することはほぼ間違いないのかなという感じがします。当初からここでは何度も行っていますが、今回のインフレは非常に粘着性が高いです。そのためインフレが落ち着くには相当程度の時間がかかることでしょう。そういう意味でインフレ指標はそう簡単には落ち着くことはないように思います。今回の経済指標の発表もその考えをさらに強固なものとするようなものであり、インフレがそう簡単には落ち着かないということを明確に示したと言っていいでしょう。そういう意味では金融政策は引き続き厳しい状態が続くでしょうし、さらなる修正の可能性もあり得るのだろうという感じです。

まとめ

今日は強い経済指標を受けて発言する当局者について見てきました。インフレはそう簡単には落ち着くことはないでしょう。そのことはきちんと頭に入れておくべきです。そして今の先行きの予測についてもおそらくさらなる修正が行われる可能性があると考えるのがいいと思います。そういう意味で何が起きてもいいように常に準備は怠らないようにしたいものです。