次回の利上げは25bpを織り込みだしたマーケット

米国経済の先行きは依然として不透明な状況が続いています。インフレも高く、金融不安も全く解消できておらず、短期的にはあまり良い結果が出るようにも思えません。そのような状況下ではやはり悲観的なレポが出てくるということも必然と言っていいでしょう。

次回FOMCでは25bpで乗り上げを織り込む

次回のFOMCではどの様な決定がくだされるか、現時点ではわかっていませんが、マーケットでは25bpで乗り上げをすでに折り込み始めたようです。

金利スワップ市場は、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.25ポイント追加利上げを80%余りの確率で織り込んだ。7日に発表された3月の米雇用統計が市場予想を上回ったことが材料。

  FOMCは3月22日の前回会合でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.75-5%に引き上げた。しかしその後、複数の地銀破綻で銀行株が急落したことなどもあり、5月利上げの見込みはほぼゼロになった時期もあった。

引用:bloombergより

このようにマーケットはすでに25bpでの利上げを織り込んでいます。記事にもあるように、一時期はSVB破綻を機に始まった金融不安により、利上げは一旦停止されるのではないかという空気も出ていましたが、今ではそれもかなり少数派となっています。インフレは依然として顕在化しており、経済も悲観的な状況にはなっていますが、利上げを停止するほどのものとは見られていないようです。実際、FRB自身がことあるごとに引き締めの必要性を訴えており、その可能性というのはかなり高いのだろうとは思います。

先行きは依然として暗い

ただ、そうなるとやはり経済への影響は小さくはないでしょう。特に今後も金利が引き上げられるというのであればダメージを受けた金融機関にとってはさらなる試練となるでしょう。最悪、さらなる金融機関の破綻という可能性も否定できず、本当にリセッション入りへと突き進む可能性も出てくるのではないかと思います。事実、今後の先行きについて、警戒する声も多く出てきています。

投資家は金利がピークを付けるタイミングと利下げの可能性に気を取られ過ぎており、リセッション(景気後退)のリスクとその株式への影響を過小評価している。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらがこう指摘した。

  マイケル・ハートネット氏率いる同行のチームは6日のリポートで、米金融当局が利上げサイクルの終了に徐々に近づいているとし、「最後の利上げに合わせて売る」、もしくは株式への配分を減らすよう顧客に助言した。

  BofAは1970年代と80年代のインフレ時には、最後の利上げ後3カ月に株式相場は毎回下落したと指摘。利上げサイクルの最終盤に株式を購入してうまくいったのは、90年代のディスインフレ時だったとの分析を示した。

  ハートネット氏は「投資家は利下げについて過度に楽観的で、リセッションに関しては悲観的な見方が十分でない」とし、「リセッションの可能性は一段と高まりつつある」と警告した。

  同氏は昨年、リセッション懸念で株式市場からの資金流出が加速すると主張。株式に対する弱気スタンスを維持して、正確な予想を示した。

引用:bloombergより

このように、今後の先行きに関する悲観的な論評というのは非常に多くなってきています。現在の状況を冷静に見ても、今後の展開はあまり楽観的ではありませんし、記事にもある通り、過去の経験則においても今後景気が後退する可能性というのはかなり高いと言わざるを得ません。そういう意味では、すぐにマーケットは回復すると思っている人は警戒をしておいたほうがいいでしょう。

まとめ

今日は今後の金融政策や経済の行方について考えてきました。客観的に見ても今後はかなり悲観的な状況が待っていると言わざるを得ないのかなと思います。ただ、いつまでも下落が続くということはありません。必ずそこをつけたあとは上昇を始めるでしょう。それがいつになるかはわかりませんが、現在の経済・社会システムが大きく変わらないかぎり、間違いなくそうなります。そしてその転換点となるそこをつけるときというのは、誰もが将来を悲観し、マーケットに対して消極的になっていたときです。そしてその誰もが悲観的になっているときこそ投資をした人が、後の上昇相場で一番の利益を手にしているのです。それは歴史が証明しており、動かすことのできない事実です。そういう意味でもこれだけ悲観的な状況が揃っているときこそ投資を継続するべきでしょう。私はそう思っています。