消費者物価に続き、生産者物価も大幅に鈍化

消費者物価の落ち込みにより利上げの終了観測が強くなってきましたが、その観測がさらに協力になりそうです。昨日発表された生産者物価指数も市場予想を大きく下回る結果となり、物価の伸びが確実に鈍化してきていることがわかりました。FRBは未だ利上げの選択肢を排除していませんが、その可能性というのはさらに低下したと言っていいでしょう。

生産者物価も大幅に鈍化

昨日発表された10月の生産者物価指数は市場予想を大きく下回るものとなりました。

10月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想に反して前月比で低下。低下幅は2020年4月以来の大きさとなった。インフレ圧力が経済全般で和らぎつつある兆候が新たに示された。

  前月比での低下は、主にガソリン価格の下落を反映している。

  食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比横ばい。前年同月比では2.4%上昇と、21年1月以来の小幅な上昇率にとどまった。

  前日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前月比横ばい、コア指数は市場予想に反して伸びが鈍化し、米追加利上げ観測が後退した。

  10月のPPI統計では、ガソリン価格が前月比15.%低下。財価格低下の80%強はガソリンの値下がりによるものだった。サービス価格は横ばい。それ以前は6カ月連続で上昇していた。

  その他の項目では、医療分野の多くや航空サービスが上昇した一方、衣料小売りやポートフォリオ管理での低下が目立った。

  変動の大きい食品とエネルギー、貿易サービスを除いたPPIは前月比0.1%上昇と、5カ月ぶりの低い伸びとなった。

引用:bloomgergより

このように米国の生産者物価は大きく低下してきています。先日の消費者物価の数値と合わせ、インフレは確実に鈍化してきていると言っていいでしょう。FRB関係者はこれらの発表の後でも利上げの選択肢を排除しないとの発言を繰り返しており、市場の利上げ終了観測を牽制する事を忘れてはいませんが、今のところその効果はあまりないのかなという感じがします。

利上げの可能性はかなり後退

生産者物価も鈍化してきたということで、いよいよインフレも落ち着きを見せたと言っていいのかもしれません。もちろん、まだまだ目標の2%への道のりは険しく、利下げというのには時間がかかるとは思いますが、利上げの可能性というのはかなりなくなったような印象を受けます。当局としてはこの発表の後でも慎重な姿勢を崩してはいませんが、これらの経済指標を考えれば利上げという選択肢を選ぶ可能性はかなり低いと言っていいのかなという印象です。何れにせよ、全てはデータ次第であり、今後の展開でまだどのようにも変化する可能性はあることは頭に入れておきたいところではあります。

まとめ

今日は10月の生産者物価指数について見てきました。インフレは確実に鈍化してきています。市場はやや楽観的すぎるかなとは思いますが、それでもさらなる引き締めというのはかなりしづらくなったような印象があります。それでもインフレ収束までにはまだまだ時間はかかると思われますし、利下げを行うのはかなり先になるとは思います。そのあたりは注意しておいたほうがいいでしょう。