労働市場は引き続き落ち着きを見せている

労働市場は緩和傾向にあることは間違いないようです。先週一週間での新規失業保険申請件数は大幅な減少となりました。しかし、これは前週に不正申請があったためであり、それを除くと緩やかな緩和状態にあることが読み取れます。そういう意味でも労働市場の逼迫感はかなり薄れてきていると言っていいのかもしれません。

労働市場は緩和傾向

先日発表された先週一週間の新規失業保険申請件数は不正申請を除くと緩やかなものとなっています。

先週の米新規失業保険申請件数は2021年以来の大幅な減少となった。季節調整前ベースでは21万5810件と2カ月ぶりの大幅減。前週に不正申請などで数字が膨らんでいたマサチューセッツ州での減少が主因とみられる。

  最近の申請件数増加傾向の背景には不正な申請があるとの報告がある中、一部エコノミストは今回の数字から明確な結論を導き出すことに慎重になっている。

  5月6日終了週の調整前ベースでの増加分のほぼ半分はマサチューセッツ州が占め、同州当局者らは主に不正申請によるものだったとの見解を示している。ケンタッキー州でも虚偽申請の増加が見つかったと同州ウェブサイトが明らかにした。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「失業保険申請件数は、マサチューセッツ州での不正行為に起因する最近の急増分のほとんどが消えた。その例外的な状況を別とすれば、失業申請の増加は労働市場の状況が徐々に緩和していることを示唆する。これは、より広範な指標を見渡した場合とも整合する」と語った。

  より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は24万4250件に減少した。

引用:bloombergより

このように新規失業保険申請件数は緩和傾向にあることがわかりました。前週には大規模な不正申請の事件があったようで、そのために申請件数が大幅に増加していました。そのためその影響をのぞいて統計をとってみると、労働市場は緩やかな緩和傾向が続いていることがわかるようです。インフレは確実に落ち着きを見せてきており、その傾向はその他の指標とも一致するため、この流れは確実なものと言っていいような気がします。

金融政策は変更なし?

労働市場の逼迫感は確実に落ち着いてきていると言っていいでしょう。一時期の何をやっても労働市場だけは堅調という空気はすでに過去のものと言っていいような気がします。そして問題はその落ち着きが今後の金融政策にどのように影響を与えるのかというところですが、今の所、まだ厳しい引き締めは継続されるのではないかという感じがしています。FRB関係者からは度々引き締めの必要性を強調する発言が出てきています。それに反対の意見もあるにはありますが、個人的には引き締め継続のほうが多数のような気がしています。そういう意味ではこの落ち着きも金融政策を転換させるのには不十分なような気がします。

まとめ

今日は先週の新規失業保険申請件数について見てきました。労働市場は落ち着きを見せてきています。そういう意味では金融政策の変更を期待するところですが、その時はまだまだ先のような気がします。おそらくは期待するほどの政策変更は行われないのではないかと個人的には思っています。いずれにせよ、次回のFOMCまではまだまだ時間があります。それまでの状況によってどうにでもなるということは覚えておいたほうがいいでしょう。