消費者心理は悪化傾向

インフレや金融不安による消費者への影響はやはり大きいのかもしれません。先日発表された消費者信頼調査によると、消費者のインフレに対する期待値は予想外に上昇し、景気に対する先行き感も悪化していることが確認されました。景気に対する明るい話題がまったくないと言っていいような状況であり、ある意味必然的なことかもしれませんが、厳しい現状がまた明らかになった格好となっています。

消費者心理は悪化

先日発表されたミシガン大学による消費者信頼調査によると、インフレの先行き期待は予想外に高く、景気の先行きに対しては暗い見通しをしていることがわかりました。

米ミシガン大学が12日に発表した5月の消費者調査速報値によれば、長期のインフレ期待は予想外に加速し、12年ぶりの高水準に達した。消費者マインドは低下し、景気の先行き不安を反映した。

 ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は発表文で「最新のマクロ経済データはリセッションの兆候を示していないが、消費者は5月に入ってから景気への不安を強めている。債務危機に関する行き詰まりなど、経済に関する悪いニュースが広がったことが背景にある」と解説した。

  消費者マインドは2011年の債務上限危機の局面でも大きく落ち込んだが、解決後には急速に戻している。 

  高インフレにリセッション(景気後退)懸念が加わり、センチメントは長期にわたって圧迫されてきた。一方で消費は概して持ちこたえており、雇用機会の広がりや賃金上昇が続いている状況に助けられている。

  ミシガン大のシュー氏は、インフレ期待の加速は気がかりだが、将来の価格上昇を見越した駆け込み消費の兆候もほとんどみられないと指摘。「長期のインフレ期待上昇は、インフレ心理の影響増大や賃金物価スパイラルのリスク上昇を反映しなかった」ことが示唆されるという。

  耐久財の購入環境に関する指数は5カ月ぶりの水準に低下。回答者の約42%は生活水準低下の理由に物価高を挙げた。

  現況指数は64.5と、前月の68.2から低下。期待指数は53.4と、これも前月の60.5から下げた。

引用:bloombergより

このように消費者のマインドはまだまだ改善の傾向にはありません。インフレや金融不安が消費者心理を圧迫していることもそうですが、債務聞き問題も大きく影響しているようです。この問題は米国独特の問題であり、日本を始め諸外国ではあまり見られない問題です。なので解決することはかんたんにできるのだろうと思いますが、野党側からすると良い交渉材料となるためになかなか改善がされず、毎年のようにこの時期になると問題を引き起こしています。しかし、ここで必要以上に問題を大きくすれば野党側にも火の粉は飛んでくることになるため、力加減は重要になります。なので最終的には大きな問題を起こすことなく集結するとは思いますが、そうならない可能性もないわけではないので注意は必要でしょう。

悲観的になりすぎてもいけない

米国経済の現状を見る限り、全くと言っていいほど安心できる状況ではありません。インフレに金融不安、更には債務上限問題と次から次へと問題が噴出し、消費者の心理もこれでもかというくらい冷やされてきています。そういう意味ではなかなか厳しいような気がしますが、一度明るい兆しが見えてくれば今度は一気に消費は拡大していくと思われるのであまり悲観的になりすぎるのも問題でしょう。インフレはゆっくりですが落ち着いてきています。金融不安についてもまだ収束は見えませんが、いつかはこの流れも止まるはずです。債務上限についても毎年の問題ということもあって、ある意味予定調和とも言えないこともないような気はします。過去に何度も同じようなことをしてきていますが、本当に債務上限が解決しなかったことはほとんどありませんし、数年前に起こった一部の公的部門の閉鎖も一瞬、大きな問題となりましたがすぐに通常通りに戻っています。そういう意味では一時的な下落要因にはなるでしょうが、長期的な問題ということにはならないでしょう。なので楽観してはいけませんが、あまり深刻になりすぎるのもよくありません。

まとめ

今日は米国の消費者心理について見てきました。現状を考えると悲観的になることはまあしょうがないのかなという感じがします。ただ、そう入っても永遠にこの状況が続くということはないでしょう。そういう意味では悲観的な空気が流れている今こそ種を巻くときであると感じます。勇気を持って行動していきましょう。