今後の政策金利の見通しがあいつで引き上げられる

強い経済指標を背景に、今後も厳しい金融政策が継続されるのではないかという観測が出てきています。実際FRB関係者からもそのような発言が多く出てきていますし、専門家からも同じような指摘はたくさん存在します。そういう意味では一時期あふれていた楽観論というのはかなり後退したのかなという印象です。

政策金利の見通しがあいつで引き上げられる

今後の金融政策について、これまでの予想を修正する動きが出てきています。

ゴールドマン・サックスとバンク・オブ・アメリカ(BofA)のエコノミストは米利上げ見通しを引き上げ、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合でも0.25ポイントの追加利上げがあり、ターミナルレートは5.25-5.50%になると予測した。

  ゴールドマンのエコノミストは16日のリポートで「より力強い経済成長や根強いインフレに関するニュースを背景に、米利上げ見通しをさらに25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げる。当社は3、5、6月の会合で25bpずつ3回の追加利上げがあり、ピーク金利は5.25-5.5%と見込む」と指摘した。

  BofAのエコノミストは、従来予想では3月と5月に25bpずつ利上げし、その後は停止だったが、「インフレ再加速や底堅い雇用の伸びは、この見通しへのリスクがあまりにも一方向であることを意味する」とし、「初回利下げは2024年3月との予想を維持する」と続けた。

引用:bloombergより

このように大手金融機関では強い物価の動きを受けて、金利の見通しを引き上げるレポートを相次いで出してきました。先月あたりはインフレのピークが見えてきたということで、やや弱めの見通しをしているものが多い印象でした。しかし、最近の消費者物価や生産者物価の予想外に強い結果を受けて、その見通しを修正する動きが活発です。現状、金利の先行きについては多くのレポートが従来予想よりも厳しめなものとなっているような気がします。やはりインフレの終息について確信が持てなくなってきているということでしょう。

FRBも厳しい見通しを示す

このような観測は金融機関だけではなく、FRB内部からもたくさん出てきています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は17日、インフレを抑制するため利上げを続けるべきだと指摘。インフレは「あまりにも高過ぎる」水準にとどまっているとの考えを示した。

  ボウマン氏はナッシュビルで開かれたテネシー銀行協会の会議で、「特にインフレに関して、必要とされる状況に至っていない」と発言。「さらに大きな進展が見られ始めるまでフェデラルファンド(FF)金利の引き上げ継続が必要になるだろう」と述べた。

  「インフレはあまりにも高過ぎるということに誰も異議を唱えることはできない」とし、「景気状況のデータは多くが実に矛盾している」と話した。

引用:bloombergより

このようにボウマン理事は現在のインフレについて高すぎると表現し、今後も厳しい金融引き締めが必要だと訴えました。これまでの金融政策が失敗だったということはないでしょうが、インフレを抑え込むという目的を達成できているとはとても言えないということでしょう。そういう意味では今後も厳しい政策が望まれるということは当然かもしれません。そしてボウマン理事のような厳しい見方をするFRB関係者は多く存在し、消費者物価や生産者物価の発表以後は相次いで厳しめな発言をしている印象です。そういう意味では今後も金利の引き上げが予想以上に続く可能性は否定できないのかなと思います。

しばらくはあまりよい話は出てこないのだろう

やはり金融政策が緩むということはないとみた方がいいでしょう。消費者物価や生産者物価の数値の発表から今後については厳しい見方が多くなってきましたが、FRB内部からもそのような発言が相次ぎ、厳しい金融政策が継続する可能性が濃厚となってきています。当初は年末には金利は引き下げられるだろうという予想も多くありましたが、現状ではややその勢いが弱くなってきています。むしろ政策金利が6%を超えるというものまで以前よりも聞かれるようになってきましたし、厳しさというのは時間がたつにつれ増してきた感じがします。今後、景気の悪化はほぼ確実であり、企業業績があまり芳しくなく、株価も低迷するかもしれませんが、金融政策での後押しというのはあまり期待出来ないといっていいと思います。そういう意味では今後も株式市場は低調な状態が続いていくことでしょう。

まとめ

今日は今後の金融政策についてみてきました。消費者物価や生産者物価の発表があってからあまりよい見通しは立たないなと思っていましたが、それを覆すようなものはまだ出てきていないという状況です。むしろそれを後押しするようなものしかないといっていいのではないでしょうか。インフレは依然として健在です。今のところ2%へ落ち着いてくる様相は全くありません。そういう意味では金融政策も緩むということはないでしょう。そのため、経済がどうなろうとも金融政策でのバックアップは期待できないということです。一時期、米国経済は当初想定していたよりも随分マシなのではないかという憶測もありましたが、その期待は完全になくなったといっていいでしょう。